ビジネスにおいて、「自信」と「謙虚」とでは、どちらが大事なのでしょうか。
どちらも大事な能力であり、謙虚でありながらも自信あふれるビジネスパーソンであるべきでしょう。
相反する2つの資質を身につけていく過程は、4つあると考えることができます。
1.自信も謙虚もどちらもない状態
2.自信はあるが謙虚ではない状態
3.謙虚ではあるが自信がない状態
4.自信と謙虚を兼ね備えている状態
通常は、1から脱却し4を目指すことになります。問題は2と3の状態でしょう。2と3のどちらの過程を経て4を目指していくべきでしょうか。自信と謙虚のどちらに偏るということではなく、両方を少しずつ磨いていくという考え方もありますが、ここでは、どちらを強めに意識していくべきかについて考えてみたいと思います。
器用ではない人は、まずはどちらかを強く意識して取り組んでいくほうが合理的です。両方を少しずつ得ようとしては、どちらも中途半端になる可能性が高くなってしまいます。
筆者は、2の「自信はあるが謙虚ではない状態」を経由すべきだと考えます。極論で「自信と謙虚はどちらが大事か」と問われれば、「自信」と答えます。繰り返しになりますが、本来的にはどちらも大事です。あくまで、身につける順序としての考え方です。
現代は「不確実性が高まっている時代」といわれ、多くの人が答えを求めてさまよっている時代でもあります。不安を抱える人が明らかに増えていると感じます。不安を抱えている人は、何かの拠り所を強く求める傾向があります。拠り所を求めるとき、「自信あふれる人」と「謙虚である人」のどちらに求めるでしょうか。明らかに自信あふれる人でしょう。これは人間の不変の真理といえます。
●自信は簡単に身につけられる
「自分に自信がない」という人に朗報があります。自信というのは、身につけるのが意外に簡単なのです。
ビジネスパーソンに必要な能力は多岐にわたりますが、自信というのは、他の能力と比べて身につけるのが比較的簡単で、かつ汎用的に利用できる能力です。
自信というのは後天的に身につけることができます。基本的には、「小さな成功体験」を積み重ねることで自信は形成されていきます。つまり、なんでもいいので「勝ちグセ」をつけることが大事になります。
勝ちグセは目標を達成していくなかで形成されていきますが、目標というと何か大きなものでなければならないと考えがちになりますが、大きな目標を立てる必要はありません。小さな目標を多く立てることも非常に大事です。小さな目標を多く立て、その目標をひとつずつクリアしていくのです。しかし小さな成功体験とはいえ、積み重ねていくのは時間がかかります。
それでは、比較的短期間で自信をつける方法はないものでしょうか。実は、短期間で自信を身につける方法はあります。それは、常に自信があるように振る舞えばいいだけです。自信の根拠はなくても構いません。自信をつけるという意味においては、「根拠のない自信」は非常に合理的な方法です。根拠は後付けすればいいのです。
自信のない人の多くに共通する特徴があります。それは、「自信は根拠がないとダメだ」と思っていることです。
根拠のない自信という表現は、悪い意味で使われることが少なくありません。根拠のない自信を持っていると、冷ややかな目で見られたり、敬遠されることもあります。多少の我慢や忍耐が必要になるかもしれません。
しかし、根拠のない自信は、最初はぎこちなくても、しばらくするとそれが板についてきて、やがて根拠のある自信に変わっていきます。傲慢にならない程度で、常に堂々と振る舞えばいいのです。
王者になりたければ、王者のように振る舞うのが一番の近道です。たったこれだけを、やるかやらないかです。お金もかからず、合理的で費用対効果の高い取り組みは、ほかには見当たらないでしょう。本当に驚くほど簡単に自信がついていきます。
不確実性が高まっている時代において、自信を持って決断を下すことができるビジネスパーソンは重宝されます。このようなわけで、謙虚であることも大事ですが、まずは自信あふれるビジネスパーソンを目指すことが合理的だと筆者は考えます。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)