女性用下着メーカー最大手のワコールホールディングスは、2015年3月期の連結決算が売上高1917億円、営業利益70億円と堅調な数字を残している。08年から環境活動の一環として行っている「ブラ・リサイクル」への取り組みや、昨年1月に発表された三愛グループ(三愛および三愛スタイル)からの水着・下着事業の買収など、常に女性用下着業界で存在感を示している。
新作「SUHADA」は“ブラとカラダがひとつになることを目指したブラジャー”を謳っている通り、カップに新素材「SUHADAフィットウレタン」を採用するなど、肌に馴染む感触とバストとの一体感を追求した新・解放系商品になっているという。
●20~30代の一般女性が絶賛
筆者が20代から30代の一般女性に試着を依頼して集めた感想を紹介しよう。
「ノンワイヤーブラ自体は今までにもあったので、正直それほど期待していませんでした。しかし、ステマとかじゃなく、本当に想像以上によかった。何時間着けていても、どこも痛くならないんです。ワイヤー入りのブラは、ワイヤーが食い込んできてブラのあとが付いてしまうし、今までのノンワイヤーのブラも、結局は胸の下とか背中の部分の肉に食い込んできて痛くなるんです。その点、このSUHADAはすごくフィットするので、全然痛くなったりしません」(20代女性・Cカップ)
「着ける人の体形にブラのほうが合わせてくれるというのがウリみたいですが、確かにそういう感覚です。ブラが胸をしっかり“持ってくれている”というイメージで、胸の重さをほとんど感じないぐらいのほどよいホールド感です。胸を持ってくれているから、思いっきりダッシュしても大丈夫そうに思えます。普通はブラを着けているときより着けていないときのほうが楽なんですが、このSUHADAはノーブラのときよりも楽な気がします」(20代女性・Dカップ)
「ヌーブラ(BRAGEL INTERNATIONAL)も着けた直後はすごく着け心地がいいのですが、1日中着けているとどんどんホールド感がなくなって崩れてくるのが難点です。しかしこのSUHADAは、1日の最後まで同じ着け心地でした」(20代女性・Eカップ)
ワコールが打ち出しているように、やはりフィット感、ホールド感は特筆すべきポイントのようだ。
「私みたいに胸が小さい人にもいいですね。体にフィットして、すごくきれいにキープしてくれるんです。それから個人的には、このデザインも好きです。シンプルだけどカラーバリエーションもたくさんあるから、20代の女子はもちろん、40代、50代の熟女にも似合うと思います。表面がボコボコしたレース素材ではないから洋服に響きにくく、Tシャツ1枚の下にこのブラを着けていても、外から見たらどんなブラかわからないと思います」(30代女性・Aカップ)
●特殊な樹脂素材がワイヤーの代わりに
このSUHADAには、どのようなこだわりが詰まっているのか。ワコール広報・宣伝部の村田美紀氏に話を聞いた。
「一番のこだわりは“ブラがカラダに合わせる”という点です。『カラダとの同化』をテーマにして開発された商品で、着用感や肌触りには特に注目していただきたいです。樹脂素材がワイヤーの代わりを担っているのですが、カップの形を保つためのハード樹脂を、体に優しく馴染むソフト樹脂フレームでサンドした『3D同化フレーム』というものを、カップ内の肌から遠い位置に埋め込んでいます。ワイヤーブラはワイヤーの線で支える設計でしたが、SUHADAは『3D同化フレーム』によって面でバストを下からすくい上げるという設計です。背中の部分には縦横均一に伸びるストレッチ素材を使用しているのもポイントです。
--そもそも、同商品を開発するきっかけはどのようなものだったのでしょうか。
「かつてのブラのトレンドは、いかに寄せて上げて“バストを造形する”かという部分が重視されていたのですが、近年はそこに快適志向も加わってきていました。バストの形をきれいに見せつつも、心地よい装着感を追求してほしいというご要望が多くありました。そういったお声に応えるかたちで開発が始まったのがこのSUHADAです。2014年の秋にプロジェクトチームが発足し、商品化までは約1年半費やしました。もちろんチームスタッフが各々にそれまで蓄積してきた経験や、50年以上前からある弊社研究所のデータがあってこそ誕生した商品ですので、一朝一夕で生み出せたわけではありません」(村田氏)
試着した一般女性からは、次のように金額に関する意見もあった。
「有名メーカーの製品でなければ、ブラは安い物なら1000~2000円台で買えます。それに比べてワコール製は少し高くて、普通のブラでも3000~4000円台です。そしてこのSUHADAはワコール製の中でもさらに高くて5000~6000円台。正直、いつも1980円くらいのブラを買っている私からすると、3倍もの金額は躊躇してしまいます。かといって『高すぎる』という印象はなく、納得の金額です。コストパフォーマンスでいえば十分満足できます。
通常のブラジャーよりも多少高い価格設定となっているが、金額相応、もしくはそれ以上の価値を提供できているということなのだろう。
(文=A4studio)