この騎手だけは「本当に」わからない……。
先週24日のフローラS(G2)。
それもそのはず、ファンから最も大きな期待を集めた「ビッシュ」は道中“ポツン”と最後方。そのまま直線に入り、大外に持ち出されたものの、何の見せ場もないまま5着でレースを終えた。
騎乗していたのは関東のベテランジョッキー・横山典弘騎手である。
デビューからの2連勝が支持されて1番人気でフローラSを迎えたビッシュ。牝馬の頂上決戦となるオークス(G1)への優先出走権の懸かった大事なレースだけに、競馬ファンも本番につながるような質の高いレースを期待していたはずだ。
しかし、まずまずのスタートを切ったはずのビッシュだったが、いつの間にか最後方の18番手に……。
これまで中団から差す競馬で2連勝していた馬だけに一瞬故障したのかと思われたが、最終的に大外から勝ち馬と同じ上がり最速の末脚で追い込んでいるのだから、決してコンディションに問題があったとも思えないのだが……。
この結果を受け、ネット上からも馬券を買っていたであろうファンから「泣きたい」「これはクソ騎乗」「“典”型的なポツンだわ」などの“悲鳴”が上がっていた。
確かに、いくら直線の長い東京とはいえ、前が止まり辛い開幕週であることを踏まえれば、18番手最後方からの競馬は意味不明の「絶望的な位置取り」と取られても仕方がないかもしれない。
無論、横山典騎手に勝つ気がなかったわけではない。先日の桜花賞(G1)での騎乗馬はおらず、ここで1番人気に推されていたことからも「何とかビッシュと共にオークスへ」という気持ちはあったと思いたいのだが……。
しかし、この横山典騎手。一部のファンからは「武豊騎手以上の天才」といわれている。
先日3日の大阪杯(G2)では、これまで追い込み一辺倒だったアンビシャスを巧みに先行させ、絶妙なスローペースからの逃げ切りを図った武豊騎手のキタサンブラックを捉えた横山典騎手の騎乗は、まさに「典マジック」と称される“神騎乗”だった。
今週末の天皇賞・春にしても、昨年は、それまで「苦手コース」として2年連続で大敗を繰り返していたゴールドシップを完璧にエスコートする見事な勝利。2004年のイングランディーレの逃げ切りなどは横山典騎手にしかできない“伝説の騎乗”として、今も競馬ファンの間で語られている。
ただ、その反面。人気馬で思わず「何故!?」と目を覆いたくなるような騎乗で大敗したりするのも横山典騎手だ。
よく「天才は何を考えているのかわからない」などと言われるが、横山典騎手はまさにそんなタイプ。乱暴な言い方をすれば“神騎乗”と“クソ騎乗”を行ったり来たりする騎手なのだ。
それ故、先日のフローラSの際も「もう慣れた」「これが横典だから」「そもそも横典を軸にして買うのが悪い」など、すでに横山典騎手の天才騎乗に“耐性”がついてしまっているファンもチラホラ……。
いずれにせよ、普段から馬券を買う競馬ファンにとって「横山典騎手とのつき合い方」は馬券の収支を向上させる上で、重要なファクターとなっていることに間違いはなさそうだ。