今年に入り、連日のように芸能人の不倫が世間を賑わせているが、不倫が原因で破局する夫婦も少なくない。しかし、2014年度の司法統計によると、離婚原因の第1位は男女ともに「性格の不一致」が挙げられている。
これについて、現在離婚を考えている主婦Aさんに話を聞いたところ、「うちの夫は生活費を渡さないどころか無職。今、働かない夫のことで悩む妻が増えているみたいです」と、ため息混じりに語った。
Aさんと夫はお互い20代で結婚し、すでに社会人の息子がいる。
「夫は裕福な家庭で育ち、親から継いだ会社を経営していました。当時は一家の大黒柱としてがんばってくれていましたが、数年前に業績不振で会社を畳むことに。まだ働ける年齢でしたから別業種に転職、私も生活費を稼ぐためにパートを増やしました」
しかし、Aさんの夫は新たな仕事を1年で辞め、その後も定職に就かなくなってしまったという。
「ずっと会社のトップだった人間は、他人の下で働くことに不慣れ。また、中年男性のプライドもあるのか、仕事を選り好みしてしまいます。でも、夫の実家が裕福だったのは昔の話で、今はギリギリの生活。私としてはなんでもいいから働いてほしいけれど、夫は時々短期アルバイトをするくらいで、それも契約が切れればしばらく休暇状態です」
家計をやりくりするAさんは困り果て、家族で話し合いの場を持ったこともあるという。しかし、夫は「自分に合う仕事じゃないと続けられない」「体を壊してまでやることじゃない」などと主張し、最終的には怒鳴り散らして家族を黙らせてしまったという。
「夫の言い分もわかるのですが、私も病弱。それでも現状や老後への不安から、少しでも稼がないといけないと思いパートに出ています。家で一日中ダラダラしている夫に苛立つので、今はパートに行っている時のほうが気楽です」
●精神的負担も多い
似たような状況に悩む妻や家族の声は、インターネット上にも散見される。そして、やはり金銭的にも精神的にも家族の負担は大きいようだ。Aさんの息子は語る。
「父親が怠けていることで、母親の精神状態まで悪化してきました。一度、父親が『なぜ働かないのか』を考え、カウンセリングを受けさせました。家族に言いづらいようなことや、父親自身も気づいていない問題点と向き合う必要があるのではないかと思ったからです。ただ、自分を病気だと思っていない人間を心療内科に連れて行くのにも、相当時間が掛かりました」
ちなみにこの時は、母親であるAさんにも別の所でカウンセリングを受けさせたという。
「カウンセリングのおかげで、父親はだんだん前向きになってきたものの、まだ求職中。母親の心労を考えれば、離婚はやむを得ないと考えています」
10年ほど前に流行語にも選ばれた「熟年離婚」には、このようなケースもあるということか。
(文=編集部)