「自分は年収が少ないから、結婚できないと思う」(28歳・男性)
「年収が高い人は、女性から引く手あまたでうらやましい」(32歳・男性)
こうした声をよく聞きます。はたして、年収と結婚には関係性があるのでしょうか。
●低年収でも貯蓄300万円以上あれば「合格」
今回話を聞いたのは、『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(かんき出版)の著者で、婚活アドバイザーの大西明美さん。大西さんは「結婚したい」と希望する男性と女性の双方から日々相談を受け、アドバイスを行い、およそ5年間で200組以上(つまり、男女400人以上!)のカップルを成婚に導いています。そんな大西さんは、年収と貯蓄、結婚の関係性は「大いにある」と言います。
「婚活などであらかじめ収入を明らかにしなければならない場合、男性の年収(手取りではなく額面)は、都内在住で400万円以上、都内以外在住なら300万円以上ないと結婚が決まりにくいというのが現状です。出産を考えている20~30代の女性は、『結婚・出産後、もし自分が働けなくなった時に暮らしていけるか』ということを不安に思っているからです」(大西さん)
ただし、年収が低かったとしても、「貯蓄」があれば逆転できることも多いそうです。
「『年収300万円で貯蓄が500万円以上ある男性』は、『年収400万円以上で貯蓄が100万円以下の男性』にくらべて、格段に結婚が決まりやすくなります。女性から『経済観念があって計画的に貯められる男性』という印象を持たれるからです。年収に関係なく、貯蓄が少なくとも300万円以上あると、結婚相手として安心されるようになります。ただし、これは結婚式の費用とは別に使えるお金として。婚約指輪や新婚旅行、新生活などのためにも、しっかり貯めておくことをおすすめしています」(同)
素敵な女性と出会ってから、「自分には貯蓄が全然ない!」と焦って貯め始めても遅いもの……。
例えば、月に2万円+ボーナスで20万円×2回を貯めていくと、1年間で64万円貯まります。これを8年間続ければ512万円になり、500万円を超えます。新入社員時代からこれを習慣にしておけば、30歳ごろには500万円の貯蓄ができるというわけです。
ボーナスが出ない場合は、月に3万円ずつ貯めていくと、10年間で360万円の貯蓄になります。「もっと早く貯めたい!」と思ったら、月5万円貯めていくと、5年間で300万円になります。
●年収1000万円でも貯蓄100万円未満はNG!
高収入の男性は女性から求められ、結婚が決まりやすいと感じるかもしれません。しかし、実際は「そうともいえない」と大西さんは語ります。
「年収1000万円以上の人でも、貯蓄がゼロや100万円未満だと、女性から『いったい、何に使っているの?』『結婚しても家計は火の車かも……』と不安に思われてしまいます。また、年収が高く、住宅を買っている男性も、結婚相手として敬遠されてしまう場合があります。それは、女性は『彼と一緒に家を決めたい』という願望があるからです。
以前、『もしかしたら、この家は前の彼女と一緒に選んだのかも……』などと疑心暗鬼になって相談に来られた女性もいました。婚活中の男性は、家を買うより貯蓄をしておくほうが効果的だと感じます」(同)
年収が高いと「いつでも貯められる」と思うかもしれませんが、そう思いながらも月日はどんどん過ぎていき、お金を使いすぎる癖はなかなか抜けないもの。もし、勤務先の会社に社内預金や財形貯蓄などの制度があれば、「月○万円」と決めて、確実に貯めましょう。そういった制度がない場合も、給与振込口座で自動積立定期預金を設定して、毎月強制的にお金を貯める仕組みをつくっておくといいでしょう。
●「使いどき」を間違えると結婚も破談に
とはいえ、「貯蓄が何より大事」というわけではありません。大西さんは、「お金の使いどきを間違ってはダメ」と言います。
「例えば、貯蓄がしっかりとある男性なのに、女性から『このウェディングドレスを着るのが夢だったの!』などといわれた時に『ドレスなんて、どれも同じに見えるし、そんなにお金をかける必要はないんじゃない?』と、定期預金をかたくなに崩さない人もいます。そんなスタンスが続くと『こんなケチな男とは一緒に暮らしていけない!』と、破談になってしまうこともあるのです。
『女性の夢をすべて叶えてあげてください』というわけではありませんが、『プロポーズ』『結婚式』『出産』など、女性の人生の一大イベントの時にケチる男性は頼もしく見えません。せっかく貯めたお金の使いどきは、まさにこの一大イベントです。
ただし、あまりに出費が多いと思ったら女性の夢を否定するのではなく、『新婚旅行の予算も確保したいよね』『新生活のことも考えたいね』などと、ほかの夢をふくらませるような話をするのがオススメです。女性も『確かに、ほかのことにもお金を使いたいよね。
今は夫婦共働きの家庭が増えているので、男性の収入だけが注目される時代ではなくなりました。また、企業の業績の変化や転職などもあるので、現在の年収は一生涯にわたって確約されているものではありません。
だからこそ、「貯蓄ができているかどうか」は堅実さのバロメーターになります。貯蓄が0~100万円未満という人は、社内預金や財形貯蓄を始めるほか、給与振込口座で自動積立定期預金を申し込んでみましょう。ぜひ、強制的に毎月貯蓄ができる仕組みをつくってみてくださいね。
(文=西山美紀/マネーコラムニスト)