意外にも女性が飲食店を選ぶ際に重視するポイントとして「トイレの清潔さ」が挙げられることは、外食関係者ではよく知られている事実である。そこで今回は、ここ数年復調傾向をみせつつあるファミリーレストランチェーンのトイレについて、その「清潔さ」を探るべく、都内の大手ファミリーレストラン6店の女子トイレを現地調査した。



 まず、筆者の独断と偏見による「汚さワーストランキング」は、以下のような結果となった。

・ワースト1位:デニーズ
・2位:ガスト
・3位:ジョナサン
・4位:サイゼリヤ
・5位:ロイヤルホスト
・6位:ココス

※ランキング集計方法:入室時に感じる清潔感、清掃の行き届き具合、便座消毒用クリーナー・便座シート・除菌用アルコール・清掃チェックリストの有無、その他のプラス・マイナス点を元に独自に集計。

●除菌用アルコールがない

 まずは、すかいらーくが運営するジョナサン。個室内には赤ちゃんのオムツ交換用の台が設置されていたほか、便座横の壁には高齢者や妊婦などが便座から立ち上がりやすいように手すりも。幅広い年代、家族への配慮が窺えた。

 残念だったのは、客が便座を清潔に使用するための消毒クリーナーやシートが備え付けられていなかったこと。また、手洗い台にハンドソープはあったが、最近ではさまざまな施設に設置されている除菌用アルコールは置かれていなかった。

 次に、同じくすかいらーくグループのガストへ。こちらはトイレに入ってすぐのところに、従業員がいつ清掃したのかが一目瞭然のチェックリストが掲示されていた。ちなみに今回調査した店のうち、客の目に触れる場所にチェックリストを置いていたのは同店のみ。調査時は、一時間前に清掃したばかりだとわかった。

 同じグループでも、こちらのガストの個室にはジョナサンのようなオムツシートや手すりはなし。
だが、便座クリーナーやシート、除菌用アルコールがないという残念な点は共通していた。さらに、手洗い台下の棚の扉が中途半端に開いていて、隙間から掃除用具やゴミ箱が見える状態。閉めようとしても、扉が壊れているのかやはり少し開いてしまった。棚の中は綺麗に整頓されているようだったが、扉を修理したほうが良いと思われる。

●ペーパーが補充されないまま

 では、セブン&アイ・ホールディングス傘下のデニーズはどうだろうか。個室に入ってまず目に飛び込んできたのは、床に転がったトイレットペーパーの芯。それだけなら、直前の客が落としたのかもしれないと思えただろう。しかし、2ロールセットできるペーパーホルダーはどちらも空で、予備も見当たらない。つまり、長時間の間、店員が補充に来ていない、清掃されていないと推察された。

 しかたなく女子トイレを出て、男女兼用トイレに入り直したところ、こちらにはペーパーが残っていたので助かった。前述の2店にはなかった便座クリーナーが備え付けられ、さらにオムツ台とベビーチェア、手すりが設置されているのは素晴らしかったのに、そもそもペーパーがなければ用を足すことができない。また、手洗い台は綺麗に磨かれていたが、やはり除菌アルコールはなかった。


 続いては、低価格でイタリアンが楽しめるサイゼリヤ。個室の壁に便座クリーナーのディスペンサーが設置され、もちろんペーパーもあるので安心してトイレを使用できた。ただ、手洗い台をよく見ると縁のあたりに水垢の黒ずみが。さらにこちらもハンドソープのみで、除菌用アルコールは用意されていなかった。

 今度は、豊富なハンバーグメニューが特徴のココスへ。同店の個室内は他と比べると少々狭く感じたが、便座クリーナーで清潔に使用することができ、オムツ台もバッチリだ。そしてついに、手洗い台のハンドソープ横に除菌用アルコールを発見。安心して食事を楽しむことができた。

 最後に、「宮廷のもてなし役」の意味を持つロイヤルホストのトイレ。個室にはオムツ台が設置され、便座クリーナーも完備。また、こちらにも除菌アルコールが置かれていて、店名から期待していた通りの気配りを感じた。それゆえに、予備のトイレットペーパーの置き方が雑だったのが残念なところ。
客が誤って落としそうな場所に適当に積み重ねられたロールのうち、ひとつは端がペロンと垂れていて、なんともだらしなかった。宮廷のもてなしを謳うならば、細部まで差をつけてほしいものだ。

 今回の調査では、各店とも「ファミリーレストラン」を掲げるだけに、ファーストフードチェーンのトイレよりもオムツ台や手すりなどを備えている店が多かったのが印象的だ。今後も常に改善されていくことを期待しつつ、現状でも最低限の清掃、衛生管理は徹底してもらいたい。
(文=編集部)

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