昨年春の選抜高校野球大会で優勝するなど、全国でも屈指の名門で知られる福井県の敦賀気比高校野球部で「体罰事件」が明るみになった。暴力行為を行ったのは、25歳の同部コーチ(非常勤講師)だ。



 同校によれば、8月27日午前8時ころ、グラウンド整備・清掃中に2年生部員2人が話をしており、コーチが注意。その際に「頭突き」を1回食らわせたという。部員は大きなけがはなかったようだが……。

 部員が保護者にこの事実を報告し、保護者が学校へ通達。事実確認の上で県高野連に報告した後、訓告と部活動の謹慎をコーチに科すこととなった。学校側は「大変申し訳ない。普段から体罰は絶対にしてはいけないと言っており、厳しく対応した」としている。

 高校野球に限らず、部活動での体罰は今なお多くの議論の的になっている事柄である。高校野球は学生スポーツの中でダントツに高い注目度を誇るが故に表ざたとなりやすいが、実態としては多くの部活で今なお体罰は行われている。

 今回は「頭突き」で、部員にもケガはなかった。ネット上や某大手ポータルのコメント欄には「この程度で騒ぐな」というコメントも目につく。

 しかし、非常勤講師とはいえ「教育者」が暴力をふるうことは、やはりどう考えても許されるべきものではないだろう。
教育者が手を出すという行為は、ロジックを駆使できないことの証明といえるだろう。そのような人物がそもそも教育者になれることにそもそもに問題がある。

 こういった「蛮行」を「教育」ととる認識が学生スポーツ界では未だにはびこっているが、これは時代遅れな考え方だ。高校野球はよく「旧態依然」という批判が時折見受けられるが、それは協会や大会運営だけでなく、部活動そのものが古い体質であることの一端のように思えてならない。

 年配の人間の中にはこうした報道に「自分たちの時代はもっとひどかった」「大したことではない」と語る者もいるだろう。しかし、それはあくまでも「悪しき慣習」であり、受け継いでいくべきものでは決してない。時代に則した意識を持った指導者が出てくることが望むばかりだ。

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