高畑充希出演の連続ドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)の第2話が19日に放送され、平均視聴率は前回から0.8ポイントダウンの10.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。このドラマは、何から何まで親の庇護を受けて育った女子大生・加穂子(高畑)が1人の青年との出会いによって変化し、自分の中に眠っていた力に目覚めていくというストーリー。

加穂子に影響を与える青年・麦野初役で竹内涼真、加穂子を溺愛する母・泉役に黒木瞳、そしてその母の過保護ぶりに気づきながらも、何もできない父親・正高役で時任三郎らが出演している。 

 第2話で加穂子は、プロのチェリストを目指すいとこ・イト(久保田紗友)が手首を痛めていることを偶然知ってしまう。周囲には黙っていてと頼まれて秘密を守るも、イトはコンクール本番で手首の痛みに耐えきれなくなり、演奏を続けられなくなってしまった。プロとしての道を断念せざるを得ないとわかり、失意のうちに入院生活を送るイト。加穂子はなんとか彼女を励まそうとするが、素直でいい子だと思っていたイトから思いもよらなかったひどいことを言われる。初めて人の悪意に触れて感情を処理できなくなった加穂子を、麦野だけが受止めてくれた――という展開だった。

 このドラマは、過保護に育った人間の持つゆがみや、過保護な親たちの異常さなどを描きたいのだろうとは想像するが、今のところ肝心の「過保護」の描き方があまりうまくいっていないと感じる。黒木演じる母親・泉が「お母さんだったらこうするな」と娘を誘導したり、就職がうまくいかないからといって専業主婦を強く勧めたりするといった、かなり怖い描写はあるが、もう少し日常的な普通の「過保護感」が見たい。親や祖父母たちの「過保護感」が薄いことで、加穂子のキャラクターにも説得力がなくなっているのではないか。

 加穂子については、「動きとかがかわいくて目が離せない」「無垢な演技が秀逸」と好感を持つ人が多い一方で、「演出が気持ち悪い」「実際あんな人がいたら心配してしまう」と嫌悪感を示す人も少なくない。目をきょろきょろさせて挙動不審になったり、息もつかずにまくしたてたり、人から言われた言葉が頭の中をいつまでも巡ってパニックになったりする人物をピュアと受け取るか、やりすぎと受け取るかで評価が180度変わるようだ。

 本作は初回で働くことの意味について加穂子に考えさせ、2話では人の持つ二面性に気づかせた。
次回予告では加穂子が親に言い逆らっているような場面が映し出されたことから、視聴者からは「やっと反抗期が来た」「ようやく次回で中学生になる」との声が上がっている。だとすると、今の加穂子は精神的に小学生レベルだと思って見守るのが正しい見方なのかもしれない。あんなに空気が読めず、周りから浮いていて友だちもいない加穂子がこれまでいじめられたこともなく悪口も言われず、ハタチも過ぎてから生まれて初めて人の悪意に触れたというのもかなり不自然ではあるが。

 賛否両論がわき起こる加穂子とは対照的に、好評しかないのが竹内演じる麦野。いい加減で調子がいい奴だけのように見せかけて、実はいつもなかなか的確なことを言い、加穂子の成長をそれとなく助けてくれる。今回も加穂子から千羽鶴折りを頼まれて5万円を請求する場面があった。一見すると行動がクズっぽいが、誰もが、加穂子の両親や祖父母のように何でも「いいよいいよ」と手を貸したり助けてくれるわけではないことを、身をもって示しているのだろうと解釈できる。それでいて、イトに余計なことを言わないほうがいいと事前に忠告したのだから、まったくもっていい奴である。

 パニックに陥った加穂子に自分の胸を貸し、思い切り泣くように促すシーンでは「麦野くんみたいな彼氏欲しい」「竹内涼真かっこいい」「麦野くん、かっこよすぎでしょ! 私の前にも現れてくれ!」「竹内涼真に『ママに言えないことは全部俺に言えばいい』的なことを言われたい人生だった」など、女性視聴者のボルテージが最高潮に達した。

 家族を動物にたとえる演出には相変わらずイラッとするし、台詞と心の声の切り替えがうまくいっていない時任三郎も残念でならないが、加穂子が覚醒していくと思われる中盤以降に一気に盛り上がってきそうな予感がする。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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