国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
前回、前々回と4月25日の選挙について総括してきましたが、今回は参議院長野選挙区の補欠選挙について考えます。
神澤は、羽田氏がお父様の羽田孜元首相の秘書をされていた頃を知っています。ハキハキとした青年でした。1999年10月の補選に急遽出馬されたのですが、準備期間が短いので心配されながらも、見事に初当選を果たしました。
その後も順調に当選を重ね、2019年7月の通常選挙で当選し、5期目となりました。53歳で5期目ですよ。参院選は6年ごとなので、かなりの「長老」です。その長い経験から期待も高かっただけに、本当にお気の毒でした。
亡くなられてからもまた大変で、後援会「千曲会」での権力闘争の末、弟の羽田次郎氏が後継者となりました。候補者が決まるまで、永田町では次郎氏のいろいろな噂が飛び交っていました。「後援会長への礼儀がなっていないから、後継者には適していない」「勉強もせずに遊んでいたボンボンだから、能力がない」「女性問題のスキャンダルがあるらしい」などなど。
後援会では、次郎氏のほかに、羽田孜元首相の甥で国際協力機構(JICA)企画調査員の神津健氏や、2012年の衆院選長野3区で当選した寺島義幸氏の名が候補として挙がっていました。それぞれを推すグループで意見の対立がありましたが、最終的には全員が推薦できる人ということで、次郎氏に決まったようです。神津氏は、今後は衆院長野3区からの出馬を目指すようです。
これも世襲議員の陣営あるあるですが、親の代からの後援会がある場合、候補者は神輿に乗るだけで意見はまったく通らないことが多く、次郎陣営も例外ではなかったようです。なんとか無事に当選しましたが、これからの議員活動はやりにくいだろうなあと思います。秘書もお兄様の事務所の方を引き続き受け入れるようですし、何かと父や兄と比べられる日々が続くのでしょうね。
自民党は小松裕氏を擁立して激戦を繰り広げましたが、やっぱり「弔い選挙」のイメージが強かったのか、終始「羽田次郎氏リード」と伝えられていました。なので、永田町も「長野の羽田王国は健在だね」とあまり注視せず、参院広島選挙区の再選挙の行方を気にする人の方が圧倒的に多かったのです。
ところが、投開票日の4月25日に回ってきた某社の出口調査結果では、「小松氏が5ポイント近くリード」というのがありました。
とはいえ、選挙は一寸先は闇ですから、「もしかして羽田陣営は油断したのかな?」と思ってしまいました。ほんと、選挙は怖いですよ。
(文=神澤志万/国会議員秘書)