「永田町では、売店でもコンビニでも『週刊文春』は全部売り切れです。今、永田町は山尾志桜里一色ですよ」
そう語るのは、ベテランの国会議員秘書である。
「『見たー!? 疑惑が真っ黒だね』みたいに騒いでいます。『保育園落ちた日本死ね』のときにあんなに注目されて、『ジャンヌダルク』とまで言われていたのに……。『文春』は肉体関係があったかどうかまでは書いていませんが、週に4回も会う人なんて、普通は家族以外にはいませんからね。今井絵理子のように『一線を越えていない』では済まないでしょう」(前出の議員秘書)
●男性議員から圧倒的人気だった山尾志桜里
9月7日発売の「週刊文春」(文藝春秋)によると、民進党の山尾衆議院議員(43)と弁護士の倉持麟太郎氏(34)は、8月28日から9月3日までの1週間のうち4回、ホテルやマンションで2人きりの逢瀬を楽しんでいたという。
「真剣に怒っている人はあまりいなくて、どちらかといえばおもしろがられていますね。志桜里さんは、普段はツンとして凜々しくしているので、『彼女も人間だったんだね』『ベッドの中では女の子だったんだね』といった声が男性からは挙がっています。
自分に厳しく仕事をされていて、裏方のような仕事も厭わずにやっていたので、議員の中での評価は高かったんです。ツンとした女性が好きな男性も多いでしょう。休憩時間などにおじさま議員の間で『どの女性議員がいい?』みたいな話になったとき、上位にランキングされるのが志桜里さんだったんですよ。
だけど今、志桜里さんを『いい』と言っていた議員は『自分を恥じている』と言っています。
地球5周分以上になる走行距離のガソリン代を事務所の経費に計上するという政治資金問題が報じられた際、山尾議員は「辞めた秘書が関与した」と弁解した。
「日頃、国会の質疑で収支報告書の記載ミスなどを追及していたのに、『自分のことになったら秘書のせいにするんだ』って、あのときも評価は落ちました。似たような例でいえば、小渕優子議員に政治資金の問題が持ち上がったとき、記者会見で『今後は自分が細かく見ます』と言って、自分の責任であることを認めて反省の姿勢をはっきり見せたのです。
でも、あのときの志桜里さんは『秘書がやったことだ』って突き放して、自分は悪くないといわんばかりに自己正当化しました。それで、みんな『この人、ボスとしては最低だな』という印象を持ったのです。怒鳴ったりすることはないですが、秘書に対してはクオリティの高さを求める厳しさがあったので、自分にも厳しい人だと思われていたんですけどね」(同)
●幹事長内定に危機感を持った人物がリークか
幹事長内定から一転、無役になったばかりか、離党や議員辞職を検討中という報道まで出ている山尾議員だが、このタイミングでの不倫疑惑発覚は何を意味するのか。
「前原(誠司・民進党代表)さんが志桜里さんを幹事長にしようとするという、あまりに無謀な判断に危機感を持って、全力で止めようとした人物が情報を流したのではないかという気がします。志桜里さんが幹事長なんて、あり得ないですよ。前原さんの政治センスがズレているとしかいいようがありません。
志桜里さんは、記者会見などはうまくこなすでしょう。
前原さんが志桜里さんを副代表や女性局長、青年局長などの部署にあてておけば、不倫疑惑が明るみに出るのはもう少し先だったのではないかという気がします。また、志桜里さんの立場からすれば、『まだまだ私に幹事長は務まりません』と辞退すればよかったのです。それなのに、受けてしまった。
今回の『文春』の記事は、いつもと比べて中途半端な印象です。2人の出会いの詳細なども書かれていないでしょう。情報を受けて急いで体制をつくって取材したら、思っていた以上に頻繁に会っていて、いい写真もたくさん撮れちゃった……という感じなのではないでしょうか」(同)
記事によると、山尾議員と倉持氏は彼女が幹事長に内定した夜にも会っており、ホテルにお酒を持ち込んでいたことから「祝杯を挙げたのだろうか」と指摘されている。
「極端にいえば、幹事長というのは自殺したくなるほど大きなプレッシャーのかかるポジションです。自分の発言ひとつで民進党の執行部をひっくり返しかねない立場です。それをお祝いするという感覚もズレています。
そして、不倫がバレているのですから、取材するほうからすれば、これほどありがたい脇の甘さはないでしょう。『文春』から『不倫疑惑を報じる』と連絡を受けた前原さんが『ちょっと問題があるから幹事長は代えたい』と伝えたときも、志桜里さんは『それなら代表代行などの要職を』と希望したそうですが、あまりにもおこがましいですね。自分の置かれている状況を冷静に見られなかったことが、失態につながったのではないでしょうか」(同)
子育てに苦労している母親たちの期待も大きかった山尾議員。ジャンヌダルクの失楽園への転落は、明らかに有権者への裏切りである。
(文=深笛義也/ライター)