26日放送の日曜劇場『陸王』(TBS系)第6話の平均視聴率が、16.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。高視聴率をキープしている同ドラマだが、近年は録画して視聴する人もかなり多い。
今回の最初の見どころは、けがから復帰した茂木裕人(竹内涼真)とライバルの毛塚直之(佐野岳)の対決が注目されるなかで開催された「ニューイヤー駅伝」のレースシーン。茂木が属するダイワ食品は、4区を走っていたエース・立原隼人(宇野けんたろう)の不調によって一時順位を落としてしまう。しかし、6区を任された茂木の好調な走りによってみるみるうちに順位を上げ、気が付けば毛塚を捉えられる距離にまで来ていた。
起伏の激しい難しいコースに加えて向かい風が吹くという悪条件の中でデッドヒートを繰り広げる両選手。しかし、茂木は毛塚をわざと抜かずに後ろについて風よけにして、体力を温存するという見事な戦略で、毛塚を抜き去りアンカーの平瀬孝夫(和田正人)にタスキをつないだ。
続く平瀬は、このレースを最後に引退すると決めていたため、これまでのすべての力を出し切った。惜しくも2位という結果に終わったが、平瀬を迎えるメンバーや、鬼監督として厳しく接した城戸明宏(音尾琢真)の姿に多くの視聴者が涙した。
その後、平瀬と茂木が入浴するシーンでは、肘のけがで野球を断念し陸上に活躍の場を移した茂木に平瀬が「後悔してないか?」と尋ねる。「こうしてマラソンに出合えたこと、光栄に思っています」という茂木の答えを聞いて「俺もそういう“何か”をこれから探すよ」と述べた平瀬の言葉が、「めっちゃ泣いた」「平瀬には幸せになってほしい」などと、多くの感動を呼んだようだ。
実は、平瀬を演じる和田は、元箱根駅伝ランナーでありながら実業団の廃部によって陸上選手を引退した過去を持つ。そんな彼が唯一やり残したことが“ニューイヤー駅伝で走ること”だというのだから、今回の走りは役者としてではなく素の彼の姿が映し出されていたのかもしれない。
●キム兄の大根演技に非難が集中
一方、「こはぜ屋」はというと、本格的に「陸王」の商品化に乗り出したが、期待に反して売れ行きはいまひとつ。それでも、こはぜ屋のサポートを受けたいという選手も現れ、社員たちは今後も陸王生産に力を入れていこうと団結する。
そんな矢先、宮沢紘一社長(役所広司)は、ライバル企業のアトランティスが陸王のアッパー素材を提供してくれているタチバナラッセルに独占契約の話を持ち掛けていることを知る。そしてタチバナラッセル社長の橘健介(木村祐一)に話を聞きに行くが、こはぜ屋との契約を「3月までにしてほしい」と言われてしまう。零細企業同士「お互いに協力しあってがんばっていこう」と約束していたにもかかわらず、目の前の利益を優先する、許しがたい裏切り行為を働いた橘に宮沢は激怒。「何があっても金輪際、取引を行わない」と絶縁宣言をし、立ち去った。
しかし、偶然にも同時刻にタチバナラッセルを訪れていたアトランティスの日本支社営業部長・小原賢治(ピエール瀧)に会うと、「この技術を大企業の身勝手で利用するようなことだけはしないでほしい。橘さんの技術を生かしてやってください」と頭を下げる。そんな宮沢に同行していた息子の大地(山﨑賢人)は、父の姿を見て「俺が代わりの素材を絶対に見つける」と誓う。
このシーンでは、あまりにもひどい裏切りをした橘に「ひどい、ひどすぎる!」「裏切りそうと思っていたけど、ほんまに裏切りよった」と視聴者からは非難の声が集中。その声に混じって、「ひどい、キム兄の演技が……」と木村の演技力のなさを残念がる人も多くいた。確かに、抑揚のないセリフの言い回しには興ざめさせられた。
アトランティス営業部長の腰巾着社員、佐山淳司を演じる小籔千豊に続いて、よしもとクリエイティブ・エージェンシーの木村が出演したことや、これまでも池井戸潤の小説が原作のドラマに“吉本芸人”が出演したことで「日曜劇場には、吉本を使うという決まりでもあるのか?」と疑問視する人も少なからずいたようだ。
次回は元プロテニス選手で現在スポーツキャスターの松岡修造が出演するようだが、演技派俳優の中でどう存在感を示してくれるのだろうか。
(文=絢友ヨシカ/ライター)