7月19日に放送を開始した連続テレビドラマ『ハゲタカ』(テレビ朝日系)。第1話の平均視聴率は11.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という好成績での幕開けとなったが、インターネット上の評価は賛否両論真っ二つに分かれた。
同ドラマは、綾野剛演じる外資系投資ファンド「ホライズンジャパン・パートナーズ」代表取締役・鷲津政彦が、企業を食い荒らす“ハゲタカ”と呼ばれて反感を買いながらも、壮絶な買収劇を繰り広げていく物語。原作は作家・真山仁氏の同題小説で、2007年にNHKでもドラマ化された。
テレ朝版の第1話は、鷲津が大手の三葉銀行を相手に手腕を発揮した1997年のエピソードを展開。三葉銀行は、日本で初めて回収困難な不良債権や不動産を第三者に一括売却する“バルクセール”を実施することになり、同銀行の資産流動化開発室室長・芝野健夫(渡部篤郎)が鷲津と対面。銀行側の思惑も虚しく、鷲津は大胆かつ圧倒的な取引を成功させていく……という内容だった。
綾野や渡部のほか、同ドラマには沢尻エリカ、池内博之、杉本哲太、光石研、小林薫など豪華キャストが集結している。また、主題歌はMr.Childrenの『SINGLES』(発売日未定)。さらに、ドラマの監督は同局の人気ドラマ『相棒』シリーズで知られる和泉聖治氏が担当するとあって、12%にも迫る数字を叩き出したことは、当然といえば当然かもしれない。
ネット上にも「しっかりつくられているのが伝わってくる」「どんどん面白くなりそうな期待感がある」などと好意的な声が寄せられているが、一方で「話が難しくて、この先ついていけそうにない」という声もある。また、初回は基本的に芝野視点で描かれていたため、「現時点では鷲津が悪役っぽくて、良さもイマイチわからない」「鷲津の人物像が謎すぎて、主役なのに今のところ魅力を感じられない」「芝野メインで十分見応えあるし、主人公交代してもいいのでは?」といった書き込みも散見された。
ちなみに、鷲津を演じる綾野の演技に関しても「すごみがあって、良い演技していると思う」という意見と、「わざとらしい」「もっと自然な感じにできなかったのか。役づくりの方向性を間違えてない?」と、評価が分かれている。
個人的に、鷲津の部下であるアラン・フジタ役の池内は、オーバーな演技でもかなりハマっていると思う。「アメリカ育ちの日系アメリカ人」という設定なので、あえてリアクションを大きくしているのだろうが、それに加えて綾野や沢尻にまで仰々しいキャラクターを見せつけられると、なんだか現実味のない話に見えてくる。その点を楽しめる視聴者なら、今後もとりあえずついていけるのではないか。
(文=美神サチコ/コラムニスト)