俳優の山崎賢人が主演を務める連続テレビドラマ『グッド・ドクター』(フジテレビ系)の第8話が8月30日に放送され、平均視聴率は9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった。自己最高を記録した前回の13.0%から、3.6ポイントダウンした。



 初めて1ケタに陥落してしまったが、この日は『ハゲタカ』(テレビ朝日系)と『遺留捜査』(同)のいずれも自己最低の視聴率だったことを考えると、『アジア大会2018ジャカルタ』(TBS系)の影響と考えるのが妥当だろう。

 それを裏付けるように、クライマックスに向けて第9話と第10話は2週連続で15分拡大放送されることが予告されると、視聴者からは「来週15分拡大! やったー!!」「来週はさらに感動しそう」「次回15分拡大ありがとうございます!」と喜びの声が続出した。

 第8話は、小児がんを患う早見陽翔(鳥越壮真)を中心に、母親の香織(酒井若菜)と長男の翔太(池田優斗)が抱える苦悩や葛藤などが描かれた。

 高山誠司(藤木直人)の診察を受けるために、翔太を連れて東京に引っ越してきた香織。だが、翔太は陽翔のせいで転校することになった上、母親も弟につきっきりで、さびしい思いをしていた。そんなとき、香織は自宅の階段で足を滑らせ、頭から血を流す大怪我をしてしまう。


 治療のために入院することになった香織だが、それでも陽翔には心配をかけまいと怪我のことを隠したがっている様子。そんなふうに弟ばかりを気にかける母親にも病気の弟にも嫌気がさした翔太は、ついに不満を爆発させてしまう。瀬戸夏美(上野樹里)や母親に向かって「外出したい!」と駄々をこねる弟に対して、「お前、いいかげんにしろよ!」「お前の病気のせいで、こっちは散々なんだよ!」などと言ってしまうのだ。

 そんななか、陽翔の病態が悪化し緊急手術をすることに。それを新堂湊(山崎)からの電話で知った翔太は、葛藤しながらも駆けつける。無事に手術が成功した後で、陽翔は自分たちと一緒に花火大会に行きたいがために外出をねだっていたことを知る。
そこで、陽翔が自分を大切に思っていたこと、そして自分にとっても弟は大切な存在であることを実感し、陽翔のために病院で花火ができるように頼み込む。そして、医師たちの協力もあり、家族みんなで花火を楽しむことができた。

 今回は、翔太の「病気の人間がそんなに偉いのかよ?」「俺だって好きであいつの兄貴やってるわけじゃないんだよ!」というセリフが心に刺さった視聴者が多かったようだ。

「兄と弟の気持ち、どこも一緒だな。泣けてきます」「弟の病気のせいで友達と離れ離れ、ママはいつも家にいなくてさびしい。そんなお兄ちゃんの気持ちもわかるし、弟に精一杯で兄にまで頭が回らないママの気持ちもわかる」という声が相次いだ。


 最初は「山崎演じる自閉症でサヴァン症候群の小児科医を中心に繰り広げられるドラマ」と宣伝されていた『グッド・ドクター』。もちろん、新堂の温かな対応が患者らの閉ざされた心を開いていくという展開に変わりはないのだが、もはや新堂の障害が特別視されることはなく、彼は「ひとりの小児科医」として周囲の人たちに温もりを与えている。今年も「障害者を利用している」「偽善だ」などの批判が噴出した『24時間テレビ「愛は地球を救う」』(日本テレビ系)とは対照的な番組のように思える。

 いずれにしろ、『グッド・ドクター』はラストに向けて、さらに盛り上がっていきそうだ。
(文=絢友ヨシカ/ライター)