フィギュアスケート・羽生結弦選手の“そっくりさん”としてお馴染みのモノマネ芸人・羽生ゆずれない。16日に更新した自身のSNS上で、改名および新芸名公募を発表し、話題を呼んでいる。



 羽生選手の五輪2連覇を機に、仕事のオファーが殺到した羽生ゆずれない。ルックスから衣装に至るまで、そっくり度が評価される一方で、スポーツ界で抜群の支持を誇る羽生選手のモノマネとあって、少なからずファンからの反発もあった。

 そんな羽生ゆずれないへの反発感情を一気に高めたのが、昨年12月発売の「週刊文春」(文藝春秋)に掲載された記事。元フィギュアスケート選手の小塚崇彦氏とともに、女性2人をホテルに連れ込んだと報じられた。羽生ゆずれないの所属事務所は、ツイッターで「事実無根」と反論。しかし、インターネット上では「二度と羽生の名前で活動しないで」「事実無根であるなしに、“本家”に与える影響を自覚してほしい」などと、国内外から批判が相次いだ。

 16日にSNSを更新した羽生ゆずれないサイドは、“厳しい声”を真摯に受け止め「改名という結論に至りました」と報告。ファンに向けて新芸名の募集を呼びかけたところ、「ネーミングセンスが良かっただけに残念」「『羽生名乗れない』はどうですか?」といった声が上がったものの、「スケートにかかわる芸名は、もうつけないほうがいい」「誰のモノマネでも、相手へのリスペクトを忘れないでほしい」との指摘も続出している。

 羽生ゆずれないに限らず、モノマネ芸人はファンや本家との間で摩擦が発生しやすい。

 2013年には、俳優・市原隼人が自身のモノマネ芸についてブログで言及。「何を伝えたいかわからず、役者をバカにしてなめてるとしか思えない」と語気を強めた。また声優・野沢雅子のモノマネで人気を博している田島直弥(アイデンティティ)は、1月放送の『ナカイの窓』(日本テレビ系)で野沢との初対面エピソードを披露。
共演をきっかけに野沢に挨拶へ行った際、「ちょっと公認はできない」と言われたという。

 ファンに猛バッシングを受けたことで有名なのが、お笑い芸人のキンタロー。だ。彼女は元AKB48前田敦子のモノマネで人気を獲得したが、過剰な表現に前田ファンから批判が殺到。さらに欅坂46平手友梨奈のモノマネも炎上騒動へと発展し、ブログで「私は皆さんに喜んで頂きたく、楽しませたい思いからやってます」「悪意なんて一切ないし、見て頂けたらこの想いはきっと伝わると、そう信じてます」と釈明するに至った。

 お笑い評論家のラリー遠田氏はモノマネ芸人について、バッシングを浴びる人と浴びない人の違い、本家に公認を得られる人と得られない人の違いなど、次のように持論を語る。

「まず、元ネタとされる人がバラエティ番組などに出ているかどうか、という点が大きいです。バラエティに出る人やそのファンからは、モノマネに理解が得られやすいでしょう。スポーツ選手などの場合、モノマネ芸人と本人に接点がなく、ファンから“勝手に利用している”というイメージを持たれやすいのかもしれません。

 本家から“公認”を得ている人もいますが、基本的には許可を得る必要はないでしょう。しかし、あくまでもモノマネは“元ネタありき”で成り立っています。
本家の活躍の上に乗っかっているわけで、他人に依存したネタだといえます。そのため、本家への配慮は不可欠です。本家はモノマネされることが嫌だと思っていても、それによって目立つことを避けるために表立って言わないだけ、ということも考えられます。

 羽生ゆずれないは、改名を発表しましたが、モノマネ芸人にとって芸名はあまり深い意味はないでしょう。名前よりも芸そのものが重要です。改名しても、今後も羽生結弦選手のモノマネをするのかどうかが注目すべき点だといえます」

 モノマネと笑いのバランスは難しいところだが、誰もが納得するかたちで再現に励んでほしいものだ。
(文=編集部)

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