多くの商品が100円という激安価格にもかかわらず、生活のありとあらゆるシチュエーションに必要な商品を提供する100円ショップ最大手の「ダイソー」。
1990年代初頭のバブル崩壊後の厳しい世相を逆手に取り、安価だが高品質な商品を提供したことで大きな成長を果たしたダイソーは、今や海外までその人気が広がり、2018年の3月時点で国内に3278店舗、海外では26の国と地域で1992店舗も展開している。
だが、多くのアイデア商品で我々の日常を支えてくれているダイソーだが、なかにはどうしても、「うーん……これはイマイチ」という残念な仕上がりのものがあるのも事実。
そこで、今回は「質と値段が釣り合っていない」「使えるには使えるが他店の商品のほうが良い」といった“買ってはいけない商品”を、「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」が独断で5つセレクト。春から心機一転の新生活シーンでうっかり買わないように気をつけたい、「この春、買ってはいけないダイソーのプチプラグッズ」を紹介していこう。
●ノック式 ラバーグリップ ボールペン(10本入り)/108円(税込、以下同)
「新生活が始まるこの時期にオフィスの備品の補充や一新を済ませたい!」と思っている方もいるだろう。現在、各種文具メーカーが良品でしのぎを削る文房具戦国時代ともいわれているが、高価な文具で揃えるのは、躊躇してしまうこともある。そんなとき、一見、重宝するように見えるのが10本セットになっている108円のボールペンだが、いざ使ってみると、“安かろう悪かろう”をまさに体現したような商品なのである。
まず気になるのがノック部分の押し込みの固さ。つくりが粗いせいで、買いたてのときは内部の引っかかりが他のボールペンより大きく、使い込むと摩耗で上手く押し込みが固定されなくなることもある。また、ラバーグリップ部分が固く、長時間の使用では手が痛くなってしまうのも難点といえるだろう。
●粘着布テープ/108円
ガムテープなどのいわゆる粘着布テープの類いは、引っ越しシーンで活躍するのはもちろん、部屋の断捨離を行うとき、段ボールにまとめる際にも必要になってくるだろう。また、オフィスであれば大量にストックしておきたいところ。
だが、安くてたくさん欲しい場合、意外にも100円ショップで買ってはいけない商品の上位にくる要注意アイテムだということを、ご存じだっただろうか。
その理由は、“テープの短さ”に尽きる。コンビニエンスストアやホームセンターなどで入手できる粘着布テープに比べて、実は約半分ほどの長さしかないのである。使用頻度が低く、使用量も少ないといった自宅での常備用であれば問題ないかもしれないが、使用頻度が高い場合や、一度に大量に使うことが多い場合は、ダイソーでの購入は避けたほうがいいだろう。
●不織布マスク(30枚入り)/108円
ピークは過ぎたが、いまだに花粉は飛んでいるうえ、朝晩の寒暖差から春風邪になることも少なくない今日この頃。「まだまだマスクは手放せないなぁ」と感じている方も多いはずだ。
消耗品であるマスクは、それこそ安価で手に入る100円ショップで買っておこうと考えがちだが、ダイソーのマスクにはいくつかの難点がある。
まず、マスクが個別包装されておらず、紙パッケージを開けると30枚のマスクが封の開いたビニールに包まれているだけのため、衛生面で気になってしまう方もいるだろう。また、耳ひもは柔らかい素材でつくられてはいるが、ひも自体が細いため長時間の着用でどうしても耳が痛くなってしまう。
●【AA】ALKALINE 単3形アルカリ乾電池(5本入り)/108円
小型家電やリモコンなどに使用するだけでなく、非常時の備蓄として買っておきたい乾電池。大手メーカーの商品は品質に安心感はあるものの、多少値段が張るのも事実。そのため、ダイソーでさまざまな日用品を買い物カゴに入れていく流れで目に留まった乾電池を、“ついで買い”している人は少なくないかもしれない。
実は国産のものであれば、ダイソーの乾電池も大手メーカーの乾電池も、放電力や持続時間はほぼ変わらないそうだ。
しかし、気をつけるべきはその使用推奨期限、保存期限である。大手メーカーのアルカリ乾電池は10年持つ物も多いのに対し、ダイソーの乾電池は約4年。買ってすぐ使うならまだしも、備蓄品として引き出しなどに入れておいても、年数が経ちすぎていて緊急時に使い物にならない……なんて事態もありえるということだ。
●ライトニング端子 充電ケーブル/108円
今や現代人にとって欠かすことのできないガジェットとなっているスマホやタブレットPC。使用頻度が高いため、充電ケーブルの活躍のシチュエーションも多いはずだ。
純正品の充電ケーブルが使いすぎで千切れかけて買い替えようというときや、自宅の複数の場所に充電ケーブルを置いておきたいというとき、出先の緊急時に充電できるように持ち歩きたいというときなど、充電ケーブルを買い足すことも多いだろう。
コンビニなどでも純正品と同レベルのものは買えるが、値段が1000円以上するものがほとんど。そのため1つ108円という破格の安さを誇るダイソーの充電ケーブルに、惹かれてしまう人もいるはず。だが、安さに対してのリスクが大きいことも忘れてはならない。
まず気をつけたいのが、ダイソーをはじめとした100円ショップのほとんどの充電ケーブルは、純正品やコンビニで買えるケーブルと違い、PCとの同期機能がないという点。つまり充電はできても、ガジェット内部のデータ(画像や音楽など)をPCに移したりはできないのである。
次に気をつけたいのが接続する端子部分。
また、これもアップル製品の充電での話だが、いわゆる“アップルのお墨付き”ともいえる基準の「MFi認証」がないのである。そのため、万が一このダイソーのケーブルを使用してiPhoneやiPadが故障してしまった場合、自然故障とは認められず、保証期間内でも有償修理となる可能性があるとのことだ。注意してほしい。
安くて便利な100円ショップは、間違いなく消費者の強い味方だ。しかし、必ずしも完璧な商品ばかりでないこともしっかり認識しておきたい。購入した商品が使い物にならないだけならいいが、充電ケーブルなどは高価なガジェットの故障の原因になってしまう可能性もゼロではないため、きちんとした選定眼を身に付けることが大切だ。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)