2020年春入社の新入社員初任給を、現状から2割程度アップさせ、月給約25万円の水準にする方針を発表したファーストリテイリング。
ファストリはファストファッションにおける日本王者の地位をキープし続ける「ユニクロ」の運営を主事業としているが、初任給アップには同社が今後の事業拡大に必要となる優秀な若手社員を確保する目的があるとみられている。
国内だけでも800店舗以上(2018年11月末現在、832店舗)もあるユニクロの3月の国内事業は、前年同月比売上高4.5%アップ(既存店、Eコマース合算)とのこと。これは、今季投入されたS/S(スプリング/サマー)アイテムが好調に売り上げを伸ばした結果ともいわれている。ユニクロの服は奇をてらったものが少なく、ベーシックアイテム中心のため、ファッションビギナーにもハードルが低いことが、好調を維持し続けている要因とされる。
しかし、そんなユニクロのアイテムでも、実は着こなしが難しかったり、そもそものデザインがダサかったりするものも少なからずあるのだ。そこで今回は、「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」が「この春、買ってはいけないユニクロの服5選」をセレクト。そして、恋愛コラムニストで10年以上のファッションライター経験もある堺屋大地氏に、なぜおすすめできないかを解説していただいた。
今回、以下の3つを基準として選定した。
(1)ファッションビギナーが着るとダサくなる可能性が高いこと
(2)“最先端のおしゃれ”すぎて一般ウケしない場合があること
(3)無理に若ぶっているように見えるなどして女子ウケが悪いこと
では、「買うべき・買ってはいけない調査班」が選んだ「この春、買ってはいけないユニクロの服5選」を紹介していこう。
●ミリタリージャケット/¥4990(税別、以下同)(※値下げ後価格)
軽さと丈夫さを兼ね備えたコットンツイル素材を採用したミリタリージャケットで、実用的なフロントのパッチポケットが特徴。クリストフ・ルメール率いるデザイナーチームが手掛けたアイテムだ。
「カラバリ(カラーバリエーション)はブラック、カーキ、ネイビーと落ち着いた色味なんですが、おしゃれ度が高すぎて、ファッションセンスにあまり自信がない人が手を出すと、着こなしが難しいだろうというのが率直な感想です。前身頃に4つの大きなパッチポケットが付いていて、これがデザイン的特徴になっていますが、これは着る人によってはダサく見えてしまうでしょう。
●セレブレイトミッキースウェットシャツ(長袖)/1290円(※値下げ後価格)
ミッキーマウスの「スクリーンデビュー90周年」を記念したシリーズの一つで、それぞれの時代を象徴するアートワーク、メッセージをモチーフにデザインしているとのことだ。
「デザインは何種類かあるので、一概に“買ってはいけない”とは言い切れない部分はあります。ですが、例えばグレー地に5人のミッキーが並んだデザインのものや、ピンク地にミッキーがプリントされたものは、大人の男性が着るとかわいくなりすぎて、しんどいでしょう。スウェットシャツは現在のトレンドですが、あくまで若者が取り入れている流行のため、20代後半以上の男性がおしゃれに着こなすのは難しい。そのうえ、かわいらしいミッキー柄があしらわれているので、“痛々しいオジサン”になってしまう危険性が非常に高いシリーズです」(堺屋氏)
●スウェットパンツ/1990円
コットンにポリエステルを加えることで膝抜けを防止し、しっかりとした穿き心地を実現したスウェットパンツ。裏地はふんわりとして触感も抜群だ。
「先ほど、スウェットシャツがトレンドであるとお伝えしましたが、スウェットパンツも流行しています。おしゃれな着こなし方としては、上半身は襟付きシャツにしてきれいめに決めて、下半身をスウェットパンツにしてギャップを出すという方法がありますね。ただし、こちらもあくまで若者の間での流行りのため、センスのない大人男性が穿くと“寝間着”感が出てしまうので、避けたほうがいいでしょう」(堺屋氏)
●ロールアップスリークォーターカーゴ(カモフラージュ)/2990円
高密度に織られた生地で適度なハリ感を表現したカーゴパンツ。通常の丈で穿くと膝下まであるが、膝丈のハーフパンツにもできる2WAY仕様となっている。ベルトなしでもOKのイージーウエストタイプで、デザイン性と収納力の高さを両立したカーゴポケットも特徴だ。
「カーゴパンツであることは全然問題ありません。
●ワイドストレートベイカーパンツ/1990円(※値下げ後価格)
ベイカーパンツとはパン職人が穿いていたようなパンツのことで、現在トレンドになっているアイテム。ワーク系ボトムならではのシルエットを表現しながら、軽やかなコットン100%素材というラフな素材感で、軽い穿き心地となっている。ちなみに、こちらもクリストフ・ルメール率いるデザイナーチームが手掛けたものだ。
「鬼門なのは、商品名にもなっている“ワイドストレート”なシルエット。要するに太くてまっすぐなボトムなんです。これがともかく、クセが強い。裏原宿を地元感覚で歩けるような若者といった相当なファッショニスタでないと、これをおしゃれに着こなすことはできないと思います。穿くと野暮ったくなってしまう人が大半でしょうね。少なくとも万人向けではありません」(堺屋氏)
ベーシックデザインが多いユニクロのなかにも、ファッションセンスが高い人でないと着こなせないような、クセの強いアイテムが紛れているので注意したいところだ。ちなみに最後に紹介した「ワイドストレートベイカーパンツ」は、当初は3990円で売られていたものが、1990円と約半額まで値下がっている。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」 from A4studio)
※情報は2019年4月10日現在のものです。