>>>中編より

大河をぶち壊した三谷ワールド

 大河主演で増長した末の不祥事やトラブルなら、まったくの自業自得。ただ、そもそも「大河の器か?」という者が分不相応な神輿に乗せられてしまうのは、その役者もある意味で被害者のようなものだ。

実力以上の番付に置かれてしまったため、その後に苦戦する──相撲用語で言うところの「家賃が高い」というやつだ。

 2004年、三谷幸喜脚本で話題になった異色作『新選組!』。主人公の近藤勇を演じたのは、SMAPの香取慎吾。常に一本調子で力任せな芝居。ジャニタレ屈指の大根役者に、なぜ大河の主演という身に余りすぎるお鉢が回ってきたのか?
「あの大河は三谷幸喜ありきの、言ってみれば『企画モノ』。出演者にも、三谷作品の常連が顔を並べました。

そうした縁故でもなければ、大河というブランドをぶち壊しかねないキャスティングにOKは出さないでしょう」(テレビ局関係者)
 かつては本格派俳優中心にキャスティングされてきた大河だが、近年では視聴者の嗜好に合わせて、主役、脇役問わず、イケメンの若手を起用することが増えている。その先駆けとも言えるのが、この香取と翌年『義経』で主役に抜擢された同じジャニーズの滝沢秀明だ。

軍師官兵衛の岡田准一にも暗雲

「『義経』は『新選組!』と異なり、作品自体は本格派。ただ、キャスティングに関しては主役、脇役ともに重みが足りなかったですね。昔ながらの大河ファンには大不評で、平均視聴率も19.46%と振るわず。矢面に立たされたのは、当然、滝沢です」(ドラマライター)
 重厚な芝居を見せるベテラン勢に囲まれ、主役の大根ぶりがことさら浮き彫りになってしまうのも哀れだが、話題性狙いの配役の責任を負わされるのもお気の毒なことだ。

香取、滝沢ともに、役者としてはこの大河主演がピークだった。
 2009年に『天地人』の主役を務めたのは妻夫木聡、そして2012年の『平清盛』では松山ケンイチが清盛役を演じた。どちらも当時の旬ではあったが、大河の主役としては大物感が足りなかった。いずれも視聴率は振るわず、『平清盛』にいたっては平均視聴率12.0パーセントという歴代ワースト記録を作り、「醜く描かれた崇徳天皇の呪い」との噂まで流れる始末だった。
 これだけの“事故”を起こしたのだから、その後、NHKから一切お声がかからないのも致し方ない。でも「小雪のダンナ」という安定したポジションがあるから、本人は気にしてない?
 さて、今年の大河はどのような作品となり、どれほどの視聴率を獲得するのか。
そして、主演の岡田准一は無事俳優として生き残ることができるのか。若手俳優のなかでは演技力には定評のある岡田だが、「ジャニタレ」「宮﨑あおいとの奇縁」など、気がかりな点は山積みだ。

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(文・編集部)

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