再現性の低い再現ビデオ、その理由を推測

 『情報ライブ ミヤネ屋』(讀賣テレビ)司会の宮根誠司が2014年5月15日の放送で(うちの再現ビデオは)「再現きついなあ」とついに嘆いたほどのクオリティを誇る、同番組の芸能報道に出てくる再現ビデオ。
 なぜ他局、他番組の再現ビデオと『ミヤネ屋』の再現ビデオは大幅に違うのか? そこには様々な事情があるようだ。

1、感情移入ができないように、あえて演者の顔を映してしまう

 美男美女の芸能人を再現するとき、わざと再現度の低い人を利用して、顔を見せなければバレないし感情移入もできるのに、あえて映してしまう。顔を映すのは演出上わざとだと思われるが、対象の一流芸能人に対し、再現の人たちは容姿だけでなく背格好から、生活スタイルまで似ていない。しかも演者が傍からみるとスタッフか素人のような人選で懐事情が伺える。

 売れっ子エキストラや演劇系のベテランを利用し、ハウススタジオを借り、ある程度はモデルに似せる東京キー局の再現映像と比べると確かにレベルは高くない。宮根自身がモデルクオリティの低さを指摘することも頷けるのだが…。

2、わざと? 再現ディテールが甘い

 例えば5月15日放映分では女性セブンが報じた杏と東出昌大がネパール料理店で仲良く食事をしていた内容を、再現VTRではネパールカレーと解説しているにも関わらず、再現の食事は「ただの(日本風の)カレー」に。


 また明らかにマンションでなさそうな大型ビルをマンションに見立てるなどわりと雑な再現度だ。
 他にも、芸能人が仕事場として借りている建物の写真など、現実のものではないと思われるものもあるが、「イメージ」の文字を付加していない。

3、尺つぶしと割り切り演技を求めていない

 大阪側で作成しているのか、あるいは讀賣テレビの東京側のスタッフが作成しているのかは不明だが、大阪でもエキストラ事務所もあれば劇団事務所も多いため、大阪制作が理由でクオリティが低くなっているとは考えづらい。
 基本的にミヤネ屋の再現ビデオではほとんどナレーションで話が進められ、演者の声も出ない。高度な演技を求められることはまったくなく、ただ「そこに居た」「こう行動した」ということをなぞり、尺を埋めるだけの内容。そのため誰が演じているということがあまり求められていないのだろう。

時間との戦い

 『ミヤネ屋』といえば毎回1つの事件や訃報で長時間(最大1時間程度)の尺を持たせることが有名だが、少ない素材で大きな尺を埋めるために作られている再現ビデオにも裏事情がある。10分から20分程度のコネタは独自取材ではなく、当日発売週刊誌報道の追っかけが多いため、事前情報入手から内部のOKを貰って制作するまでの時間が非常に少ない。人選などしている時間もないのだろう。見るほうも「それなりの質」なのはわかった上で、力の入って無さを楽しむのが正解なのだ。

 大阪ならではの「ついツッコんでしまうレベル」の再現ビデオを短時間で作成するスタッフのセンスは、ある意味娯楽としては絶賛してもいいのかもしれないが、東京制作も知っている宮根からは、これからも厳しく質の追及をうけそうだ。

(文・編集部I)