基地局の増設や新たな周波数帯の割り当てに頼らず、5Gで快適な通信を楽しめるようになる技術をソフトバンクが開発しました。
「35兆通りの中から最適な組み合わせを見つける」という、なかなかとんでもない内容です。
詳細は以下から。

◆複雑化するキャリアアグリゲーションの組み合わせ
まずおさらいしておきたいのが、国内ではKDDIを皮切りに導入されたCA(キャリアアグリゲーション)の仕組み。
複数の周波数帯を組み合わせて通信できる技術で、エリアが広くつながりやすい低周波数帯やエリアが狭い代わりに高速・大容量通信ができる高周波数帯の「いいとこ取り」ができるようになるものです。
ソフトバンクの5G「10%高速、50%大容量化」に成功、量子コンピューティング技術でCA(キャリアアグリゲーション)を最適化

しかしソフトバンクのプレスリリースによると、CAを利用するためには必要な基地局同士の関連付け(CAリンク)が基地局の増加で飛躍的に複雑化。
・10局から2局を組み合わせるだけで45通りが存在
・各組み合わせに「CAリンクを設定する、しない」の選択肢がある
全体の組み合わせだけで実に35兆通りあるほか、基地局ごとに設定できるCAリンクの上限数などの制約もあるとされています。
◆量子コンピューティング技術で組み合わせを最適化へ
上記のような組み合わせ問題を解決すべく、ソフトバンクは量子コンピューティング技術の一種で組み合わせ最適化問題に特化した専用計算機「イジングマシン」を活用した実証実験を都内で実施。
複数の5G基地局が設置された東京都内のエリアを細かいメッシュに分割し、CAが利用できるメッシュ数を最大化するCAリンクの組み合わせを算出したところ……
ソフトバンクの5G「10%高速、50%大容量化」に成功、量子コンピューティング技術でCA(キャリアアグリゲーション)を最適化

従来より23%広いエリアでCAが利用できることが確認できました。
ソフトバンクの5G「10%高速、50%大容量化」に成功、量子コンピューティング技術でCA(キャリアアグリゲーション)を最適化

さらに下り速度も平均10%ほど向上。
ソフトバンクの5G「10%高速、50%大容量化」に成功、量子コンピューティング技術でCA(キャリアアグリゲーション)を最適化

通信容量の向上に用いられる周波数帯「セカンダリーセル」での通信容量が最大50%も引き上げられており、高画質動画の快適な視聴やオンラインゲームのプレイなどに貢献できるとしています。
ソフトバンクの5G「10%高速、50%大容量化」に成功、量子コンピューティング技術でCA(キャリアアグリゲーション)を最適化

なお、ソフトバンクは今後量子コンピューティング技術をネットワーク構成の最適化や運用領域へ活用。さまざまな領域のサービスへ展開することで、より快適で高品質なサービスの提供を目指していく方針です。

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