催眠術の1番の特徴は「無意識の部分に働きかける」こと。
人は、その学習能力の高さから自分に制限をかけやすい、と本書は指摘します。同じ失敗を繰り返すと「これは自分には向いていない」と感じたり、信用していた相手に裏切られると「人を信じてはいけない」と悟ったり。そういったネガティブな発想が知らず知らずのうちに自己暗示をかけ、無意識に行動を制限してしまうのだそう。
自分に催眠をかけることの第1歩は、まずこのネガティブ思考をやめること。つまり
「すでにあなたが自分でかけている暗示を『解いていく』あるいは、日常的にかけているネガティブな暗示を『入れないようにする』」
(本書159ページより引用)
ことなのです。
ポジティブな暗示をかける次のステップとなるのが
「ひとから言われたいことを自分に言ってあげること」
(本書177ページより引用)
だといいます。
ネガティブな思いを入れず、言われたいことを自分に語りかける。本書で繰り返し強調され、なるほどと思うのは「自分の心の声」にはとても大きな影響力があるということ。そして
「脳は常に情報をインプットして、情報を処理しているので、『入ってくる情報はすべて暗示になり得る』ということ」
(本書192ページより引用)
です。自分のちょっとした思いグセを意識的に変えるだけで、人生の可能性が広がるかもと考えると、すぐにでも試してみたくなります。
自分に催眠をかけるだけでなく、他人の潜在意識に働きかけることができれば、ビジネスや人間関係に活用することもできるかもしれません。本書ではまず、コミュニケーション能力をアップさせる方法として、相手との共通点を作るスキルについて解説しています。
例えば、相手の話すスピードやリズムを合わせる、といったことから、相手と価値観を合わせる、相手の口癖を自分の会話に取り込む、服のテイストを合わせるなど。自分と共通点が多いというだけで、初対面の相手でも自然に心を開いてくれる、というのです。
催眠術は誰でもかけられるさらに踏み込んだ、「相手からイエスを引き出すテクニック」などは、使われたら思わず「イエス」と言ってしまいそうでドキッとさせられる内容。こういった技術が、広告やセールストークに巧みに利用されているのかもと思うと、相手の催眠テクニックに乗らないように、知識として持っておくことも必要かと思いました。
本書にはほかに、「1、2、3」と数えて椅子から立てなくなるといった、誰もがイメージする催眠術のかけかたについての解説も載っています。テレビで観る催眠術の裏話や簡単にマスターするためのテンプレートなど、周囲をあっと驚かせる催眠術に興味のある人にも楽しめる内容です。
『人の心を操る催眠術「ブレイン・ハック」』
著者:中井英史
定価:1575円
出版社:フォレスト出版
girl in the city at night via Shutterstock
(文/ミヤモトヒロミ)
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