2軒目の宿泊となるホテルは、ドバイでもっとも美しいリゾートと称される「ワン&オンリー・ロイヤルミラージュ」へ。"いいホテルは光がいい"、そう改めて確信できるほど、ゲストを一瞬で別世界に誘う心地よい光と静けさに満ちています。
静寂に満たされたドバイ随一の大人のリゾート「ワン&オンリー・ロイヤルミラージュ」は、65エーカー(約8万坪)の広大な敷地に「ザ・パレス」「アラビアンコート」「レジデンス&スパ」の個性の異なる三棟で構成され、優美な曲線を描くヴォールト(天井のアーチ)に心奪われる「アラビアンコート」のロビーを始め、細部まで洗練されたアラベスク様式で統一されています。
アンティークの刺繍のタペストリーやモロカン風のシェンデリア、美しい生花のデコレーションなど、調度品から採光まで見事に考えられていて、だからどこを撮ってもフォトジェニック。まさに美は細部に宿る、です。
ゲストルームは部屋ごとにブルーやマゼンダなど鮮やかなアラビックカラーを上手に取り入れ、広さは45㎡からとゆったり。アメニティは棟によって異なりますが、王室御用達の「ペンハリガン」などいずれも英国製をセレクト。その香りの良さに癒されます。
そして約1kmに及ぶ美しいプライベートビーチがあり、その背後にはそびえ立つ超高層ビル群が。これもまさにドバイを象徴する眺め!
イスラム伝統の「ハマム」を体験ホテルに籠ってゆったりと午後を過ごすなら、まずはSPAへ。ここでは「ESPA」のトリートメントのほか、イスラム文化の伝統的なお風呂「ハマム」の施設が完備しているので、ぜひ体験を。「ハマム」の基本メニューは、スチームで温まった後にモロカンブラックソープでクレンジング、ヘチマのグローブで優しくスクラブ、最後は軽いマッサージ&ストレッチ......と続きます。
薄暗く照明を落とした室内で、じんわりと温かい大理石のベッドでスクラブされるうちにウトウト。半裸の状態でうら若き女性スタッフに身体を洗ってもらうのは少々照れ臭くもあるけれど、これこそ伝統のスタイルです。
スクラブの力加減も湯温も、大理石ベッドの温度もすべてが絶妙。施術後は全身すべすべ&しっとり。チルダウンの部屋にはザクロジュースとデーツが用意され、ベッドでトロトロと微睡むひと時がまた、至福なのでした。
ハマム・トリートメントは50分、80分、110分の3コースで460AED(約1万5180円)~。
もうひとつ、午後の過ごし方として「サモアラウンジ」でのアフタヌーンティーもロマンチックです。紅茶はドイツの高級紅茶ブランド「ロンネフェルト」の茶葉なので、紅茶ファンの人も楽しめます。「ノリタケ」のティーセットを使っていたのもちょっと嬉しくて印象的。
「ザ・サモワール・ハイティー」15:00~18:00 99AED(約3300円)
食事に関しては、16もの個性豊かなレストラン&バーがスタンバイしているので退屈することはまったくありません。特に感動的だったのは、「レジデンス&スパ」棟のプライベートダイニングでのランチ。
ここはレジデンスに宿泊したゲストのみが利用できる限定空間なのですが、それだけにプライベート感は格別。
"ハッピーデイズ"や"禅"などの名前がついたフレッシュジュースも、シェフのインスピレーション溢れる素材の組み合わせで、どれも美味でした。
ドバイには絢爛豪華なラグジュアリーホテルは数多あるけれど、やはり、ここは一味違う。一度滞在したゲストはその上質さに惚れ込み、今や50%がリピーターというのも頷けます。特に50室しかない「レジデンス&スパ」は、もっとも高額にもかかわらず一年を通して満室状態とか。
煌びやかさを誇るのでなく、"アラビック・ホスピタリティ"でゲストを癒す。そんな洗練と成熟があるからこそ、旅慣れた大人たちの心を掴むのでしょう。
中東オリジンに触れるお土産を発見!高級メゾンからスターシェフのレストランまで、世界中の話題の店が集結するドバイですが、今回はもっと中東文化のオリジンに触れられるお土産を見つけたくて、探しに出かけました。
完成までに3年を費やす芸術的ショールまず立ち寄ったのはカシミール専門店「プライド・オブ・カシミール」。ドバイの街にはショール屋さんが溢れていますが、こちらは別格。
自社で羊毛の採取から製紡、染色まで管理するこの店で発見したのは、「ジャマ」と呼ばれるフル・エンブロイダリー、つまり全面に刺繍を施したショール。しなやかで光沢に優れた最上級のショールを使い、その1枚に3年の月日をかけて刺繍を施していくという、気の遠くなるような作業。仕上げるには熟練の技術が必要で、こちらは70歳の職人さんが手がけたそう。
ちなみに写真右の、一部に刺繍をしたストールは4500AED(約15万円)。これでも充分にいいお値段ですが、その差は実に10倍。でも制作期間3年と聞けば、納得もできます。
隙間なくびっしりとペイズリー柄が展開する緻密な仕上がりはもはや芸術品。最近の購入者の多くは身につけるのでなく、観賞用として額装したりタペストリーとして飾ったりするのだそう。一体どんな人が購入を......と思ったら、取材の前日に京都から来た日本人女性が2枚お買い上げされたとか! 驚きです。
UAEの今を感じるセレクトショップ「o'de rose 」は、 ベイルートとニューヨーク出身の3人の従姉妹が 2008 年に開いたセレクトショップ。
レバノンやイラン、トルコ、エジプトなど中近東から欧州まで幅広く買い付けるのは、アーティストが手がける家具や日用雑貨、そしてファッションアイテムなど、エキゾチックでクールなアイテムばかり。カフタンスタイルのサマードレスやアラビア語が刺繍されたビーズのクラッチなどは、見ているだけで思わずテンションが上がります。
どれも伝統のモチーフを現代的なセンスで新解釈したデザインだから、普段の私たちのアイテムにもなじみやすいです。個性的なお土産を見つけるならぜひ、おすすめです!
楽園の木から採れる超高価なハチミツさて最後は、筆者のライワークのひとつでもあるハチミツ探し。ハチミツはその地に自生する植物から作られるので、土地ごとに味の個性もあって、お土産に重宝するんです。
なかでも最高級の商品は、イエメンに自生するシドルという木から採るシドルハニー。シドルはコーランでは楽園に生える木のひつとして登場し、キリスト教ではイエス・キリストの冠を作った木と伝えられる宗教的にも重要な意味を持つ樹木。また乾燥地帯に生息するため生産量が少なく、栄養価の高さと稀少性から非常に高値で販売されているそう。同じシドルでも採取される場所によって価格も異なり、最も高価なものは296g615 ディルハム=約2万円! これはもはや生薬、漢方の域。
恐る恐る一番リーズナブルなタイプを購入したところ、それでも 296g175 ディルハム(約5,800円)。口当たりはかなり濃厚ですが、後味はスッキリ。写真のように柄杓ですくって"タップーン"と器用に瓶詰めしてくれます。このパフォーマンスも、濃度が高いシドルハニーだからこそできるのかも!?
ベストシーズンの今、すぐ旅立っても、またはあえてラマダンの時期を選択するのもよし。豊かでクリーンで安全で、そしてオープンマインドな国・ドバイの魅力を、成熟した本物のホテルライフとともに改めて体験してください。
■One & Only Royal Mirage(ワン&オンリー・ロイヤルミラージュ)
住所:Al Sufouh Rd,Jumeirah Beach Road,opp Dubai Media City, UAE
TEL:+971-4-399-9999
■PRIDE OF KASHMIR(プライド・オブ・カシミール)
住所:Al Quoz, 4th Interchange,Sheikh Zayed Road, P.O.Box 27732 - Dubai, UAE
TEL:+971-4-340-5343
■o'de rose
住所:999 Al Wasl Road Umm Suqeim 2,Dubai,U.A.E
TEL:+971-4-348-7990
■Balqees Honey(バルキース・ハニー)
住所:Financial Centre Road,Downtown Dubai,Near Buj Khalifa Dubai Mall Lower Ground.
取材協力:ドバイ政府観光・商務局
取材・写真・文/藤森陽子
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