実際、国比較の小話に出てくるフランス人には、必ず「愛人」がつきものだったり、フレンチキス、フレンチラヴァー、フレンチベッド(トルコではダブルベッドを意味する)など、性的な意味と絡めた単語にも事欠きません。
実恋愛においても、「Je t'aime.(愛してる)」「Je t'aime.」と、甘い言葉をしょっちゅう囁いているんだろうな、というのが、大方の見方のようです。
けれども実はフランス人、この「Je t'aime.」という言葉を、そう簡単に口にするわけではないというのが、私の印象でした。
その裏付けとなる調査が最近発表されました。これは、出会いサイトMeetic Franceの要請により、YouGov統計会社が、フランス成人男女1002人を対象に行ったものです。
それによれば、フランス人が異性と知り合ってから最初にベッドをともにするまでの平均日数が27日なのに対して、出会いから最初にJe t'aimeと告白するまでの時間は平均2か月半もかかるのです。
そういえば学生時代、「付き合い始めたんだけど、je t'aimeとは言ってくれないの」という友人へ、周りが一様に「それは彼が誠実である証拠ね」とポジティヴなコメントを寄せていたことを思い出しました。まだみんな20代だった頃の話で、なんと世慣れた目線!と驚いたものです。
裏返せば、言葉だけの「愛してる」はまっぴらごめんというのがフランス人の感覚なのかもしれません。当然、ベッドに誘うためだけの「好きだ」なんて、論外! ということでしょう。
「好きだ」とは比較にならない重み世界で一番知られているフランス語ともいえるこの「Je t'aime」。この言葉には、日本人には計り知れないほどの重みがあり、口にするには相当な覚悟が必要なのです。「これを言っちゃったらもう後には引けない」という感じでしょうか。
上に書いたように平均は2か月半ですが、同アンケートによれば、7%のフランス人は、この言葉を口にするのに、1年以上かかると答えています。
ついでながら、bien(よく)とかbeaucoup(とても)など程度の高さを表す副詞を付けた「Je t'aime bien」や「Je t'aime beauoup」。通常なら、「こっちの方が程度が高くなって口にしにくいのでは?」と思うかもしれませんが、実はそんなことはなく、こちらの方が簡単に口にできる言葉なのです。修飾語を何もつけない短い「Je t'aime」の方が、ずーっと重くずーっと深い意味を持つというのも、面白いものです。
ただ逆に、一旦「Je t'aime.」と認めてしまえば、あとはもう何度でも繰り返すようになるのがこの言葉でもあります。仲のいい夫婦なら、一日数回口にすることも珍しくありません。
平均して、意外に慎重なフランス人上に、出会いから最初のベッドインまでの平均日数は27日と書きましたが、それでは最初のキスまではどのくらいでしょうか。出会ってすぐでもいいと考えるフランス人は10%、翌日ならOKと考えるフランス人は26%もいますが、実際は、平均13日という結果が出ています。
また、相手との真剣な付き合いを考えるまでにかかる時間は、男性が150日、女性が207日。平均して6か月ということです。
まとめると、フランス人は異性と出会って、約2週でキス、更に2週で最初のベッドイン。しかし、そのあと、さらに6週経つまでは、「愛している」とは告白しません。
このあたり、恋愛の前で、意外に慎重なフランス人像が浮かび上がってきます。世界に流布する「恋愛の達人像」と、ぴったり重なるわけではないようです。長年の印象が裏付けられて、私もすっきりした気分になったアンケート調査でした。
[Meetic.fr , YouGov, FranceSoir]
image via Shutterstock
■ あわせて読みたい・老け印象の80%は紫外線が原因!? 肌が欲しがる意外なもの
・あわただしい年末の日々にうるおいを。「落とすこと」の大切さ
・香りで五感を刺激する。個人書店の店主が教える、読書の楽しみ方
・更年期を上手に過ごすために。リアルな体験談と女医が答えるQ&A
・大人は22時から盛り上がる。女同士の夜遅パーティ