7月中は、私の経験や書籍『逃げたい娘 諦めない母』からの引用に基づき、微毒な母のありがちな言動や、それに振り回される娘の苦悩、母に対応するための処方箋を4回にわたってご紹介しました。

8月以降は、読者のみなさんからお寄せいただいたエピソードに基づきながら、母とどう付き合っていくことが娘の幸せにつながるのかを考えていきたいと思います。

いわば"微毒母の傾向と分析"です。

お寄せいただいているエピソードを拝見し、娘を自分の意に沿うような"いい子"にしておきたい、自分の関知しない世界での娘の幸せを認めようとしないといった困った母がいかに多いかということを、改めて思い知らされました。

同時に、こうした母とのエピソードを注意深く読んでいくと、多くの母親に虚言癖があり、娘はそれに振り回されているということに気づきました。

正論に嘘で対抗する母たち

40代で現在一人暮らし中という女性は、母親に住所を知らせていません。電話は着信拒否し、メールは受信していますが、返信はしていないといいます。

住所を知らせていないのは、「必要のない食材の入った小包を送ってくるから」。『逃げたい娘 諦めない母』にもそんなワンシーンがありますが、「いらない」と言っているのにモノを与えようとする母親との葛藤、心当たりのあるかたも多いのではないでしょうか?

また、この女性は、親戚や周囲に対して平気で嘘をつく母に悩まされたエピソードも書いてくださいました。

例えば私は病気をしましたが、その時に母親と今までの件についてやりあいました。すると、「(娘は)心身ともに病んでしまった」と、心の病であるとされてしまったのです。

エピソードより抜粋

別の女性は、こんな文章を送ってくださいました。

自己保身のためには、実の子供まで平気で人に売る、そんな親です。辻褄が合わなくなると、また他人を悪者に仕立てて嘘を重ねる。

エピソードより抜粋

この方は、祖父母(母にとっての義父母)をいじめる母の姿に見て見ぬふりをすることができず、祖父母をかばおうとしたところ、親戚中に「娘が悪い」と言いふらされて悪者に仕立て上げられた過去があるといいます。

母は、娘はいつまでも自分の意のままに操ることができる存在だと信じたいのかもしれません。そんな娘が大人の顔を見せて正論を述べたとき、母は慌てて自分を正当化すべく、娘を心の病気だと思い込んだり、娘が悪者なのだと言い触らしたりするのでしょう。

二度傷つく娘たち

娘に"論破"されると取り乱し、嘘を重ねる母親。私はなんとなく、幼いころの自分を思い出します。

母に怒鳴られないためについた嘘の数々。母の望む"いい子"だったと認めてもらうために、ときには「○○ちゃんがいけないんだよ」とお友達を悪者にして自己保身を図った私。

幼いころにつかざるを得なかった小さな嘘と、いい大人である母がつく嘘が同等だなんて言うつもりはありません。大人の嘘、母の嘘は、世間的な信ぴょう性が高いぶん、子供の嘘よりもはるかに悪質です。

でも、母の嘘の、なんと悲しいことか! 娘は、母に悪者にされたという悲しみと、自分の母の卑屈さを思い知らされるという、二重の悲しみを負わされるのです。

身近に自分の味方を作る

母の虚言癖に対する根本的な解決法は、残念ながらありません。年老いた母に反省してもらい、変わってもらうことなど、ほぼ無理です。

娘側の自衛策としては、もしも兄弟姉妹がいらっしゃるのなら、その誰かと困った母の言動を共有し、母と会う必要があるときにはできるだけひとりで会わないようにすることでしょうか。

もしくは、パートナーに理解があるのなら必ずパートナーと一緒に母と会う、理解のある親戚にだけは本当のことを打ち明けるなど、とにかく身近に自分の味方を作ることが大切です。

祖父母へのいじめを自分のせいにされてしまった先ほどの女性は、状況を正しく理解してくれているご主人に心を救われているといいます。

ただ、他の兄弟姉妹にあることないことを言いつのり、ひとりの娘だけを悪者にする母親もいると聞きます。夫や兄弟姉妹、親戚も頼れないという場合は、同じような経験をしている仲間がいるということを心のよりどころにするだけでも、少しは楽になれるのではないでしょうか。

大切なのは、母が嫌だと思ってしまう自分を認めてあげることです。「母が嫌いだなんて、人としてどうなんだろう?」という葛藤を書いてくださった方もいらっしゃいますが、そんな気持ちを抱えているみなさんは、何も悪くはありません。

「母がつらい」と思わざるをえない事象が起きているのは、決してあなたのせいではないのですから。

#母がつらい を語りましょう

"微毒"な母に苦しむ娘ー。

そんな"いい子"な娘たちに向けて、私は『逃げたい娘 諦めない母』という書籍を書きました。「母の善意のアドバイス」にどう対応したらよいかを、母との関係に悩む主人公の物語を通じて描いています。

本書の解説を担当してくださったカウンセラーの信田さよ子先生は、「同じような経験をしている仲間を持ち、励ましあうことが大切」と述べています。

そこで、母と娘の関係に悩む女性たちの声を募集します。

母に対して割り切れない思いがある人も、そうでない人も、ぜひご意見をお寄せください。

SNSで発信する場合

ご自身のTwitterかFacebookで「#母がつらい」のハッシュタグをつけて投稿

エピソードをお寄せいただく場合

朝倉さんの連載エッセイで紹介するエピソードを募集します。あなたと母親のエピソード、母親への思いを聞かせてください。その際にお名前など個人を特定する情報が掲載されることはありません。

メール件名:母がつらいエピソード

宛先:info_cafeglobe@mediagene.co.jp

イラスト/宮田翔

あわせて読みたい

「いい子」として育った娘の苦悩 #母がつらい

善意と恩の押し売りから逃げる #母がつらい

誰かに認めてもらいたい娘 #母がつらい

この記事を気に入ったら、いいね!しよう。

Facebookで最新情報をお届けします。

編集部おすすめ