ブランディングプロデューサー、柴田陽子さん。

前編に続き、後編では柴田さんのライフスタイル、ご自身がデザイナーを務めるブランド『BORDER at BALCONY』について、さらには大人の女性の着こなしについて伺った。

自分に手をかける時間を持つ

どんなに忙しくても、自分のための時間は必要だと言う柴田さん。多忙なスケジュールを調整し、週2度のヨガ、月に1度のネイルなど、コンスタントに自分の時間を捻出している。


「じつは、ネイルをしている時間もストレスだったりするんです(笑)。早く仕事に戻りたくて......。自分のためにしていることは、ヨガやフェイシャル、ネイル、ヘアトリートメントなど。すべて頻度が決っていて、定期的にケアしています。

夜の会食が多く、フレンチやイタリアンなどヘビーなものばかりなので、食事にはかなり気をつけていますね。朝は基本的に何も食べず、お昼もコールドプレスジュースかサラダで済ませます。糖質を摂るならどのタイミングが良いとか、同じ糖質でも何から摂ったら良いのか、ということにすごく興味があるんです。何でも『これは本質か?』と考えて、本質でないことはしないようにしています


サプリについて研究したり、人間ドックなど定期検診に加え、血液検査やホルモン検査といったエンジングチェックも行っているという。リーダーの基本は健康。客観的に見ればストイックと思われがちな健康管理も、柴田さんはいとも軽やかにこなしている。

経営者として、クリエイターとして、そして母として、毎日フル回転の柴田さんだが、そのエネルギーの源は一体どこにあるのだろう。

「友だちや経営者、一流のクリエイターなど、自分が頑張れば頑張るほど、かつて憧れていたような人たちに会えて、その人たちと一緒に時間を過ごしたり、お仕事をご一緒したりできる。すると、自分がまた次のステージに上がることができ、自分はまだまだと感じる、といった学びの循環ができるんです。

そういった刺激的な人たちとお会いしたり、食事をすること、常に刺激的な仲間がたくさんいることが、私にとってはすごく大切なことですね」

価値を上げるひとつの要素が洋服

2013年秋に立ち上げたブランド『BORDERS at BALCONY』は、柴田さんが幼いころから好きだったというボーダーをモチーフとした大人の女性のためのアパレルブランド。フォルムの美しさと、着心地の良さから、著名人をはじめ、すでに多くのファンを獲得している。

ビジネスシーンでもプライベートでも活躍してくれるセットアップ。ウエスト部分のボーザーに細見え効果あり。パキッとした色の靴を合わせたい。

「なんとなく女性はその日によって"値段"がつけられてしまうものなんじゃないかと思っています。見た目によっては、100円だったり1万円だったり。そしてそれは、洋服によって高く見える日もあるし、低く見える日もある。私のブランドは、着た人の値段が上がるということを絶対に守りたいと思ってつくっています。

自己表現のひとつとして洋服と付き合う人もいますが、私はその人の価値を上げるのが洋服だと思っているので、たとえば今日、クリエイターと打ち合わせがあるならば、クリエイターの方の目線で魅力的か? と考えるとか、社長さんとの会食ならば、どういう格好をすればその社長さんが喜んで、気分よく食事ができるかな、ということを考えながら選ぶと良いですよね」

柴田さんのように体型維持ができずとも、素敵に洋服を着こなしたい、と誰しもが思う。大人の女性としてどんなことに注意し、どんな洋服を選び、どんな着こなしをしたらよいのだろう。

「いくつかポイントがあって、ひとつは首まわりの開き方。自分に似合うネックラインの開き方を知ることです。ふたつ目は、肩をきちっととること。また、ウエストは太めであったとしてもラインを出したほうが良いですし、足首手首は見えるほうが、隠すよりむしろスタイルがよく見えるんです。

もちろん自分の体型に自信がなくなったら、まずは努力してみることが大事ですよ(笑)。その上で、いま言ったいくつかのポイントを踏まえて選んでみてください。

私のブランドは肩のラインにとてもこだわっていて、きちんと感がありながら美しく見えるようになっています。肩だけに限らず、トップスのファスナーを長めにとることで、お化粧をした後でもさっと着やすいようにしたりと、細部にまで気を配ってつくっています」

爽やかさと知性を兼ね備え、合わせる小物次第では、カジュアルにもフォーマルにも使える『BORDERS at BALCONY』の洋服は、柴田さん自身もほぼ毎日愛用している。インタビュー当日も、袖の先に付けられたフリルが取り外し可能というブラックドレスを華麗に着こなしていた。

「私自身、朝は幼稚園に子どもを送り、会社で打ち合わせをして、クライアント先でプレゼンをし、夜は友人と食事をしたり、レセプションパーティに行ったりと、1日に何通りもの役割をこなすので、靴とカバン、アクセサリーでいろいろと表情を変えられるようになっています」


外見の美しさと内面の美しさは相互作用することは自明であるが、インタビューの冒頭、柴田さんの言った「どんなに大きな仕事をしていても、いつもキレイでありたい」という言葉からも、柴田さんの美意識と哲学が伝わってくる。

佇まいや、立ち居振る舞いから伝わる女性らしい部分と、常に真摯に向き合う硬派な仕事ぶり。その両方を併せ持つことが、女性活躍推進という薄っぺらい言葉を卓越した、女性の活躍の本質なのではないだろうか。


撮影/柳原久子

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