エレガントな物語「日の名残り」
「どんなものでも買えるお店(エブリシング・ストア)を作る」という壮大な野望を実現した奇才経営者ジェフ・ベゾス氏。彼が選んだ一冊は、人生の終わりに近づいた謹厳な老執事が始めての一人旅で回想する古き良き時代のイギリスを書いた「日の名残り」。アンソニー・ホプキンス主演で映画化されたことでも知られています。執事であった父親の威厳にみちた姿、女中頭に抱いた淡い恋、献身的に仕えたダーリントン卿のこと。ノスタルジーと諦観が美しい田園風景に溶けこみ、静かな感動を呼ぶ一冊は、忙しいわたしたちキャリア女性の琴線にも触れることでしょう。
世界長者番付常連、ビル・ゲイツ氏が選んだのは青春小説の古典的名作「ライ麦畑でつかまえて」
言わずと知れたマイクロソフト社の創設者ビル・ゲイツ。彼もまた、ビジネス書や啓蒙書ではなく、青春小説の金字塔として知られる名作「ライ麦畑でつかまえて」をお気に入りの一冊に選んでいます。主人公のホールデンはペンシルヴァニアの高校に下宿しながら通う16歳の高校生。ある日、学業不振などを理由に3度目の退学処分を受けた彼は寮を飛びし、生まれ故郷のニューヨークに戻ります。しかしそこに彼の居場所はありません。なぜなら、ホールデンにとって社会や大人といった存在は全て欺瞞に満ちていて、それらを受け入れることはできないから......。
マヤ・ アンジェロウの自伝書「歌え、翔べない鳥たちよ」
最後に紹介するのは、リチャード・ブランソンが選んだ一冊。ヴァージン・レコード、V2レコードなどの音楽業界やヴァージン・アトランティック航空で航空業界と種多様な事業をおこなうヴァージン・グループを設立し、ついにヴァージン・ギャラクティックを立ち上げ宇宙旅行事業にも参入している超ド級のアントレプレナーです。「歌え、翔べない鳥たちよ」は、現代アメリカを代表する黒人女性詩人マヤ・ アンジェロウの波瀾の人生を綴った自伝書です。理不尽な人種差別という壁にぶつかってもひるまない姿勢、知識を得てそれを生かしていくことの大切さ、そして最終的にはその壁を打ち崩す勇気を持つための力など、わたしたちキャリア女性に勇気を与えてくれる一冊になることでしょう。
多忙を極める彼らでさえ、時間を見つけて読書をしています。忙しい日々でも一冊の本を手にする余裕を──。わたしたちキャリア女性も見習いたいですね。
[BUSINESS INSIDER JAPAN]