フェミニストというと、エマ・ワトソンなど女性有名人にスポットライトが当たることが多い傾向にあります。しかし、最近では、男性有名人の中にもフェミニストを公言する人が増え始めているようです。

じつは、映画「ハリー・ポッター」シリーズで、エマ・ワトソンと共演したダニエル・ラドクリフもそのひとり。気になる顔ぶれをご紹介します。

政治の世界からは、トルドー首相とオバマ元大統領

政治家では、カナダのトルドー首相やアメリカのオバマ元大統領などが有名。2人とも、公の場で自身がフェミニストであることを認めています。トルドー首相は、2015年9月22日にツイッター上で「私はフェミニスト。フェミニストであることを誇りに思っている」というメッセージを投稿し、反響を呼びました。また、2016年3月の国連女性の地位委員会会合でも同様のスピーチをしています。

オバマ元大統領は、2016年8月には女性誌「グラマー」(電子版)にフェミニズムについてのエッセイを寄稿。娘を持つ父親として、ジェンダー・ステレオタイプに縛られない生き方がもっと認められるべきだと主張しました。

この2人はあまりにも有名ですが、じつはエンタメ界にも男性フェミニストがいます。

エマ・ワトソンの「同僚」ダニエル・ラドクリフも

ハーマイオニー・グレンジャーの親友でよき理解者ハリー・ポッター、ダニエル・ラドクリフも、じつはフェミニスト。2014年のインタビューでは、国連でスピーチを行ったエマ・ワトソンを褒めたたえ、その流れでフェミニズムに対するスタンスを以下のように説明しています。

僕は、何事においても当たり前に平等主義だと記者達に伝えているのだから、(フェミニストですか? という質問に対しても)「はい」が答えに決まっている。なのに、「フェミニストですか?」という質問が殺到するんです。最近、「あなたはフェミニストですか?」という質問が本当に多いんですけど、そのたびに「そうです、そうです、神に誓ってそうです! 違うという理由があると思いますか?」という気持ちです。おかしいと思います。

「Digital Spy」より翻訳引用

エマが熱心に取り組んでいる「HeForShe」キャンペーンなども支援している彼にとって、女性をひとりの人間として尊重するということは、ごく当たり前なことのよう。上記のコメントの通り、いちいちフェミニストなのか尋ねたり名乗ったりするほうがおかしい、というレベルにまでこの考え方が広く浸透するとよいのですが......。

「娘には自分の体は自分のものだと教えたい」ウィル・スミス

映画『メン・イン・ブラック』『インデペンデンス・デイ』の俳優ウィル・スミスも、娘を持つ父親として、女の子に「自分の体は自分のモノ」だと教えることが大切だとインタビュー中で語っています。

私たち夫婦は、娘のヘアカットは彼女自身に任せています。(中略)もし娘のヘアカットの決定権が父である私にあると教えたら、彼女がいずれ成長して外の世界に飛び出した時に、今度は他の男性が私の立場に代わることになるでしょう。彼女は私の髪を勝手に切ることはできないけど、自分自身の髪は切ることができる。自分の肉体に関する決定権は自分が持っている、と教えたいのです。

「Parade」より翻訳引用

恋人などに好かれたいという思いから身だしなみを整えることは、ある程度は自然な行為です。

しかし、他人と自分の境界が曖昧になって、自分自身の体をコントロールする権利さえ他人に渡してしまうというのはとても恐ろしいこと。ヘアスタイルだけでなく、体型やファッションなどについても同じことが言えるでしょう。「私の体は私のもの」という価値観を幼い頃から頭に叩き込んでおく、というのは見逃しがちですがとても大切なポイントです。

歳上の元妻と慈善団体を設立アシュトン・カッチャー

俳優の他に、実業家、投資家、慈善活動家としての顔も持つアシュトン・カッチャーは、2児の父親として子どもや女性の権利を守るための活動を精力的に行っています。16歳上の元妻デミ・ムーアと一緒に子どもの性的搾取や人身売買を阻止する団体「Thorn」を設立したり、IT業界の男女差別についてFacebook Liveで議論したりと、「口先だけのフェミニスト」でないところが女性達からも支持されているようです。

50歳のボンド・ガールを熱く支持ダニエル・クレイグ

映画「007」シリーズの主人公ジェームズ・ボンドは、いつも若くて美しい女性(ボンド・ガール)をはべらせている女たらしのスパイ。根強い人気がありながら性差別的だと批判を浴びることも多かったキャラクターですが、2015年の『007 スペクター』では史上最年長ボンド・ガールとしてイタリアの女優モニカ・ベルッチが起用されました。

主演のダニエル・クレイグは「新しい時代のジェームズ・ボンド像」についてこのように語っています。

私のボンドは、従来ほどセクシストやミソジニスティック(女性嫌い)なキャラクターではありません。世界は変わったのです。
私自身は決してそのような人間ではありません。でもボンドはそうだった。

つまりこのことが何を意味するのかというと、素晴らしい女優がキャスティングされたのだから、映画の中で彼女が演じる部分をできるだけ女性にとって良いものにするということです。

「Telegraph」より翻訳引用

モテモテの派手な女たらしでちょっとおバカ、というイメージだったこれまでのボンド像をガラリと変えたクレイグ版ボンド。大人の哀愁と渋みがなかなか好評でした。

クレイグの言うように、世の中全体の意識が少しずつ良い方へ変化しつつあるのかもしれませんね。

[Digital Spy,Parade,Telegraph.thorn,GLAMOUR」

photo by Getty Images

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