画像/MASHING UP

女性活躍など、企業が力を入れて取り組んでいるダイバーシティに関する課題。そのネクストステージは何か、企業DE&Iの延長線上にある社会との関わりを「包摂」と「共創」の観点から考える。

2022年11月11日に開催したMASHING UP CONFERENCE vol.6。「包摂と共創。新しい資本主義」と題したセッションでは、丸井グループ代表取締役社長/代表執行役員CEOの青井浩さん、プロノバ代表取締役社長/ユーグレナ取締役CHROの岡島悦子さん、ジャーナリストで前Business Insider Japan統括編集長、AERA元編集長を務めた浜田敬子さんが登壇し、MASHING UP 遠藤祐子のファシリテーションのもとディスカッションが行われた。

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幸せと利益の「共創」、新しい資本主義を考える

丸井グループ代表取締役社長/代表執行役員CEOの青井浩さん。

「もう少し先に見える社会がどのように変容していくのか、(岸田政権が掲げる)新しい資本主義というものも全貌がまだ見えてこない。実態が掴みにくいこれからをこのセッションで探れるのではないか」と、モデレーターであるMASHING UPの遠藤が狙いを語った。

セッションの冒頭では、創業以来の小売・金融一体の独自のビジネスモデルをベースに、さまざまな革新を進める丸井グループ 青井浩さんが、「共創経営」の考え方を説明。丸井グループでは、幸せと利益の調和——ウェルビーイングと資本主義の両立に取り組んでいる。

「企業を取り巻くステークホルダーがお互いに関わり合って協業しながら価値をつくる、そういう場を提供してるのが企業じゃないかという考え方なんです」(青井さん)

ジャーナリスト 浜田敬子さん。 撮影/中山実華

ジャーナリストとして数々の先進企業を始め、DE&Iの現場を取材してきた浜田敬子さん。丸井グループの取材時、企業内の取り組みについてインパクトを受けたと話す。

「DE&Iという言葉はいろんな企業で掲げられています。そのKPIになっているのが、女性管理職比率賃金ギャップの解消採用を増やすというあたりにあるのですが、丸井グループでは性別役割分業の解消まで踏み込んでいます。

会社の中だけでなく地域、社会に向けて企業はどうあるべきか……。単なる女性管理職を自社内で増やすだけではなく、現代の性別役割分業に対して何ができるのかという働きかけをしている企業に取材したのは初めてだったので、インパクトがありました」(浜田さん)

コロナ禍で大きく変わった働き方。持続的なインクルーシブとは?

プロノバ代表取締役社長 岡島悦子さん。 撮影/中山実華

コロナ禍でテレワークが推進され、人々の「暮らし」と「仕事」の関係性に大きな変化がもたらされた昨今。プロノバ代表取締役社長を務め、長年、企業のDE&I推進のサポート役を担ってきた岡島悦子さんは、「想像力と体験が重要」という。

「例えば、Aさんは子育て中なので夜はメール対応が難しいけれど、その分、朝早くならメールを見てくれている、など、『この人はこういう働き方をしているんだな』ということが、周囲に可視化されている状態だと想像力が働きやすくなる。その結果、多様な働き方を受け入れるインクルーシブが実現しやすくなるのでは」(岡島さん)

コロナ禍ではテレワークという新たな取り組みが導入されたことにより、暮らしの多様性に柔軟に寄り添う、まさに「働き方のDE&I」が進んだとも言える。自らが積極的にトライ&エラーに取り組むことで、暗黙の前提を打ち破る改革を進めてきた青井さんも、このように続けた。

「“ワーク”と“ライフ”が二項対立になっている。この境目には少し断絶があって、家庭内のことを仕事やビジネスに持ち込んではいけないなどの暗黙の前提があったと思うのですが、これらを融合させていくことが大事」(青井さん)

登壇者たちが考える「21世紀のビジネスの土台」

撮影/中山実華

トークセッションの最後には、今回のテーマでもある「新しい資本主義」に向けたヒントを探るディスカッションが交わされ、浜田さんは「包摂」、青井さんは「共創」、そして岡島さんからは新たな意見として「人的資本」という意見が上がった。

「新しい資本主義の中では“人的資本、ヒューマンキャピタル”が重点投資分野と言われている。人的投資による機会醸成が、個人のリーダーシップ発揮や企業が新しい付加価値を出していくところに繋がる」(岡島さん)

新しい資本主義の中には、「共創」と「包摂」そして、それを担う「人」という資本がカギとなってくる。

「今日の話は、全てが包摂と共創という言葉にしっかりと収斂されていく。

これまで像を結ばないと言われていた、新しい資本主義の形がわかった気がします」という遠藤の言葉で、セッションは締めくくられた。

撮影/中山実華

MASHING UP CONFERENCE vol.6

「包摂と共創。新しい資本主義」

岡島 悦子 (プロノバ代表取締役社長/ユーグレナ取締役CHRO)、青井 浩(丸井グループ代表取締役社長/代表執行役員CEO)、浜田 敬子(ジャーナリスト、前Business Insider Japan統括編集長、AERA元編集長)、遠藤 祐子(MASHING UP)

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