2024年6月20日、経済産業省にて「人的資本経営コンソーシアム 第2期第2回実践分科会」が開催された。
人的資本経営コンソーシアムとは、日本企業における人的資本経営を実践と開示の両面から促進することを目的とし、人的資本経営の実践に関する先進事例の共有や企業間協力に向けた議論、国内外の人的資本に関する情報の収集・発信と普及を行うもの。
人的資本経営を実践・開示の両面から推進するため、一橋大学 CFO 教育研究センター長の伊藤邦雄さんをはじめ、キリンホールディングス代表取締役社長 磯崎功典さんやソニーグループの会長 CEO 吉田憲一郎さんなど、日本の実業界を牽引するメンバーが発起人となり、2022年8月に設立された。現在はリクルート、日立製作所、出光興産など日本企業579法人が入会している(2024年3月末時点)。
今回の実践分科会では、「リスキリング・ 学び直しの推進」をテーマに、人的資本経営の実践に関する先進事例の共有、企業間協力に向けた議論を実施。約60社の人事担当役員が参加し、会員2社の発表と、人的資本経営の進捗状況や課題分析の調査結果の報告を行った。
発起人代表の伊藤邦雄さんによる挨拶。 撮影/MASHING UP発起人代表の伊藤邦雄さんは、「伊藤レポート」(2014年)「人材版伊藤レポート」(2020年)を取りまとめ日本の企業統治改革の牽引者として知られる。冒頭の挨拶では、「今年は人的資本情報開示2年目。開示もブラッシュアップする段階だが、インプット、アウトプット、アウトカムをストーリー立てて語れるよう、意思を持ちつつ取り組んでほしい」と語った。
企業事例として、中外製薬と富士通の執行役員らが登壇。中外製薬 上席執行役員 矢野 嘉行さんは、人事戦略のコンセプトを「個を描く」「個を磨く」「個が輝く」の3軸に設定、それぞれを実行運用するための施策・方針を発表。「社員一人ひとりに育成機会と成長実感を提供できるかが企業が選ばれ続ける分岐点」と語った。
中外製薬による事例紹介。富士通 執行役員SEVP CHRO 平松浩樹さんは、人材ポートフォリオ実現に向けた施策と投資を設定。リスキル、リソースシフト、採用等の施策を打ちつつ、キャリアオーナーシップをサポートする様々な取り組みの実施も紹介した。
後半の分科会では、参加企業間で現状と課題などを共有し、事業成長・事業転換に必要な専門性・スキルの定義や、PDCAの回し方など、自社の取り組みに活かす方法を議論した。