画像提供/オプト

「新しい価値創造を通じて産業変革を起こし、社会課題を解決する。」をパーパスに掲げ、サステナブルな経営に取り組むオプト(現デジタルホールディングスグループ)。

産業構造のトランスフォーメーションによって、新たな価値の提供に貢献していこうと考え、まずは長く携わってきた広告産業を変革していこうと、AX(Advertising Transformation®)を掲げている。

2024年春、マーケティング市場で活躍するオプト社のアルムナイやフリーランスマーケター、パートナーとして提携する他社エージェンシーとのオプト・コミュニティを活かして顧客企業の事業成長を支援する「opt spring™️ (オプト・スプリング)」の提供を開始した。そこには、DE&I推進を行っていたからこそ芽生えた共創の想いがあったという。サービス提供開始の意思と狙いについて、DE&I推進室 室長 菅原智華さんが、opt spring事業室 室長 高木良和さんに話を聞いた。

企業の存在意義と働き手の価値観の変化

菅原智華(株式会社デジタルホールディングス DE&I推進グループ 兼 株式会社オプト DE&I推進室 室長)...株式会社オプト(現:デジタルホールディングス)に入社後、マーケティング、営業企画、新規事業の立ち上げに従事。2015年に同社を退社。国内外に展開するコングロマリット企業にて、マーケティングおよび事業開発に従事。2018年デジタルホールディングスに再入社後、事業開発や投資を経験し、2回目の産育休後はグループ戦略推進に従事。DE&I推進、人事などの非財務価値領域を中心に担当。 画像提供/オプト

菅原智華さん(以下、菅原):まず、広告業界における働く環境と働き手である個人の価値観の変化を高木さんはどう捉えていますか?

高木良和さん(以下、高木):広告業界では、長時間労働が業界課題としてありました。プロジェクトの納期やクライアントの要求に応じて働くことが多いため、そのような仕事環境になりやすい傾向もあります。最近は、女性の社会進出による共働き世帯が増加している背景から、当社でも育児に積極的な男性社員が増えるなか、ライフとワークのバランスを見直す人も増えています。

菅原:そうですね。

また、若手社員の時間対比での成長度合いを意識する傾向も強いと感じますね。

高木:組織のマネジメントをするよりも、明確なスキルを持った専門的な職種の方が独立しやすく、働き方を自己決定できることで、ますます組織における管理職への魅力は薄くなり、退職率が高止まりしている現状がありますよね。

菅原:このような世の中の流れや個人の価値観の変化に適応していくために、企業をどのように変革して、あらゆる人が活躍できる環境を作っていくのかが、DE&Iの取り組みを推進する上で、大きな悩みの一つです。

高木:前提として、企業は利他的な存在であり、企業の存在意義は世の中を良くすることであると考えています。また、企業は枠組みであり、本来抽象的なものです。その為、社員か否か、所属しているか否かではなく、重要な点は、大事にしている価値観やビジョンに共感できる仲間かどうかだと思います。

組織文化の変革とDE&Iの当事者意識

高木良和(株式会社オプト opt spring事業室 室長)...株式会社オプト(現デジタルホールディングス)に入社後メディアコンサルタントとしてデジタル広告の提案および運用支援に従事。2016年以降はメディア戦略・仕入れ管掌の責任者を5年従事。2021年からは株式会社デジタルホールディングスのグループ戦略部部長として、グループ全体戦略の構築を担当。また、グループ会社2社の取締役を歴任。2024年現在はopt spring™️のサービスを立ち上げ、事業責任者として従事中。 画像提供/オプト

菅原:高木さんは、グループ戦略を推進する立場として「組織カルチャーの強化」を実行しましたが、なぜそこが重要だと考えたのでしょうか?

高木:個人と企業が相互に信頼を抱き、高め合う関係を築くことが重要だからです。社員一人ひとりが自己肯定感を持ち、自己の成長実感と他者への貢献実感を得ている状態であれば、組織・企業としての生産性が大きく向上するという好循環サイクルが生まれると考えています。

そのため、多様性を重んじるカルチャーをつくり、社員一人ひとりが自己実現に対する実感を感じる環境を提供することが経営の担う立場の役割だと思いました。

菅原:同感です。

高木:私自身、当社のDE&I推進室が主導して制定した「チャイルドケア休暇」を利用して約2か月の男性育休を取得したことも、自分にとって価値観が根底から変わる貴重な体験でした。産育休に入るときや、復帰のときの不安などは経験してみないと分からないことでした。

菅原:そうですよね。多様性を重んじるカルチャーをつくっていこうと考えたときに、一人ひとりが自分ごと化するためには、マイノリティの立場になる経験や自分の価値観にない体験をすることが近道だと考えています。男性育休はそういった狙いも込めて制定しました。

※チャイルドケア休暇:配偶者の出産前6週から出産後8週までの期間に取得を開始し、最短10日から最長20日まで取得可能な特別有給休暇。

opt spring™️ の立ち上げ・新しいビジネスモデル

菅原智華さん(左)と、高木良和さん(右)。 画像提供/オプト

菅原:高木さんご自身は、サステナブルな企業体を目指して取り組んでいるなかで、新しい事業「opt spring™️(オプト・スプリング)」を立ち上げました。どのような想いがおありですか?

高木:opt spring™️は自社のアセットだけでサービスを考えるのではなく、外部の人材や企業とも協力し、プロジェクトごとに適した人材を確保し、柔軟な働き方を推進します。特に、オプトに元々所属していたアルムナイメンバーとも積極的に関わりを持ちます。

なぜなら、同じ企業で働いていたということは、価値観やカルチャーがマッチしており、働く場所は変われど、同じ志を持ち続けていると思うためです。 昨今、デジタルマーケターが日本で枯渇しています。今後の世の中において、デジタルを有効活用することは各企業の事業成長に欠かせないため、デジタルマーケターの需給不均衡にペインがある現状は、日本の経済にとってマイナスです。事業成長を通して社会貢献をしようと考える企業に対して、適切なアセット/リソースを得られるようにする。その上で、会社の垣根って要らないのでは?と考えるようになりました。これにより、社内外のリソースを最大限に活用し、持続可能なビジネスモデルを追求しています。

菅原:オプトは、もともとの企業カルチャーとして従業員や顧客との関係性を大切にし、互いを尊重する文化が強いと思います。その点はopt spring™️の事業に関係はあるのですか?

高木:自社に閉じず、外部の人材や企業もアセットと考えて、継続的に世の中を支援する仕組みをつくる。Competitionの「競争」ではなく、Co-Creationの「共創」で考えていくことがこれからの事業では大切だと考えています。 それを実現できる根底には、オプトが大事にしている「一人一人が社長」という社風・企業風土があります。人材の流動性が高い業界において、退職したら終わりではなく、opt spring™️でつながり続けることができるのは、とてもやりがいと手応えを感じています。

菅原:最後に、opt spring™️の今後の展望についてお聞かせください。

高木:今後も、各パートナーの強みを生かしながら、多様な人材と共にopt spring™️がCo-Creationモデルの中心的な役割として、新しいリーダーシップを発揮していきたいです。

菅原:競争だけではない、共創という新しい仕組みを取り入れながら、広告業界全体の発展に貢献していきたいですね。

opt spring™️について、詳しくはこちら

株式会社オプト

(当記事はMASHING UP賛助会員の活動を伝えるものです。)

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