魅力的なボクサーがたくさん登場する『はじめの一歩』。その中でも、人気投票で常に上位に顔を出すのが「ヴォルグ・ザンギエフ」です。
性格もビジュアルも良く、ボクサーとしても一流な彼。今回は、主人公「幕之内一歩」のライバルにして、かけがえのない友人でもある「ヴォルグ・ザンギエフ」の魅力についてご紹介したいと思います。

【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】

■超一流の才能と技術を持ったボクサー

 旧ソ連出身で、アマチュア世界王者の肩書をひっさげて来日したヴォルグ。「ホワイト・ファング(白い牙)」と呼ばれる高速コンビネーションを得意技とし、その強さは「狼」と呼ばれ、恐れられています。


 ヴォルグは試合経験も豊富で、技術も超一流です。日本では、集客のために派手なスタイルに改造していた事もあり2敗を喫しますが、鴨川会長いわく「本来のスタイルで戦っていたら、当時の伊達英二ですら敗北していたかも」と言わしめるほど・・・。基本に忠実で教科書のようなパンチを繰り出し、インファイトも強い。ヴォルグは死角らしい死角のない万能型ボクサーなのです。

■逆境をはねのける強い心

 日本での成績が思わしくなかったヴォルグは、一旦は引退するものの、カムバックしてアメリカへと渡ります。ロシア出身のヴォルグは、日本でもアメリカでも、常にアウェイ。
孤独の中で、厳しい判定を下され試合を干され、ヴォルグの周りには、常に逆境という風が吹き荒れます。しかしヴォルグは、そうした状況にも腐ることなく、立ち向かっていくのです。その姿は、まさに「孤高の狼」。ヴォルグの強い精神力に私たちは心打たれ、彼のの勝利を願ってしまうのです・・・。

■リング上と普段のギャップ

 リングの上では鮮烈な強さを誇るヴォルグですが、普段は謙虚で穏やかな好青年です。ガードの固そうな飯村真理も、取材後に「油断するとホレちゃいます」ともらすほど。
一歩の家に居候していた時は、梅沢君に仕事の手伝いでしごかれ、鴨川ジムでは青木組に鷹村像磨きを言いつけられますが、何でもニコニコと素直に手伝っていました。人が良すぎるヴォルグ。そんな性格が一歩と合うのでしょう。

 また、かなりの方向オンチで、一歩と初めて言葉を交わしたのも、駅で右往左往していた時でした。カムバックするために再び日本に訪れた際も、一歩の家を探して二晩ほど彷徨っています・・・。そんな行動には少し天然っぽさも感じますが、それもまたヴォルグの魅力のひとつです。


■母とボクシング

 そんな優しく穏やかなヴォルグが、なぜボクシングを始めたのでしょうか?それは、体の弱い母親に楽をさせるためにお金を稼ぐためでした。しかし母は、人を傷つけるボクシングにいい顔をせず、ヴォルグ自身も、ともすれば凶器となる自分の拳を怖いと思っています。複雑な思いを抱えながらボクシングをしていたヴォルグですが、一歩との戦いを経て、「ボクシングが好きだ」という自分の思いを自覚していきます。

 異国の地で母を思うヴォルグですので、一歩の母に自分の母を重ねることもしばしば。二人のやりとりはいつも感動的で、涙なしには見る事ができません・・・。

 優しさと強さを兼ね備えた「ヴォルグ・ザンギエフ」。
誰もが応援したくなってしまうキャラです。苦しい状況でも決して諦めず、前を向いて進んでいくヴォルグのアメリカでの活躍。是非アニメで観たいものです。

【原稿作成時期の都合により、内容や表現が古い場合も御座いますがご了承下さい】

★記者:moto11(キャラペディア公式ライター)

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