圧倒的な世界観で見る者全てを引き込んだ貴志祐介原作『新世界より』。子供から大人に成長していく過程で、最初は疑問にも思わなかった“世界の見てはならない部分”に触れてしまった「渡辺早季」。
次々に訪れる圧倒的絶望にも負けず、そんな世界で果敢に生き続けます。決してとびきり頭が良いわけでもなく、とびきり可愛いわけでもなく、とびきり運動が出来るわけでもない彼女の“強さ”とは?今回はその“強さ”から、「渡辺早季」の魅力をご紹介してみたいと思います。

⇒渡辺早季とは?(新世界より)
http://www.charapedia.jp/character/info/17910/

【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】

■“立ち上がれる”強さ

 早季は子どもの頃も大人になってからも、本当に数えきれないほどの絶望を体験します。それは、大きな壁となり早季たちの前に立ちはだかる事もあれば、早季たちの心に大きな傷を残す事もあります。
普通の人は絶望に対面してしまった時、動揺したり心が折れたりするもの。早季も例外ではなく、毎回絶望からダメージを受けます。しかし、決して絶望に打ちひしがれたままにならないのが早季の“強さ”です。絶望の中に希望を探す事を、絶望の中でも希望を持つ事を決して忘れない・・・いや、時々忘れる事もありますが(笑)、たとえ忘れても必ず思い出す事が出来る、それが早季の持つ“立ち上がれる”強さです。

■“考える”強さ

 早季は、どこを取っても平均的な女の子です。それは頭脳も例外ではなく、成績も特別良いわけではありませんし、彼女らの世界で人間の持つ“念動力”も決して優秀なわけではありません。
しかし早季は、どんな時も“考えられる”女の子でした。周りの雰囲気に呑まれず、しっかりと自分の頭で考える事の出来る力は間違いなく彼女の“強さ”でした。自分の守るべきものは何かをしっかりと考え見出せたからこそ、世界の真相を知ってもなお凛々しく生き続ける事が出来たのではないでしょうか?

■“許せる”強さ

 早季の最大の強さ。それは何があっても“許せる”ところではないでしょうか?早季は、幼少期から大好きだった人を世界に殺されても、大好きだった人たちの子供が世界を壊そうとしても、それでも世界を続けていく事を、世界に生きていく事を諦めません。何が起こっても全て受け入れ、すべてを許し、自分の糧にして次のステップに進む事が出来るのです。

 なぜ許す事が出来るのか・・・。
それは彼女の優しさと愛の深さ、そして先に述べた二つの強さが大きく影響しているのでしょう。大好きだった人を殺した世界を守ろうと奮闘し、大好きだった人たちの子供が世界を壊しかけても、それでも「子供は希望だ」と言えるのが彼女の最大の強さ。“許す”という事の偉大さを早季の言動から思い知ります。

 早季の“強さ”は、SFの中でなくとも持ち得る事の出来るものでした。だからこそ彼女は魅力的に、格好良く、そして凛々しく私たちの目に映るのかもしれません。作品は小説・アニメ・マンガへと展開し、どれも完結していますが、時々読み返しては早季の魅力に触れ、早季のような人になれるよう努力したくなります。


【原稿作成時期の都合により、内容や表現が古い場合も御座いますがご了承下さい】

★記者:もぐおか(キャラペディア公式ライター)