「こんにちは!」。外国人技能実習生たちの元気な声が住宅街に響く。
銚子市では実習生が月に2回ほど、銚子署の警察官とともに防犯パトロールに参加している。高齢化により防犯の担い手が減少する中、警察と企業、外国人実習生が手を取り合って地域を見守り、共生社会の実現にもつなげたい考えだ。
 参加しているのは同市の水産加工会社「田原缶詰」で働くベトナム人技能実習生だ。毎回約10人が仕事の後に警察官と市内を歩く。
 強い日差しと暑さが残る7月下旬の夕方、笑顔であいさつをする姿に、市民からも「頑張ってね」と温かい声がかかる。銚子署生活安全課の奥田雅彦課長(44)は「地域との接点ができ、実習生が街に溶け込むきっかけにもなる」と語る。
 防犯活動を支えてきた町内会の高齢化は顕著で、奥田課長は「防犯の新たな担い手が見込める場を探した時、企業が浮かんだ」と振り返る。90年以上続く田原缶詰に声をかけ、昨年6月に始まった。
 これまでに4回参加したグエンティ・アンさん(23)は「あいさつを返してくれてうれしい。警察の人と一緒に歩くと安心できる」と笑顔を見せた。田原義久社長(70)も「銚子は実習生が経済を支えている。国籍にかかわらず元気に声をかけ合うことでつながりができる」と話す。

 奥田課長によると、他の企業からも参加を希望する声が出ている。少子高齢化が進む地方都市で、支え合う動きが進んでいる。
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