市川市動植物園(大町)で待望の「流しカワウソ」が復活した。水が流れるパイプに入りバシャバシャと遊ぶ姿が「かわいい」と評判になり、「流しそうめん」にあやかり「流しカワウソ」と人気を呼んだが、遊ぶカワウソが2年前からいなくなっていた。
繁殖のため借り受けた雌の「ツツジ」(5歳)が後継者となり、水しぶきを上げ、元気に遊ぶ姿が来園者を楽しませている。
(小北清人)
 昼すぎのコツメカワウソ飼育コーナー。小さなプールの中に半円形のパイプの水路が設けられている。その水路に突然ツツジが素早く入り込んだ。長さ約3メートルの水路をバシャバシャと大きな音を立てて激しく進み、行き止まるとUターン。遊び終わるとパイプから出てまたプールに。笑顔の来園客から歓声が起きた。
 「カワウソに元気に遊んでもらい、来園客にも楽しんでもらえれば」と「流しカワウソ」が始まったのは2012年7月。水がたまった細いあぜ道などで遊ぶのが好きなカワウソの習性に担当飼育員がヒントを得た。営繕担当の職員と試行錯誤を重ね、パイプを加工した遊具を設置した。
 無理強いされず「その気になった時」に気持ちよさそうに遊ぶカワウソたちの姿が「癒やされる」と同園の呼び物に。だが23年9月に雄のナオが死んでから、パイプの水路で遊ぶカワウソはいなくなっていた。

 この2月に繁殖目的で那須どうぶつ王国(栃木県那須町)からやって来たのがツツジ。当初からパイプの遊具に関心を見せ、6月ごろから活発に遊び始めた。担当飼育員の宮腰峻平さん(33)は「ツツジちゃんは若くて水路を怖がらない。遊ぶのが好きで、とにかく積極的」と評する。昼の食事時前後が水路で遊ぶ姿のシャッターチャンスだ。
 パイプの水路には常時水が流れているが「流しカワウソ」が見られるかはツツジの気持ち次第。冬になっても水に入りたがるかどうかも未知数だ。宮腰さんは「とにかく元気に、水路で遊ぶのを生活の一環として楽しんでほしい」と願いを込める。
 同園にいるコツメカワウソは3匹。コツメカワウソは体長約40~60センチ。東南アジアや中国、台湾などの川の流域の水辺付近に生息し甲殻類や貝、魚をえさに家族を中心としたグループで生活する。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに入り、商取引が禁止された絶滅危惧種。
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