月刊シネマズ、今月のお題は「忘れられないセリフ」。映画やドラマの好きなセリフは数えきれないほどたくさんあるけれど、本記事では「一度聴いたら忘れられない、セリフありの楽曲」について書かせていただきたい。

比較的いろいろなジャンルの音楽を聴いてきたほうだと思うが、ハマる曲の要素のひとつに「セリフありの曲」がある。一度聴いたら心に残ってしまう楽曲たちを、カテゴリ別にご紹介する。

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真剣な表情にハッとする、セリフ入りアイドルソング

1.なにわ男子「初心LOVE(うぶらぶ)」




2021年11月12日にデビューしたばかりのなにわ男子のデビューシングル。メンバーの道枝駿佑がW主演するドラマ「消えた初恋」の主題歌にもなっている。初めての恋の喜びを歌ったこの曲、「君の笑顔ひとつで僕の鼓動ざわめくんだ そうさ」の歌詞が終わった途端に、突然無音になって道枝くんの「ねぇ 今もだよ」というセリフが入る。ここだけ無音になって、少しはにかんで言う道枝くん、かっこいいしかわいい。

映画監督の酒井麻衣がディレクターを担当したMVは、セットといいカラーリングといいめちゃくちゃかわいくて、初恋のキラキラしたところを煮詰めて閉じ込めたよう。今まさに初恋ど真ん中な人も、初恋っていつだったけ? と言う方も、この曲でキュンキュンしてほしい。

2.Snow Man「君の彼氏になりたい。」




昨年発売された2ndシングル「KISSIN’ MY LIPS / Stories」のカップリング曲は、好きな女の子と家で2人きりになる関係であるものの、告白できない……という悩ましい男子の心情を歌った曲。セリフはこう言えたらいいなあ、という主人公の願望が込められている。目黒蓮の「大好き」佐久間大介の「チューして」渡辺翔太の「帰さない」と、ファンにはたまらんセリフが3つも入っている。

さらに、ライブでは回によってアレンジされることも。「チューして」が「チューしよう」になったり、「帰さない」が「帰れ」になったり。「帰れ」って、と思うかもしれないが、渡辺翔太のキャラ的に「帰れ」のほうが合ってる! とファンの間で話題になった。

3.Snow Man「僕の彼女になってよ。」




2021年12月1日に発売される曲のカップリングで、「君の彼氏になりたい。」の続きを歌った曲。楽曲といいLip Sync Videoといい、いやこれカップリングの完成度じゃないやろというクオリティなのだが、特にLip Sync Videoでメンバーが見せる色気が半端ない。バラエティーなどでは自ら三枚目の役割を買って出がちな深澤辰哉がセリフ「君の彼氏になりたい。」を担当しているのだが、かっこよすぎて好きになってしまうかもしれないので、気をつけて見てほしい。この映像には入っていない2番にもセリフがあるそうで、誰が担当するのかが本当に楽しみだ。

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4.モーニング娘。'21「Teenage Solution」




2021年12月8日に発売されるモーニング娘。'21のシングル。佐藤優樹の卒業シングルでもあるが、タイトルにもある通り10代のメンバーにもスポットを当てているこの曲。いちばん若い15期メンバー3人が、それぞれ違う女の子を想定して話す、同じセリフがある。

「こんな笑顔で良ければあげる。
寂しいとか思わないし、退屈にも思わない
ただ無性にイラつく時があるの
自分に」

10代の葛藤を歌っているこの曲、セリフもそれぞれの状況が伝わってきて、一部狂気すら感じる。いちばん最近入ってきたメンバーではあるが、こんなに表現力を身につけていたのだといい意味で驚いた。

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5.欅坂46 「不協和音」




セリフの衝撃といえば、やはりこの曲だろう。不協和音、カラオケで歌詞を見るたびに女性アイドルの曲とは思えない渋い言葉選びだな~と思ってしまう。「僕は嫌だ」というセリフが3か所入っており、平手友梨奈→長濱ねる→平手友梨奈という担当順だ。やはり平手友梨奈さん、規格外にすごいな……。

6.シブがき隊「スシ食いねェ!」(1986)




※本人映像の公式動画はないため、後輩Travis Japanの公式ダンスチャンネルの動画です

かなり昔の曲だが、インパクトがありすぎて曲の存在を知っている人は多いのではないだろうか。「ヘイ、ラッシャイ」「ここの寿司屋は日本一」というセリフが入っている。今改めて見てもなぜこの曲をジャニーズの若手グループに歌わせたのかが意味不明で面白い。

7.アンジュルム「次々続々」(2016)




アンジュルムのめちゃくちゃかっこいい楽曲で、発売から5年経った今でもライブの定番曲になっている「次々続々」。

この曲はラップもかっこいいのだが、ラップ終わりのセリフがキマってるのもまた魅力的なのだ。
1番の「ほんとは誰だっていつだって不安だよ」は最近「あざとくて何が悪いの?」や「ヒルナンデス」などバラエティーやCMでも活躍する上國料萌衣(かみこくりょうもえ)。2番の「ほんとの気持ちはいつだってひとつしかない」は現在卒業し、女優・歌手として活動する室田瑞希。どちらも目の前の人生に立ち向かう人の背中を押す一言だ。

8.モーニング娘。 「Mr.Moonlight ~愛のビッグバンド~ 」




もはや懐かしの黄金期、ミスムンのセリフ曲。宝塚を意識した衣装や楽曲構成で、間奏のよっすぃ~の長ゼリフは今も印象深い。

「OH!心が痛むというのかい?
う~ん、BABYそれは恋…恋煩(わずら)いさ。
きっと、僕と出会ったから…君は恋をしたんだね。
さあ、もう大丈夫、僕はここにいるよ、
おいで、踊ろう!」

このポジション、ライブでは今もモーニング娘。のボーイッシュな子やかっこいい子がもらっていて、歴史を感じる曲でもある。

カラオケで盛り上がろう!アガるセリフ曲

1.劇団鹿殺しRJP「田舎の侍(Dance Version)」(2013)




劇団鹿殺しRJPの活動のひとつ、エアーバンドの楽曲として作られた「田舎の侍(Dance Version)」。曲は普通によく、途中で見せる身体能力高めのパフォーマンスにも感動する。だが「ワシ侍なんやけどDo?」という歌い出しに「え……どうって言われても……」と困惑するばかり。すぐにバカにするなと切れる地方出身者あるあるを混ぜつつ、「チューさせて」連発で結局チューしたいだけやんけ的なAメロ。個人的に「俺を車に例えたらポルシェ」のところの橘輝さんの鮮やかなパフォーマンスに目を奪われる。

ずっと歌なのかセリフなのかわからない感じではあるが、肝心のセリフは間奏だ。「はぁ~、今日も部長に侍やって信じてもらえんかった~。」侍だけど会社員なんだ。「てかそろそろ祭の季節やから流鏑馬練習せんとな~。」侍って流鏑馬必須なの?「てか今月まだ乗馬クラブに月謝払うてないわ。マゲも結わなあかんし、叶わんな。これ」何かと物入りなご様子。

「俺とお前を例えたら五次元になる」「トラウマ五個持つ男やから」と若干厨二っぽいワードをはさみ、終始武家の出なことをアピールしている。わけがわからないけど疲れたときに見る(聴く)と元気が出る。

2.CLUB PRINCE 「LOVEドッきゅん」(2009)




「お前のこと好きだけど 俺~ホストだから 4649(よろしく)!」といきなりセリフで始まる曲。当時の現役ホストたちが歌っている。「ヤ、ヤ、ヤッホー!」「飲んで飲んで飲んで飲んで」などのかけ声も印象的なこの曲、ぜひ振り付けも一緒に覚えていただきたい。当時流行っていたニコニコ動画にこの曲の踊ってみた動画が多数アップされた記憶があり、特に北海道の公園で雪が降る中大人数で踊っている映像が印象に残っている。

最大の見せ場は大サビのセリフだ。
「今度はいつ逢えるんだろう…でもすぐに逢えるよ…夢の中で…気をつけて!」

あまり親しくない人とカラオケに行くとき何を歌うか悩むと思うが、この曲は筆者調べ、振り付けもセリフも恥ずかしがらずにやり切れば、だいたいどのカテゴリの人も一緒に盛り上がってくれる。最後のポージングまでちゃんとやろう。ただしサビでメインの男声部分とかけ声の女声部分、振り付けも一緒にやるとかなり息が切れるので注意してほしい。

3.RADIO FISH「PERFECT HUMAN 」(2016)




オリエンタルラジオの2人がいる音楽ユニット、RASIO FISHの曲。テンションを上げたいが歌詞に引っ張られたくない時などにおすすめだ。カラオケで歌う場合は、ボーカル役とNAKATA役は別の人がやるのがベスト。顔の角度を揃えるだけでもそれっぽくなる。ただしラップ部分がわりと難しいので、そこは練習が必要かもしれない。

魂の叫び!バンドのセリフ曲

1.THE ORAL CIGARETTES「カンタンナコト」(2015)




人間のダークな感情にスポットを当てた曲。曲名とは裏腹に「あぁ、そんな簡単に言うな」を繰り返すサビが心に残る。MVでは「どーだい?自分以外の人間 ボタン1つで消せたらなって」という歌詞のごとく、人々に電源ボタンが浮かび上がり、押すと相手を殺せる状況になる女性が主人公だ。

セリフ部分は大サビ。MVでは屋上から飛び降りようとしていた少女と主人公の女性が交互に言うのが下記の言葉。人の心の叫びがセリフになっている。

「死にたい 消えたい 変わりたい 帰りたい 泣きたい うざったい 助けて 助けて 助けて 助けて」

意味深なところで終わってしまう映像がまた……。暗くて苦手という人もいるかもしれないが、励まされるのは明るい歌ばかりじゃないと思う。ちなみにライブでサビの「あぁ、そんな簡単に言うな」をジャンプしながらお客さんも一緒に歌う、ライブで楽しい曲でもある。ああ、でもおそらく今は歌えないんだろうな……早く以前のような世の中にに戻ってほしい。

2.PIERROT「AGITATOR」(2000)




曲にまつわるメッセージを言葉にするセリフではなく、MVの間奏で誰かと電話している女の子が「私たちって、友達だよね」と言った後に字幕で「孤独」と出るという、斬新なセリフ使いをしているこの曲。「胸を突き破る孤独が見えるよオカシクなるまですでに秒読みさ 死んでしまえば楽になれるの? “愛してほしい"って言っちまえばいい」という歌詞に続く。

ひとつ前に紹介した「カンタンナコト」と15年離れているが、同じく孤独やつらい状況にいる人たちの感情、「助けて」という言葉などに焦点を当てている点に共通したものを感じ、時代が違えど人の悩みのベースになるものが変わらないのだなと感じた。

3.ムック「大嫌い」(2002)




歌詞の大部分が「嫌い嫌い嫌い……」で構成されている時点で斬新なのだが、歌とは別に囁き声やつぶやきで「嫌い」と言っているのが重ねられていて最高。極めつけは曲の最後のところに「嫌い」「死んでくれ」という声が入っている。なかなか直接本人に伝えるのは憚られる言葉だが、イラっとしたときに聴いたり歌ったりするとかなりスカッとする。

4.ムック「九日」(1999)




ムックからもう1曲。出だしの「まだ貴方を愛しています」という女性のセリフが印象的なこの曲は、別れた相手を忘れられない、切ない女心を歌っている。「楽しみにしてた記念日に貴方を見送って、帰らぬ貴方を待っている馬鹿な私がいるの。」というサビの歌詞も切ない。

ちなみにこのセリフ部分は、犬神サーカス団の犬神凶子の声である。

5.ミオヤマザキ 「バンドマン」(2015)




特定のバンドをすごく好きになった経験がある人、バンドマンを好きになったことがある人は共感するポイントがあるんじゃないかな~と思うのがこの曲。前半はバンドやバンドマンについて歌っているが、後半主語がみんなになる。やりたいけど成功するかどうか、周りにどう思われるか、考えて動けない人の背中を押してくれている曲にも感じる。

セリフは
「だから私はキャバクラ辞めない」

「何が正解だかわからないし、一人じゃ不安で、
特にやりたいことがある訳じゃなくて、
でもあれはあれで、これはこれで、
だけど...でもだって...あのその...つまり...」

「大丈夫、きっとみんなそんなもんだよ。」

1つめは明らかにバンドマンの彼女なんだが、さんざんバンドマンをこき下ろした後にこのセリフがはいるのがぐわっとくる。2つめに対する声かけが3つめで、こちらは主語が「みんな」になっている。

ミオヤマザキ、インディーズ時代に対バンで見たことがあるけど、めっちゃキャッチーになっていてびっくりした。

いまだに覚えてる、懐かしのセリフ曲

1.SPEED「熱帯夜』(1997)




4thシングル「Wake Me Up!」のカップリング曲ながら、名曲と言われている「熱帯夜」は、好きな男の子への気持ちが溢れつつも言えない女の子の気持ちを歌った曲。「もしもアタシが彼女だったらすごくいいよ……」というラップ部分も印象的だし、仁絵→多香子→絵理子→寛子と年齢が高い順に話すセリフもいい。

「今日は今年一番の熱帯夜
体がすごく暑いのに 心だけ何故かとても寒い
風が…夜風が強くなってきた
夏が逝くねもう夜明けが近いよ」

発売当時は中学生、あどけなさやちょっと歌わされている感じもあったが、上記でご紹介している動画は2011年に大人になった彼女たちが歌いなおしたものだ。さまざまな経験を経てきたからこその解釈が加わり、時を超えてさらなる名曲に仕上がっている。

2.大黒摩季「チョット」(1994)




1994年リリースの大黒摩季の楽曲。タイトルだけだと軽めの曲かと思いきや、「チョット待ってよ Good-Bye優しい声で卑怯な逃げ方 傷付けて欲しかったもう二度と愛せないように」という出だしからわかる通り、一見優しいひどい男に捨てられた女の歌なのだ。さらに歌詞を見るとわかるが、二股をかけられてもう一人を最終的に選んだ、というしんどい状況。歌詞には書いてないのだが、セリフ(ラップ?)部分がある。

「裏切る恋は純粋なBeauty わかっちゃう私 仕方ないCry Cry
こればっかりは天地災害 自分責めたって愛してない
堪え性のないヤサ男って 若気の至りで諦めよう
傷ついたなんて思わない ありがとうなんて絶対言わない!

特に最後の一行が沁みる。確かにクズ男にひっかかるのって天地災害みたいなもんだし、騙されたほうが悪いわけではない。相手のことをまだ好きだけど力強く前に向かおうとしている主人公(強がりかもしれないけど)が愛おしい。

セリフ曲、いつ聴いてもパワーがもらえていい

さまざまなジャンル・時代のセリフ曲をご紹介したが、ジャンルや時代に関わらず、セリフがある曲はメッセージ性が強く、今聴いてもパワーをもらえるものが多いなと感じた。読んでくださった方が気になる曲が、1曲でもあったらうれしい。

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(文:ぐみ)

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