原作は、アメリカの作家パトリック・ネスが、シヴォーン・ダウドの遺したメモに自由な発想で肉付けして書いた挿絵(絵:ジム・ケイ)付きの小説。
オリヴィエ賞を受賞した翌年の20年に日本での初演を予定していたが、新型コロナウイルスの影響により上演は断念。4年の時を経て、英国チームと日本人キャストというワールドワイドな取組みにより、日本初上演を迎える。演出を務めるのは、18年の初演時の演出家であり、今作が日本での初演出となるイギリスの演出家、サリー・クックソン。
主演を務める佐藤は、圧倒的な存在感を放ちながらもどこか儚い空気を纏い、孤独と絶望に苛まれる13歳の少年・コナーを演じる。コナーの家に現れる謎めいたモンスター役には山内圭哉、末期癌を患っている母親役に瀬奈じゅん、コナーと離れて暮らす父親役に葛山信吾、母親の入院中にコナーの面倒を見ることになる祖母役に銀粉蝶と、日本初演に向けて手練れの俳優陣が勢揃いする。
あらすじ
コナー・オマリー、13歳。窓からイチイの木が見える家で、母親との二人暮らし。
だが、母親は闘病中で、そのために、コナーとは気の合わないおばあちゃんが、世話に来てくれている。
父親は、アメリカに新しい家族を作って出ていった。学校では、母親の病気がもとで、いじめられている。
唯一コナーを気遣う幼なじみのリリーとも不仲になり、孤立している。
それは、夜中過ぎにやって来た。モンスターがコナーの前に現れ語る。
「これから三つの物語を聞かせる、私がその三つの物語を語り終えた時、お前が四つ目の物語を私に聞かせるのだ。
そして、それはコナーが隠している真実でなければならない。
お前は真実を語る、そのために、お前は私を呼び出したのだ。」と。
投薬を変えても病状が良くならない母親。ついには、入院することになり、コナーはおばあちゃんの家に預けられる。
時計が12時7分になる。
エスカレートするいじめ、学校の先生からも腫れ物に触るように扱われている。
急きょ、アメリカから帰国する父親。日に日に悪化する母の病状。
時計が12時7分を指すとき、第二、第三の物語が語られる。
そして、コナーは、四つ目の真実の物語を語ることが出来るのだろうか?
12時7分には、どんな意味があるのだろうか?
○■パトリック・ネス コメント
舞台『モンスター・コールズ』は、小説『A Monster Calls(邦題:怪物はささやく)』同様に多くの共同作業を伴う企画でした。
○■サリー・クックソン コメント
最初に読んでから何年経っても心に残る物語があります。本作『モンスター・コールズ』の原作『怪物はささやく(原題:A Monster Calls)』もその一つで、まるで強力な薬のように、愛、喪失、癒しといった普遍的なテーマが心の底に深く染み入って残ります。
##■佐藤勝利 コメント
情報解禁の今日、実は僕の誕生日なので、記念日に発表できるなんて嬉しいです(笑)。
海外の方々との作品創りは初めてで、演出の仕方もきっと違うと思いますし、刺激的な日々になると思いますので、楽しみです。今までに経験したことのない、思いもよらないリクエストやアドバイスをいただけると思うと、ワクワクします。サリーさんが演出されたイギリスのオリジナル版の舞台映像を拝見した時に感じた海外作品っぽさ、それと同時に感じた再現することの難しさ。今までにないことに、挑戦できることを楽しみにしています。
実はこの作品は、2020年に上演される予定で、お話も伺っていました。原作や台本も読んでいて、このような作品に出られるなんて光栄だと思っていたところ、残念ながら、コロナ禍となり発表されることもなく延期となってしまっていました。この4年の間に自分の経験値も期待値も上がっていて……、それと比例するようにプレッシャーも大きくなってはいます。ただ、そのプレッシャーをいい作品にするエネルギーに変えてがんばりたいです!
今日で、また1つ歳も重ね、コナーという役の13歳とはまた離れてしまったのですが、僕はデビュー当時からあまり顔が変わっていないと言われることがあるので(笑)、見た目的には心配ないのかなと思っています。今までで演じた中でも一番若い役ですが、『ブライトン・ビーチ回顧録』で14歳の役をやっているので、その経験を活かしながら創り上げたいと思います。
家族愛を描いた作品で、コナーは特に心の動きが大きい役です。セットの仕掛けなどワクワクするところも多く、ダークファンタジーの良さが詰まった作品になると思いますので、楽しみにしていてください!