弁護士ドットコムは、誹謗中傷に関する実態調査についての結果を12月21日に発表した。調査は2023年11月22日~12月5日の期間、弁護士ドットコムの一般会員1355名を対象に行われた。


はじめに、芸能人や有名人に誹謗中傷をしたことがあるかを尋ねたところ、「ある」と回答した人は3.5%だった。

誹謗中傷を投稿したソーシャルメディアについては、「X(旧Twitter)」が52.1%と最も多く、次いで「匿名掲示板」が20.8%、「Instagram」「ニュースメディアのコメント欄(Yahoo!ニュースなど)」が各12.5%、「YouTube」「ブログ」が各8.3%という結果になった。

また、誹謗中傷については、法的に明確な定義が定められているわけではないが、本調査では、投稿した誹謗中傷の内容について4種類に分類。

選択肢を提示した上で誹謗中傷内容を尋ねたところ、最多が「容姿や性格、人格に関する悪口」(83.3%)だった。次いで、「虚偽または真偽不明情報を流す」(12.5%)、「プライバシー情報の暴露」「脅迫」(各10.4%)と続いた。

芸能人や有名人に誹謗中傷を投稿した動機を尋ねると、最も多かったのが「正当な批判・論評だと思ったから(誹謗中傷と認識していなかった)」で60.4%だった。
次いで「その人物が事件、不祥事を起こしたから」が41.7%で続き、投稿した当時には、正当なものだと認識していた実態が浮き彫りに。

具体的には、「元アイドルの番組での態度や、顔の変化や体型について」「女優の不倫に絡めて人格を否定するようなコメントをしてしまった」など、私生活や外見に関することについて投稿してしまったという。そのほか、「YouTuberの生配信にて、臭いとコメントしてしまった」「女性タレントについて頭が悪い、図々しいと書いた」といったコメントも寄せられた。

一方で、一般人(芸能人や有名人以外)に誹謗中傷したことがあるか質問すると、5.2%が「ある」と回答。集計結果を合算すると、7.2%が芸能人・有名人または一般人のいずれかに対し、誹謗中傷したことが「ある」と回答した。

一般人への誹謗中傷について投稿したソーシャルメディアを尋ねたところ、「X(旧Twitter)」が最も多く38.6%、次いで「匿名掲示板」が37.1%で、両者が抜きん出て高い結果に。


誹謗中傷の内容については、77.1%が「容姿や性格、人格に関する悪口」と回答。次いで、「プライバシー情報の暴露」が17.1%、「虚偽または真偽不明情報を流す」が11.4%、「脅迫」が4.3%と続いた。

動機を尋ねたところ、最も多かったのは「正当な批判・論評だと思ったから(誹謗中傷と認識していなかった)」(50%)との回答。次いで「その人物の間違いを指摘しようとする正義感から」が41.4%となり、正義感から意図せず加害者になっている人が多い実態が明らかに。

具体的には、「私も書かれたから同じことをした」「職場の握りつぶされた不祥事を匿名掲示板に投稿した」「知人女性のダブル不倫相手の会社の口コミにコメントしました」といった声が寄せられた。

また、回答者全体に誹謗中傷の被害経験があるか尋ねたところ3割を超える人が「ある」(34.7%)と回答。
内容については、「容姿や性格、人格に関する悪口」(56.6%)が最も多く、僅差で「虚偽または真偽不明情報を流す」(53.2%)が続いた。以降、「プライバシー情報の暴露」(35.1%)、「脅迫」(24.0%)となった。

誹謗中傷を受けたソーシャルメディアについて最も多かったのは「匿名掲示板」(35.1%)で、次いで「X(旧Twitter)」が32.3%、「LINE」が15.1%と続いた。

昨年、誹謗中傷被害対策として侮辱罪が厳罰化されたことを受けて、さらなる厳罰化が必要かを尋ねたところ、67.3%が「必要」と回答している。

一方で、厳罰化には「言論の自由が奪われかねないと危惧している」という批判の声も寄せられたほか、「匿名での投稿はなしにすべきだと思います」「わりと本気で実名制インターネットがよいと昔から思っています」など、実名制を呼びかける声も寄せられた。