2024年の年頭にあたり、ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏は年頭所感として、以下を発表した。

未来の成功につながる「種」をまく

あけましておめでとうございます。


2023年は、世界で猛威を振るった新型コロナウイルス感染症の影響がようやく収束し、これまでの日常が戻り始めた一方で、ロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナ・ガザ地区での軍事衝突など緊迫した情勢が継続しています。また、エネルギー価格の高騰や物価上昇といった経済問題の深刻化に加え、「地球沸騰化」とも言われる異常気象が続き、将来の予測が一層難しいと感じる一年でした。

AI(人工知能)技術が飛躍的に進歩した年でもありました。ChatGPTをはじめとする生成AIが次々に登場し、短期間で私たちの日常生活に深く浸透しつつあります。AIと共存する未来社会を見据え、通信インフラから次世代社会インフラを提供する企業に生まれ変わろうとしているわれわれにとって、2023年は人類とAIが共存する新時代の幕開けを告げる重要な年だったと言っても過言ではありません。

事業においては「V字回復」の目標を掲げ、全社一丸となって事業を推進してきました。
お客さまやビジネスパートナーの皆さまからのご支援や全従業員の努力により、業績のV字回復が視野に入り、2025年度を最終年度とする中期経営計画の達成に向けて順調な取り組みを続けています。

コンシューマー部門では、“ワイモバイル"を中心に契約数を伸ばし、スマホの契約数が3,000万件を突破しました。“ソフトバンク"の「ペイトク」や"ワイモバイル"の「シンプル2」の提供で、収益拡大にさらにドライブをかけていきます。また、解約率の低下に向けて、LINEヤフー株式会社やPayPay株式会社などのサービスとの連携による、グループシナジーを生かした施策を強化するなど、モバイル事業の売上の反転に向けて着実に進捗しています。

法人部門では、法人向けの通信サービスに加え、クラウドやセキュリティーなどのソリューションの継続収入も順調に成長してきました。また、新規事業領域の拡大に向けて、2017年に設置したDX(デジタルトランスフォーメーション)本部が取り組んできたさまざまな施策が具現化しつつあります。


例えば、ヘルスケア領域では住友生命保険相互会社と当社子会社のヘルスケアテクノロジーズ株式会社が資本業務提携をした他、スマートシティ領域では株式会社日建設計とAutonomous Buildingの構築を支援する合弁会社を設立しました。このようなさまざまな取り組みの結果、2023年度のエンタープライズ事業の営業利益は2桁成長を見込んでおり、今後の収益拡大に大いに期待をしています。

また、グローバル市場への進出による事業成長を目指す「Beyond Japan」戦略においても、大きな一歩を踏み出しました。コネクテッドカーおよびSDV(Software Defined Vehicle)向けに世界最大規模のIoTプラットフォームを有するアイルランドのCubic Telecom Ltd.へ出資し、戦略的パートナーシップを締結したことで、これまでアプローチできていなかった大容量IoT通信領域のグローバル市場に本格的に参入し、事業を推進していきます。

技術部門では、英調査会社が発行するネットワーク調査リポートにおいて、当社の通信品質に高い評価を頂きました。これは、ネットワークの品質にこだわり、信頼性が高いネットワークの構築を推進してきた技術部門の努力の成果だと思います。
5G(第5世代移動通信システム)の人口カバー率はすでに92%を超えていますが、今後高まる需要に対応するため、さらなる通信品質の向上を目指して取り組んでいきます。

バックオフィス部門では、ソフトバンク版AIチャット「SmartAI-Chat」の全社利用への整備や、ソフトバンクグループ株式会社による生成AI活用コンテストへの参加を通して、業務でのAIの活用を促進した他、財務面では国内初の社債型種類株式の発行・上場を果たすなど、さまざまな施策で事業成長を支える基盤を構築しました。

また、ESG推進室が中心となって全社展開してきたSDGs(持続可能な開発目標)へのさまざまな取り組みが評価され、Dow Jones Sustainability Indexの「World Index」の構成銘柄に2年連続(2022-2023)で選定されたことや、SDGsへの取り組みで優れた企業が対象となる新聞社主催の表彰制度で大賞を受賞したことなど、事業を通しての社会貢献が社外に認められた一年となりました。

甲辰(きのえたつ)の年には大きな節目が待ち受けているとされ、これまでの努力が実り、夢がかなう年といわれています。これまでの3年間は携帯電話料金の値下げの影響で厳しい時期が続きましたが、やっとその苦しい時期を終え、本格的に反転攻勢に転じる時が来ました。会社も人と同じで良い時、悪い時の波があります。
良い時は存分にパフォーマンスを発揮し、厳しい状況の中でも未来の成功につながる「種」をまくことが重要です。

今年は、2023年5月に発表した長期ビジョンの実現に向けて、AI共存社会を支える次世代社会インフラの整備を進めていきます。2023年秋に本格的に稼働を開始した計算基盤を活用し、3,500億パラメーターの国産の大規模言語モデル(LLM)の開発や、北海道での国内最大級のAIデータセンターの建設など、従来構想してきたさまざまな取り組みが具体的に動き始めます。これからも当社が日本の経済成長やデジタル社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを構築し、人々や社会に最も必要とされる会社になることを目指していきます。