メルカリが2月13日に発表した2023年7~12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比3.9倍の46億円で同期間として2期連続で黒字だった。売上高にあたる売上収益は10%増の924億円、営業利益は61%増の61億円だった。


同日の決算会見でメルカリ 取締役兼執行役 CFOの江田清香氏は「各事業の着実な成長とグループシナジーを創出した結果、四半期ベース(9~12月)で過去最高の売上収益(481億円)を達成した。将来成長に向けた投資を加速させていく」と述べた。

国内フリマアプリ「メルカリ」の10~12月の流通総額は、前年同期比10%増の2809億円だった。専門業者が出品するスマホのデータ消去を代行する「スマホデータ消去サービス」や手数料還元キャンペーンをスマホ新機種発売の時期に併せて実施し中古スマホの取引が増えた。越境取引やカテゴリー強化といったマーケティング施策も奏功した。

また、サービス開始10周年企画のオフライン施策を通じた露出拡大により、MAU(1カ月に1回以上アプリまたはWEBサイトをブラウジングした登録ユーザの四半期平均の数)は2354万人と前年同期比で9%増加した。


電子決済やクレジットカードなどのフィンテック事業も好調だった。同事業の7~12月期の売上収益は前年同期比52%増の140億円だった。さらに、22年11月に発行を開始した自前のクレジットカード「メルカード」の発行枚数は250万枚を突破。

メルカリの利用実績に応じてフリマアプリ内での還元ポイントが上昇する同カードの施策により、流通総額への寄与を含むグループシナジーが拡大した。クレジットカードサービスの債権残高は1500億円を超え、回収率は99%と高い水準を継続している。

フィンテックのユーザ数は1683万人を超え、そのうち本人確認済みのユーザ数は1515万人に上り本人確認済み比率は90%を突破した。


一方で、米国事業の成長は鈍化したままだ。同事業の9~12月期の売上高は前年同期比11%減の7500万ドル(約112億円)、調整後営業損失は500万ドルの赤字だった。同期の米国フリマの流通総額は12%減の2億3900万ドルで、MAUは2%減の507万人だった。

しかし、特定のカテゴリーに興味を持つユーザ同士の交流を促すコミュニティ機能や、対面取引を通じて送料や決済手数料を節約できる機能などを通じて、米国におけるZ世代の獲得に向けたプロダクト施策を進めている。「米国事業については、まだまだ道半ば。厳格な費用のコントロールを継続していく」(江田氏)

また、メルカリは2024年初春にスポットワーク事業に参入する予定。
メルカリのエコシステムに「時間やスキル」を加え、あらゆる価値の循環を加速する考えだ。現在、プロダクト開発やパートナー獲得を推進しているといい、サービスローンチ後は成長を後押しすべく段階的に投資を行っていく方針だ。