茨城県土浦市とNTT東日本は、NTTスマートコネクトと連携し、「自転車のまち土浦」をはじめとした土浦市の魅力発信、および土浦市来訪のきっかけ作りを目的としたメタバース空間「バーチャルつちうら」を構築。その公開イベントを開催した。


土浦市はこれまで、2019年に筑波山と霞ケ浦を中心とした「つくば霞ケ浦りんりんロード」が国の「ナショナルサイクルルート」に認定されたことを受け、「自転車のまち土浦」の魅力発信による観光客誘致に取り組んできている。

また、土浦市とNTT東日本は、2022年12月に「高齢者等のデジタル活用支援に関する連携協定」を締結し、土浦市におけるデジタル活用をNTT東日本が支援していくことで合意。その中で、メタバース空間構築・360度動画制作・配信に実績のあるNTTスマートコネクトと連携して、メタバース空間「バーチャルつちうら」を構築した。

市役所本庁舎にて行われた公開イベントでは、土浦市長の安藤真理子氏とNTT東日本 茨城支店長の松木裕人氏が、自らアバターとなってメタバース空間「バーチャルつちうら」を紹介。「バーチャルつちうら」は市のホームページ上の公開されているURLをクリックするだけで入室可能で、特定のアプリなどをダウンロードする必要はなく、パソコンやスマートフォンから手軽に利用することができる。

構築されたメタバース空間は、雄大な霞ヶ浦を見渡す湖畔をイメージしたデザインとなっており、霞ヶ浦総合公園のシンボルであるオランダ型風車やチューリップ、市の花である桜などを設え、土浦市ならではの美しい水辺の風景を演出したものとなっている。


また、同市の魅力を余す所なく伝えるために、「つくば霞ケ浦りんりんロード」上の走行を疑似体験できる3D/360度の動画視聴エリアや、土浦全国花火大会の打ち上げ動画を流すことができるスクリーンなどを設置。さらに、土浦ブランドをはじめとした同市の名産品の紹介スペースでは、それぞれのホームページとリンクすることで、見るだけでなく購入することもできる仕組みが用意されている。

「今後、この『バーチャルつちうら』を効果的に活用することで、新たな視点から『自転車のまち土浦』としての地域ブランディングの強化を図る」と力を入れる安藤市長。「『バーチャルつちうら』の中でさまざまなイベントを開催するなど、インターネット上の交流スペースとしての活用を進めてまいります」と今後のさらなる展開を明かした。
○■メタバースで土浦市の魅力を発信

「つくば霞ケ浦りんりんロード」が国のナショナルサイクルルートに認定されたことをきっかけに、「自転車のまち土浦」としての観光誘致を行う土浦市。「土浦全国花火大会などのイベントや、日本一の生産量を誇るれんこんなど、実は魅力のあるイベントや食べ物が多い土地」と話す、土浦市 市長公室 政策企画課 政策員の奥山成俊氏。
その一方で、出生率の低下や高齢化が進む中、「子育て世代や若年層にどうやって魅力を発信するか」が大きな課題となっているという。

そんな課題に対して、2022年にNTT東日本と「高齢者等のデジタル活用支援に関する連携協定」を締結。「協定を結ばせていただいたことをきっかけに、さまざまな案件で連携させていただいている中、今回のメタバース空間構築という流れになった」と、NTT東日本 茨城支店 ビジネスイノベーション部 地域基盤ビジネスグループ 地域基盤ビジネス担当 担当課長の大原康介氏は振り返る。

「情報発信の手段には、InstagramやX(旧Twitter)などがありますが、他の自治体に先駆けてなにかやりたいというところで意見が一致した」という、NTT東日本 茨城支店 ビジネスイノベーション部 地域基盤ビジネスグループ 地域基盤ビジネス担当 シニアコンサルタントの佐藤瞳氏。そこから、茨城県下ではPR手段として利用されていなかったメタバースによる魅力発信という提案に繋がったという。

提案を聞いて、「非常に面白い」と感じた奥山氏だが、「自分なりに調べてみたところ、かなりの予算をかけている自治体さんもあったので、土浦市の予算で実現可能なのか」と当初の不安を打ち明ける。
しかし、今回構築された「バーチャルつちうら」は、NTTのグループ会社であるNTTコノキューが提供するWEBブラウザで使える仮想空間プラットフォーム「DOOR」を使用。あまりコストをかけずに利用できるということで、「一気に実現性が高まった」と笑顔を見せる。

実際にメタバース空間を構築するにあたり、「何もないところから作ることになるので、お互いのイメージをいかに上手く擦り合わせていくかが最初の課題でした」という、NTT東日本 茨城支店 ビジネスイノベーション部 テクニカルソリューショングループ 第三テクニカルソリューション担当の松山昇司氏。空間全体をどのようなテイストにするのか、どんなコンテンツを用意するのかなど、何回も打ち合わせを重ね、お互いのこだわりを擦り合わせていくことにかなりの時間を掛けたという。

「なるべくキャッチなイメージ」にしたかったという奥山氏は、土浦市ならではの空間にするために、「湖畔にカフェスペースのような建物があるイメージ」をリクエスト。さらに、自転車の魅力をオリジナルで伝えるための工夫を求めたという。
その要望に応えたのが、サイクリング疑似体験エリア。撮影時に被写体となったのは、自転車好きの土浦市の職員で、佐藤氏は「本当に暑い中、一日中、自転車を漕いでくださったのですが、あれがなければ360度動画は完成しなかった」とのエピソードを明かす。また、「ドローンで撮影した、霞ヶ浦とレンコンの蓮田の間をさっそうと走っている映像は本当にすばらしい出来なので、ぜひ見ていただきたい」とアピールした。

「バーチャルつちうら」構築にあたり、NTT東日本の対応について、「非常にきめ細やかで、素人である我々のわがままにもお付き合いいただけて、非常にありがたかった」と感謝の意を示す奥山氏。今後は「自転車だけではなく、それ以外の土浦の魅力をさらに発信していくのはもちろん、仮想空間内での婚活イベントや就職説明会などもいずれは行っていきたい」との展望を明かした。

大原氏も「利用する市民の方が増えれば、それだけ新たな仕組みが必要になってくるので、それが上手く循環していけば、さらに魅力的な『バーチャルつちうら』に繋がっていく」との未来図を示した。


また、土浦市では、アニメによる活性化も行われており、『機動警察パトレイバー』とコラボしたデザインマンホールが各所に設置されていることでも知られている。「アニメのファンの方にもご好評いただき、認知度も上がってきているので、もっと地域を巻き込んでいきたい」という奥山氏。「地域の皆様にも自ら土浦の魅力を発信していただきたい。そして、刺激し合うことで、さらに広がっていくような地域活性を目指したい」と、公民一体となった魅力発信に期待を寄せる。

大原氏は「メタバースに限らず、今回の繋がりをきっかけに、さらに地域を活性化できる取り組みのお手伝いをしていきたい」と、引き続きのサポートを約束した。