米Microsoftは2月26日(現地時間)、フランスの新興AI企業Mistral AIと複数年にわたるパートナーシップ契約を結んだことを発表した。MistralはMicrosoftのAzure AIプラットフォームを通じてプレミアムモデルへのアクセスを提供し、OpenAIと同様にパートナーシップを通じて次世代の大規模言語モデル(LLM)の開発と展開を加速させる。
同日、MistralはAPIを介して提供する新しいモデル「Mistral Large」と「Mistral Small」を発表した。

Mistralは、DeepMind、Metaに在籍していた研究者3人によって2023年4月に設立された。オープンソースで公開したLLM「Mistral 7B」が70億パラメータという比較的小さなサイズでありながら、700億パラメータ・モデルと競い合えるパフォーマンスを示して注目を集め、評価額を約20億ドルに押し上げた。23年12月には、Mixture of Experts (MoE)をとり入れた「Mixtral 8x7B」をリリース。幅広いタスクをより効率的かつ正確に処理でき、推論が6倍向上し、多くの標準的なベンチマークでGPT-3.5と同等または上回っている。これらの成功により Andreessen Horowitzが主導する資金調達ラウンドで3億8,500万ユーロを調達した。


過去1年間でLLMの推論能力が大幅に向上し、その性能をより低遅延で応答性の良い体験に高めることがLLM産業の課題の1つになっている。Mistralは優れた効率性でOpenAIと競合できるポテンシャルを示しており、さらにMistral LargeとMistral Smallの追加でオープンソースモデルと商用モデルを選べるモデルカタログを拡充させた。

MistralのフラッグシップモデルになるMistral Largeは、MMLU(自然言語処理モデルの理解力と推論能力を総合的に評価するベンチマーク)スコアでGPT-4に次ぐ高い推論能力を見せている。32Kトークンのコンテキスト・ウィンドウを備え、英語のほか、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語など欧州の主要言語を扱える。

Mistral Smallは、低遅延ワークロードに最適化されており、推論能力はMixtral 8x7Bを上回っている。オープンウェイトモデルとフラッグシップモデルの中間的なソリューションを提供する。


Microsoftは、Azure AI StudioとAzure Machine Learningを通じてMistral Largeを顧客に提供する。26日に、Microsoft Azure Consumption Commitment (MACC)を用いてMistralのモデルを購入する機能が利用できるようになった。また、Mistralが欧州に置くインフラでホストする「La Plateforme」でも引き続きMistralの包括的なモデル群を利用できる。