ヤマザキマリ&とり・みきのコンビによる合作マンガ『プリニウス』(全12巻)が、第28回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞したことが4月22日に発表された。

同作品は、古代ローマを生きた博物学者プリニウスの生涯を描いた昨年7月に最終巻となる第12巻を刊行。
古代ローマの風景や生活から、皇帝ネロや名将コルブロといった人物まで、史実をもとにしながら自由な想像力と圧倒的な画力で2000年前の世界を描く、歴史伝奇ロマンの決定版だ。同書は、他ではあまり見られない「マンガ家同士の合作」というスタイルを採用、その意味でも貴重な作品である。すでにフランスやイタリアをはじめとする各国で翻訳・刊行、世界の注目も集めている。

本名は、ガイウス・プリニウス・セクンドゥス。古代ローマを生きた、史上もっとも有名な博物学者。ローマ艦隊の司令長官も務める。
自然、動植物、文明などの森羅万象を網羅した『博物誌』を書き遺した。同書は、ヨーロッパで「古典中の古典」として知られ、後世の知識人たちにさまざまな影響を与えた。

マンガ『プリニウス』は、その博物学者を主人公にした物語。『博物誌』執筆のために、書記のエウクレスや護衛のフェリクスらと共に、ローマ帝国や地中海周辺、アフリカを旅するプリニウス。古代ローマ時代の風景や風俗、人々の生活ぶりなどを活写、ローマのコロッセオ、アレクサンドリアの巨大図書館、クレタ島の迷宮など、現在の「世界遺産」も続々と登場する。一方、当時の皇帝だったネロも超重要人物として登場。
「悪徳皇帝」という世評に対して、新たなネロ像を打ち立てている。史実をもとにしながら、自由な想像力と圧倒的な画力で魅惑の古代ローマ世界を描く、歴史伝奇ロマンの決定版だ。

ヤマザキマリは「『テルマエ・ロマエ』の連載中から次作として描こうと決めていた大プリニウスですが、彼が生きた二千年前の世界や思想を二次元でどう蘇らせるか、読者にどれだけ興味を持ってもらえるか、まるで古代ローマからの使命を司っているような気持ちで描いてきた立場として、今回の賞は大変栄誉なことです。全ての道、つまり漫画の道もまた「ローマに通ず」。」とコメントした。

とり・みきは「物心ついたころ、最初に「面白くて怖くて、でも切ない不思議なマンガ」と認識したのが鈴木出版版手塚治虫全集の『大洪水時代』と『太平洋X點(ポイント)』のカップリングでした。やがてそのひねた少年は長じてマンガ家になるわけですが、そのきっかけになった新人賞の審査員の一人が手塚治虫でした。
めぐる因果を喜ばないわけがありません。」とコメントした。

『プリニウス』(全12巻)の著者はヤマザキマリ、とり・みき。
発売日は2014年7月~2023年7月。定価は726~814円(2024年4月22日現在)。