●上原浩治氏をゲストに迎えた初回放送の反省「ボールを…」
数々のレジェンド野球選手たちがYouTubeに自身のチャンネルを持ち、野球情報を発信している昨今。そのチャンネルの多くでは、レジェンドを支えるアシスタントの存在も注目を集めているが、上原浩治氏のYouTubeチャンネル『上原浩治の雑談魂』に出演する上田まりえもその一人だ。
今回、BSJapanextの野球トークバラエティ番組『ダグアウト!!!』(毎週火曜22:00~)の収録を終えた上田にインタビューし、同番組の見どころや、タレントとしてMCを務めることの難しさとやりがいなどについて話を聞いた。

○今でもすごく後悔しているシーンとは

野球の試合中に監督や選手が待機するベンチ、ダグアウト。BSJapanextで放送中の『ダグアウト!!!』は、プロ野球選手やOBをはじめとするゲストが、そのダグアウトで話すような球界のアレコレを語る野球トークバラエティ番組だ。バラエティに富んだゲストが毎回登場するだけでなく、MCが変動制という点も、番組の自由さを象徴している。3月12日放送回では、真中満氏と五十嵐亮太氏のコンビがMCを務め、高校野球大好き芸人たちのトークを回した。そんな自由な番組の方向性を示す初回放送のMCとして、芸能界屈指の野球好きで知られ、『上原浩治の雑談魂』のアシスタントも務める上田に白羽の矢が立った。


「最初にオファーをいただいたとき、『雑談魂みたいな感じで進行してください』というリクエストをもらって。本当にありがたいことに、いろんなところで『雑談魂を観てるよ!』と声をかけていただくのですが、大好きな野球の仕事が、テレビにもつながったことをとてもうれしく思いました。上原さんにお礼を言いたいです」

さらに、初回ゲストに迎えたのは、上原氏。互いに勝手知ったる仲だからこそできる、息ぴったりの掛け合いを見せた。制作サイドの期待に応える見事な仕事ぶりで、本人的にもホッと一息ついたにちがいない。と思いきや、上田は「今でもすごく後悔しているシーンがあるんです」と反省を口にする。


「まさに明日も上原さんとお会いするのですが、収録が続くときは、週に4日くらいお会いするんです。上原さんのアメリカのご自宅に泊めていただいて、奥様と息子さんとも一緒に10日ほど過ごしたこともあり、距離感がおかしくなっていました。『野Q塾』(※番組内の企画)のコーナーで、上原さんにフォークの握り方を実演していただくとき、本当であれば、ボールをきちんと手渡しすべきところを、ついつい投げて渡しちゃって! 本当に良くないことだと思って、すごく反省しました」

○現役時代とのギャップに驚いた人物

初回ゲストの上原氏だけでなく、他の出演者とも縁がある。MCでタッグを組む、岡田圭右(ますだおかだ)・ビビる大木とは、日本テレビアナウンサー時代に情報バラエティ番組『PON!』(日本テレビ)で共演していた。

「まさか、『PON!』から時間が経って、野球番組でもご一緒できるとは思っていませんでした。同窓会的な感覚もあって、楽しい現場です。
ゲストも、過去に番組共演したことのある方や、『雑談魂』に来てくださったことのある方にお会いできるので、次はどなたがゲストにいらっしゃるのだろう? と、スタッフさんからの連絡を楽しみに待ってます」

『ダグアウト!!!』の魅力として、上田は「ゲストの組み合わせで、全く違う話が聞ける化学反応」を挙げ、「テレビなのにこんなことまで話していいのかなというような、今まで聞いたことがない話が聞ける」と太鼓判を押す。中でも、現役時代とのギャップに特に驚いたのは、『雑談魂』でも共演した清水隆行氏だという。

「上原さんの奥様が、『清水さん、本当に面白くて大好きなんだよね!』とおっしゃっていて。でも、清水さんといえば、“寡黙な職人”というイメージだったので、『面白い』という言葉がイコールにならないじゃないですか。(共演してみて)あんなに面白い方だとは! ワードセンスが最高なので、スタッフさんもテロップを入れやすいだろうなって(笑)。現役時代同様、バラエティでも対応力の高さが素晴らしくて。
さすが職人です!」

MCのスタイルを模索中「バランスよくできるようになりたい」

○ライバルは「自分」

番組では、自分が一緒にプレーしたい選手を選ぶ企画「俺のベスト9」、ガチャガチャでトークテーマを決定する企画「ガチャガチャ ダグアウト!!!」など、さまざまな切り口で、レジェンド選手たちの知られざる素顔に迫っている。ゲストの球界相関図を作成していく企画では、“負けたくなかったライバル”を聞く質問が定番になっているが、上田にもそんな存在がいるのだろうか。そう尋ねると、 「カッコつけてるみたいになっちゃうんですけど」と少し照れくさそうに切り出し、「自分です」と答えた。

「職業柄、人と比べられることが多いのですが、自分と誰かを比べて悩んでも、いいものを生み出すことは難しいと思うんです。私は根がネガティブなので、常に何かに悩んでいます。収録が終わったあとも、『あの一言は余計だったな』『ゲストの方に失礼だったかもしれない』と落ち込むんです。だからこそ、不安を解消して、全力で楽しむために、準備に力を注いでいます。
楽しむための作戦を立てるという感じです」

「選手に関する豆知識や私自身の思い出など、野球を好きになった14歳のときから自然と蓄積されてきたエピソードを話せる機会をいただいているので、すごくありがたいです。でも、難しいですよね。基本的にはあまり自分の話はしないようにしようと思っていますが、今はアナウンサーではないですし、MCとして、その番組が良くなるための方法を取りたい。自分のMCのスタイルというものを模索しているので、実は結構悩んでるところでもあって。(視聴者には)たぶん伝わってないと思いますし、伝わらないほうがいいことなんですけど(笑)。バランスよくできるようになりたいなと思っています」

MCの仕事に充実感


より良い仕事をするために、悩みは尽きない。
でも、テレビ局のアナウンサーではなく、タレントとして務めるMCに向き合う日々は、充実感でいっぱいだ。

「アナウンサーのときは、今みたいな進行はできませんでした。きっちり台本に則って、“ちゃんとやる”MCしかできなかったのが、『雑談魂』に鍛えてもらった。だって、台本があっても、上原さんは見ないんですもん(笑)! でも、『まりえちゃん、好きにしてええよ!』と言って、任せてくださるので」

「『ダグアウト!!!』をはじめ、MCの仕事がものすごく楽しくて。ゲストの方の素敵なところや、いいお話をもっと引き出したい。いち野球ファンとして、ファンの皆さんの代表として、この席に座らせていただいていると思っているので、ファンの皆さんが私を介して、こういう話が聞けて良かったと思ってくださるようなMCができたらと思っています」

4月29日放送の『ダグアウト!!!』では、広島のレジェンド・小早川毅彦氏と前田智徳氏をゲストに迎える。

「スーパーレジェンドに対して失礼なんですけど、お二人とも本当にかわいらしいんですよ。現役時代にユニフォームを着ていたときの姿とも、解説しているときの凛々しい姿とも違う姿を観られると思います。山根さん(※アンガールズ・山根)も、小早川さんと前田さんのツーショットは見たことがないとおっしゃっていたので、きっと広島ファンの方からしても珍しい組み合わせなんじゃないかな。『ダグアウト!!!』では、ゲストの方の組み合わせも見どころで、見たことがなかったような掛け合いも楽しめるので、全ての野球ファンの方に観ていただきたいです!」

■プロフィール
上田まりえ
1986年9月29日生まれ。鳥取県境港市出身。2009年、日本テレビにアナウンサーとして入社。2016年1月末に退社し、タレントに転身。現在は、タレント、ラジオパーソナリティ、ナレーター、MC、スポーツキャスター、ライター、講師など幅広く活動している。