●男性同士の恋愛リアリティーショーで気づきも
歯に衣着せぬトークでバラエティ番組でも活躍している歌手の青山テルマ。Netflixリアリティシリーズ「ボーイフレンド」(7月9日より世界独占配信)ではスタジオMCとして番組を盛り上げる。
2007年のメジャーデビューから約17年。活躍の幅を広げている青山にインタビューし、「ボーイフレンド」出演の感想や、自身のトークに関して心がけていること、今の音楽に対する思いなど聞いた。

「ボーイフレンド」は、海の近くのビーチハウスで男性が恋愛対象の9人の男性が共同生活を送る、日本初となる男性同士の恋愛リアリティショー。ルールは「約1カ月の間、共同生活をすること」「コーヒートラックを皆で運営すること」のみ。恋愛リアリティショーでありつつも、恋愛成就のみならず、一生モノの友情を育むことや、ただ宝物のような1カ月を過ごすことも祝福すべきゴールとなっている。

MEGUMIホラン千秋、ドリアン・ロロブリジーダ、徳井義実とともにスタジオMCを務める青山。出演が決まったときは「最高!」と大喜びしたという。

「Netflixは何年も見ているので、Netflixのオファーというのもすごくうれしかったですし、MCの方々の名前を聞いて、その中にいられるのもすごく光栄だなと。純粋にすごく素敵な作品に関われるんじゃないかという気持ちになりました」

人の恋愛の一部始終を見守る経験は今までになく、とても新鮮に収録を楽しんだという。

「恋愛の美しさや尊さ、切なさ、そして、友情の素晴らしさだったり、それぞれの葛藤や向き合っていることだったり、いろんな感情がぎゅっと10話に含まれていて、一人ひとりのストーリーが丁寧に描かれているなと。日々生きていく中の小さい幸せに気づかされたり、心が洗われるようなシーンが多く、日々頑張ろうと思える作品になっていると思います」

参加者たちの恋と友情の行方を見守る中で、学びや気づきもあったと語る。

「彼らのストーリーを見ていて、こういう時は素直に言った方がいいんだなとか、そういった気づきはたくさんありました。
また、彼らが抱えているものだったり、考えていることに対して、わかるなと思う瞬間もありました」

○理想のパートナー像を語る「常にお互い味方でいられる存在がいいな」

さまざまな恋愛観を持つ参加者たち。青山自身の理想のパートナー像は「お互い尊敬し合える部分があるといいなと思っています」とのことで、「みんな完璧ではないので。2人が交わった時に、2人で100%になれる人がいたらすごく理想的ですし、常にお互い味方でいられる存在がいいなと思います」と語る。

バラエティ番組などで発言をする際には「オープンでいたい」との思いで自分のことを話すようにしているという。

「デビュー当時は猫をかぶっていた時期もありましたが、もともとこういうキャラなので、次第に自分の考えを言うようになっていったのだと思います。あと、否定から入るのではなく、いったん受け入れることも意識しています。これまで生きてきて、否定から生まれるものは少ないので。その人その人の心を尊重しながら、自分の考えを話すようにしています」

「ボーイフレンド」においても素直に思ったことを発言するように。

「スタジオMCの5人が“みんな違ってみんないい”みたいなキャスティングで、ドリアンさんは自分の知らない視点から話してくださり、徳井さんはすごい角度からコメントされ、MEGUMIさんはお母さんみたいな立場で、ホランさんはニュース番組のような雰囲気があって、私が自由に話せる空間を皆さんが作ってくださるのですごく居心地がよかったです。いろんな角度で話し合えましたし、家で友達と雑談しているような空気感が出ていると思います」

ありのままの自分で人と向き合うことで、生きやすい環境になっていくと青山は語る。

「こうすれば気に入られるかもとか、本当はこう思っているけど、こう言ったほうがいいのかなとか、そういう風に考えてしんどくなる瞬間って、みんな生きていてあると思いますが、本心を言ってもわかってくれる人は必ずいると思うので。そういう人が周りに増えていき、より自分を表現しやすい環境を作っていけたのだと思います」

「自分らしさという言葉は好きではない」


過去にはトリニダード・トバゴ人と日本人のクォーターであることから差別を受けたり、デビューしてからも好きな自分になれなかったり、自分のことを愛せなかった時期もあったという。


「今はミックスって『かっこいい』『かわいい』と言われますが、以前はレアキャラみたいな感じで、差別とも向き合ってきました。また、デビューして皆さんに曲を聴いてもらえる環境にいましたが、当時は大学との両立で目の前のことをこなしていく日々で、キャパオーバーな状態が続き、『今の自分好きじゃないな』『もっと上手くできたな』とかすごく葛藤があって、20代前半から後半まで、反省して自分を見直す期間がすごくありました」

自分と向き合う中で、「自分のことを愛していこう」という気持ちに。

「私として生まれてきて、私として死ぬわけじゃないですか。自分のことを嫌いで死ぬよりは、最大限自分を楽しんで、好きでいられる自分になって、楽しかったなと思えたほうが幸せだなと。もちろん人間なので落ち込むこともあるし、もっとこうしたいと思うこともありますが、それも含めて自分が自分でよかったなと、自分を好きでいたいなと思います」

自分が好きでいられる自分を大切に。そして、そんな自分をそのままオープンに表現している青山だが、「自分らしさという言葉は好きではない」と言う。

「自分らしさは日々変わると思っていて、この日はピンクが好きだけど、今日は青が好きとか変わるし、自分のマインドも変わっていくので、自分らしさはこうだという答えがなくて、それでいいと思っています。今好きなものが好きだし、今思っていることがすべて。モーニングルーティンとか決まったルールは何もなくて、ルールを作ることによって自分がそこにハマったら面白くないなと。できるだけ自由に柔軟性を持っていたいと思っています」

○原点に戻って「音楽って楽しい!」と純粋に思えるように

歌手活動についても尋ねると、最近になって「音楽って楽しい!」と原点に戻って大切な気持ちを取り戻すことができたと明かす。

「デビュー当時は新人で、『私が一番イケている!』ってすごく自信満々だったんですけど、現実を知るというか、売れてない時期もありましたし、だけど数字を追わないといけなかったり、みんなは青山テルマにこれを求めているんじゃないかとイメージを意識しすぎたり。もちろん誰かの心に残るものが作れたら幸せですが、最近は純粋に音楽って楽しいなと思えて、原点に戻っている感覚があります」

現在アルバムを制作中で、その過程において音楽の楽しさを改めて感じたという。


「『これTikTokでバズるかな』といったマインドではなく、純粋に『これライブでやったら超盛り上がって楽しそう!』と考えられるように。『今日も頑張ろう』『いい気分になるな』と思える力が音楽にはあるんだよなと思いながら作っていて、楽しく音楽を作っているバイブスが伝わればいいなと、すごく純粋な気持ちに戻った気がします」

音楽活動に留まらず、バラエティに出演したり、近年はヘアケアブランド「mythm(ミズム)」をプロデュースしたり、女優業にも挑戦したり、活躍の幅を広げている。

「バラエティに出演させてもらったり、Netflixの番組でMCをさせていただいたり、アーティストで同じことをやっている人がいないというか、一生懸命活動する中で、自分なりに自分だけの道を切り開いてきたのかなと」

現在36歳。将来については「40代、50代、60代になった時に、頑張ってきたからこそ送れる人生を送りたい」と思い描いているそうで、「しっかり休みも取りつつ、自分が楽しいと思えることができたら」と語る。

「音楽との関わり方もたくさんあると思うので、ジャズバーで歌うのか、CDを出すのか、そのときにやりたいと思うことをやっていけたらいいなと。純粋にファンのことがすごく好きなので、みんなの幸せを願いつつも、その上で自分の幸せもちゃんと楽しめる人生を送っていきたいです」

今後も幅広い活躍に期待しつつ、音楽の魅力を改めて感じている今の青山が届ける楽曲たちも楽しんでいきたい。

■青山テルマ
1987年10月27日生まれ、奈良県出身。トリニダード・トバゴ人と日本人のクォーター。幼稚園からインターナショナルスクールに通い、10代はアメリカ・ロサンゼルスで過ごす。2007年にメジャーデビュー。翌2008年にリリースした「そばにいるね feat. SoulJa」が大ヒットし注目を集める。明るいキャラクターを生かしてバラエティ番組に出演し、NHK Eテレ『英会話フィーリングリッシュ~データで選んだ推しフレーズ』レギュラーMCや、Google Pixelの広告塔などでも活躍。
ヘアケアブランド「mythm(ミズム)」のプロデュースも始め、マルチな才能を発揮している。
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