前回は2,000円前後で買える手ごろなウイスキーを紹介しましたが、今回はもうちょっと贅沢なウイスキーを選んでみます。ボトルで税込5,000円台のラインナップです。
まずは、バーで気になる銘柄を飲んでみて、気に入ったら自宅飲み用に買ってみる――というスタイルはいかがでしょうか。

○スコッチ・シングルモルトウイスキー

5,000円台になると人気銘柄の主力商品、例えばスコッチだと12年熟成のウイスキーに手が届くようになります。シングルモルトウイスキーのおすすめは、「ザ・グレンリベット 12年」。「グレンフィディック 12年 スペシャルリザーブ」と並んで、シングルモルトスコッチの販売量トップ1~2を争う有名銘柄です。

ジョージ・スミスがスぺイサイド地方に蒸留所を作り、1824年にグレンリベット地区で最初に認可されました。密造酒が横行していた時代に合法的な取り引きを行ったのです。

味わいは王道ながら、濃厚で甘やか。12年熟成はそれほど深みはないにせよ、ストレートでしっとりと飲むには最高です。ハイボールも最高に美味しい! 公式テイスティングノートは以下の通り。

樽:アメリカンオークとヨーロピアンオーク
色:あざやかで明るい金色
香り:フルーティ
味わい:ザ・グレンリベット特有のバニラ、 はちみつの甘さを伴う芳醇でソフトな風味
フィニッシュ:長くクリーミーで滑らかな余韻

○スコッチ・ブレンデッドウイスキー

ブレンデッドウイスキーのおすすめは、「シーバスリーガル ミズナラ 12年」です。日本原産のミズナラから作った樽で熟成させたことによって、スパイシーな風味が加わっています。もちろん、シーバスリーガルでミズナラを使ったのは初めてです。
このボトルは日本限定販売となっています。

飲み方はストレートでも最高ですし、ハイボールやロックでも楽しめます。製品の紹介ページでは、「MAYA BAY」という飲み方がおすすめされています。

まずは以下の材料を弱火で煮詰めてコーディアルを作ります。

ライチジュース:200ml
ココナッツウォーター:200g
砂糖:200g
レモングラス:2本
クエン酸:18g

砂糖が溶けたら濾(こ)して冷ましておきます。そして、グラスに「シーバスリーガル ミズナラ 12年」を40ml、作ったコーディアルを50ml入れ、氷とソーダを加えて完成です。

公式テイスティングノートは以下の通り。

香り:洋梨とオレンジのリッチでフルーティな香り
味わい:ハチミツとヘーゼルナッツのまろやかでリッチな味わい
フィニッシュ:個性的でスパイシー

○アイルランドのウイスキー

アイリッシュウイスキーでは「カネマラ」を選びました。ブランド名のカネマラは、アイルランド西部にある風光明媚なカネマラ国立公園にちなんでいます。蒸留所はクーリー蒸留所で、首都ダブリンから北に67マイルのところにあります。歴史はまだ新しく、1989年からウイスキー製造を始めました。

通常、アイリッシュウイスキーにはスモーキーフレーバーを付けることはないのですが、カネマラはピーテッド麦芽を使っています。
アイリッシュ唯一となる、ピーテッド・シングルモルトなのです。また、アイリッシュウイスキーは3回蒸留が一般的ですが、カネマラは2回蒸留。スコッチのモルトウイスキーと同じです。アイリッシュにスコッチの味を求めてどうする、というのはわかるのですが、単純に美味しいのでおすすめです。公式テイスティングノートは以下の通り。

色:かすかに緑がかったゴールド
香り:スモーキー・新鮮なフルーツ
味わい:ハチミツ・バニラ・チョコレート
フィニッシュ:ドライだが涼やかなスパイシーさが心地よい

○アメリカのウイスキー

バーボンで5,000円となると、高級品に手が届きます。ここでは「ウッドフォードリザーブ」をご紹介しましょう。

ケンタッキー州にあるウッドフォードリザーブ蒸溜所は、1812年に創業したオールド・オスカー・ペッパー蒸溜所が起源となっています。改名されたり、一時閉鎖、買収などを経て、1996年にウッドフォードリザーブブランドとして復活しました。

一般的なバーボンに比べてライ麦を多く使っており、スパイシーな香りを楽しめます。バーボンなのに、銅製のポットスチルで蒸留を行っているのもユニークです。3回蒸留しており、なめらかに仕上げています。


若いころにバーボンを一気飲みさせられて嫌いになってしまった――という人もいますが、ぜひウッドフォードリザーブをバーで注文してみてください。手ごろな銘柄とは一線を画す、美味いバーボンです。公式テイスティングノートは以下の通り。

香り:濃厚なドライフルーツ、ミントとオレンジ、ココア、ほのかにバニラとタバコのスパイスの香りが漂います。
味わい:まろやかでなめらか。複雑な柑橘類、シナモン、ココア、トフィー、キャラメル、チョコレート。
フィニッシュ:最初はシルクのように滑らか。クリーミーで、長く温かく満足感のある余韻が残ります。

○日本のウイスキー

5,000円台でおすすめのジャパニーズウイスキーであれば、サントリーの「知多」はいかがでしょうか。「山崎」や「白州」はこの価格帯では手に入らないのですが、グレーンウイスキーの「知多」なら6,000円以下で買えます。愛知県の知多蒸留所で作られているシングルグレーンウイスキーの知多は、サントリーのブレンデッドウイスキーにも使われているものです。

グレーンウイスキーは連続式蒸留器で蒸留するので、風味が軽やかで穏やかな味わいになる傾向にあり、サイレント・スピリッツと呼ばれます。
モルトウイスキーはその逆で個性が強いので、ラウド・スピリッツと呼ばれます。

とはいえサイレントといいつつも、知多は複雑で美味しいウイスキーです。これは、複数のタイプの原酒を作り分けたうえ、ホワイトオーク樽だけでなくスパニッシュオーク樽やワイン樽などいろいろな樽を使って熟成させているため。グレーンウイスキーの入門にもぴったりです。公式テイスティングノートは以下の通り。

色:明るい黄金色
香り:ピュアでストレート、甘い樽香
味わい:口当たりよく甘くスムース
余韻:綺麗、ほのかな甘さ

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以上が、バーで飲み比べて好みを見つけたいちょっといいウイスキーです。もし気に入ったら、ちょっと贅沢ですが、家飲み用にボトルを購入してもいいかもしれませんね。

柳谷智宣 やなぎや とものり 1972年12月生まれ。1998年からITライターとして活動しており、ガジェットからエンタープライズ向けのプロダクトまで幅広い領域で執筆する。近年は、メタバース、AI領域を追いかけていたが、2022年末からは生成AIに夢中になっている。 他に、2018年からNPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)を設立し、ネット詐欺の被害をなくすために活動中。また、お酒が趣味で2012年に原価BARを共同創業。
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