NHK Eテレ『おかあさんといっしょ』の第12代体操のお兄さんとして活動してきた福尾誠。2023年4月1日の放送をもって番組を卒業し、新たな道に進んだ。
“誠お兄さん”として多くの子供たちから愛されてきた福尾。2019年から2023年4月まで、番組を通して子供たちに夢を与える役割を果たしてきたが、惜しまれつつも4年間の活動を終了した。
「僕は“体操のお兄さん”になりたいというのが大きな夢でした。その意味で、この4年間はあっという間で、文字通り夢のような時間だったんです。さらに、僕がヒーローに憧れたように、今度は子供たちが、僕をヒーローだと思って『誠お兄さんみたいになりたい』というお手紙などをもらうと、本当にうれしかったです」。
卒業から1年以上の歳月が流れた。いま福尾にとってどんなモチベーションで仕事に向かっているのだろうか。
「“体操のお兄さん”のときからそうなのですが、僕の原動力となっているのが、子供たちの大爆笑なんです。
子供たちの憧れのヒーローになるという思い。自身は子供のころから戦隊ヒーローなどに慣れ親しんできたというが、“ヒーロー”と言っても、さまざまな定義がある。福尾にとって“体操のお兄さん”にはどんなヒーロー像を感じていたのだろうか。
「僕が一番大切にしていたのは、子供たちと同じ目線に立つということ。心が近くなれるお兄さんであることを大事にしていました。戦隊ヒーローやライダーなど、強大な敵に戦って勝つこともすごく魅力的なヒーローなのですが、一緒に楽しんでくれる“お兄さん”というのも、僕にとってはすごく素敵なヒーロー像なんです。突然アクロバティックな動きを見せると『すごい!』と羨望の眼差しを向けてくれるのもうれしいですね」。
○戦隊ヒーローやアクション、声の仕事も「チャレンジしてみたい」
もちろん、敵と戦う戦隊ヒーローへの憧れもある。福尾自身、幼少期に観ていた『忍者戦隊カクレンジャー』などの思い出は強く残っているという。
「人前に立つお仕事をさせていただいているので、リアルな戦隊ヒーロー作品にも機会があるならチャレンジしてみたいです。今回『ねこのガーフィールド』という映画で宣伝ニャンバサダーを担当させていただくなか、作品にも没頭しました。キャラクターに命を吹き込む方々のお仕事のすごさを実感しましたし、いつか自分も挑戦したいという思いも湧いてきました」。
身体を動かすことが自身の1番の得意分野だと語った福尾。アクションや殺陣にも興味はあるという。
「まだチャレンジしたことはありませんが、やってみたいことの一つです。アクションは相手がいることで、動き一つ一つとても繊細さが求められると思うので難しいと思いますが、とにかく挑戦できる環境にいられることがありがたいので、どんどんどん欲にチャレンジしていきたいです」。
ガーフィールドとのダンスコラボに喜び「とても光栄」
ガーフィールドと楽しいダンスでコラボする「ニャンダフル体操」。福尾にとっても非常に魅力的なチャレンジだった。
「世界中で人気のあるガーフィールドと一緒に体操ができるなんて、とても光栄でした。一方で、ガーフィールドは運動があまり好きではなく、ちょっと怠け者な部分があるので、体操してくれるのかな……という不安もありました(笑)」。
「ニャンダフル体操」はYouTubeで公開されているが、“体操のお兄さん”としてどんなところにこだわりを見せたのだろうか――。
「一つ一つの動きに意味があるんです。例えば主題歌『Good Life(グッドライフ)』の“G”と“L”の形を身体で表現しています。そこに注目してほしいです。最初から全部覚えようとすると難しいと思うので、真似できる動きだけを楽しく踊っていただきたいですね」。
ガーフィールドの愛らしさに魅了されたという福尾。冒険アドベンチャーとしても作品に没頭できたという。
「最初はラザニアやピザが大好きでお家から出ることが好きじゃないガーフィールドが、果たして冒険に出られるのか……という思いでハラハラしながら観ていたのですが、いざ出てしまうと、友情や親子の絆など、とても感情が忙しかった。とても楽しく拝見することができました」。
■福尾誠
1992年1月11日生まれ、東京都出身。幼少期から体操競技をはじめ、大学卒業まで選手として活躍。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士課程修了後、2019年4月よりNHK Eテレ『おかあさんといっしょ』の第12代体操のお兄さんとして4年間活動。現在は、ステージでの公演やイベント・各種メディアを通じて、体を動かすことの楽しさを表現している。