一般的には「ペアレンタルコントロール」と呼ばれる機能ですが、保護者と共有されるアクティビティは、青少年が開設したYouTubeチャンネルに関するアクティビティ(アップロード件数、チャンネル登録件数、コメント件数など)と発表されています。また、動画のアップロードやライブ配信の開始時に通知が送られるようになるとのことです。
○YouTubeは年齢別に3つのレベルで保護する
なぜ、このような機能が追加されたかというと、YouTubeがこれまで提供していた家族向けの機能に関係しています。
YouTubeの家族向け機能は、年齢別に3つに分かれています。9才以下の子どもは「YouTube Kids」アプリの利用が推奨されています。YouTube Kidsには、子どもにとって安全だとYouTubeが判断したコンテンツのみが表示されます。コンテンツは、未就学児向け(4歳以下)、小学校低学年向け(5~8歳)、小学校高学年向け(9~12歳)の区分で分けられており、見せたいレベルのコンテンツを家族が選べます。また、タイマーなど保護者が管理する機能も用意されており、簡単かつ安心して子どもに動画を楽しんでもらえます。
9歳以上になったら、自身のGoogleアカウントを持ち、YouTubeを利用できるようになります。保護者のアカウントで「ファミリーリンク」経由で子どものアカウントを作成すれば、親と子どものアカウントがつながり、保護者が子どものスマホの利用状況や利用時間の制限、アプリのブロックなどができるようになります。
9~12才までは、YouTubeの機能に制限がかかります。
こうした保護機能は、子ども専用のアカウントを作らなければ利用できません。つまり、家族共有のタブレットでログインせずに使用したり、親のアカウントが設定されたYouTubeアプリで視聴していると、子どもが大人と同様にYouTubeを利用できることになってしまいます。
「わざわざ子どもにアカウントを作らなくても」と思うかもしれませんが、ぜひ作りましょう。「ファミリーリンク」は、保護者がiPhoneやiPadでも利用できます。また、子どもが13才になると、これまで通り管理するか、13才以上として制限を緩めるのかを尋ねられます。もし、すでに子どもがアカウントを持っている場合でも、ファミリーリンクを設定すると見守りができるようになります。
そして、今回新機能が追加された13歳以上の子どもの場合についてお話します。13才以上の子どもは、年齢制限のあるコンテンツを除く、YouTubeのすべてのコンテンツが視聴できるようになります。親が見せたくないチャンネルをブロックすることもできません。
もっとも大きく異なるのは、YouTubeを視聴したり、コメントを書き込んだりといった受け身の利用ではなく、自分から発信ができるようになる点です。その子らしい想像力を発揮して、ネットの世界で活躍する可能性が開ける一方で、その分リスクが大きくなるともいえます。今回の新機能により、13~17才の子どもに関して「ファミリーセンター」を使って見守ることができるようになるわけです。
なぜ13才以上が発信できるようになるのかといえば、「COPPA」(Children's Online Privacy Protection Act)の対象から外れるためです。COPPAとは、米国連邦取引委員会(FTC)が、オンラインにおける13歳未満の子どもの個人情報を保護者が管理できるように制定した法律です。YouTube以外にも、InstagramやX、TikTokもこの法律に準じています。
13才以上というと、まだ子どもらしく未熟な点も多く見られますが、一方で大人顔負けの知識や考えを持てる年齢です。ネットで自由に振る舞うことを許可するのか、細かく見守りを続けるのかは、家庭での考え方やお子さんの性格にもよりますが、ほとんどの保護者は心配が先に立ちそうです。
中学生のYouTube発信といえば、中学生YouTuber「ちょんまげ小僧」を思い出す人も多いでしょう。ちょんまげ小僧は、約1年前に注目を集め、一時期はチャンネル登録者数が150万を超えるほどの人気を博しています。
現在も相変わらずの人気ぶりですが、2024年7月に行ったドッキリ企画が物議を醸し、ネットニュースにもなりました。
今回の新機能では、動画のアップロードを行う際、保護者に通知が行くようになります。「このタイトルで大丈夫か」「このコンテンツで炎上することはないか」などを保護者がすぐに確認できます。もしコメントが殺到した場合も、いち早く気づくことができます。もし、お子さんからYouTubeで発信したいと相談されたら、親子で話し合ったうえで、見守り機能を設定するのがよいでしょう。
著者 : 鈴木朋子 すずきともこ ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー。スマホやSNSなど、身近なITサービス全般に関する記事を執筆。なかでもSNSに関しては、コンシューマーからビジネスまで広く取材を行い、最新トレンドを知るジャーナリストとして定評がある。また、安全なIT活用をサポートするスマホ安全アドバイザーとして記事執筆や講演も行う。著書は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)、『インターネットサバイバル 全3巻』(日本図書センター)など。 この著者の記事一覧はこちら