●ラストイヤーで『M-1』決勝初進出 出場後の反響に期待
今年コンビ結成15年を迎え、ラストイヤーとなった漫才日本一決定戦『M-1グランプリ2024』(ABCテレビ・テレビ朝日系 22日18:30~)で初の決勝進出を決めた双子漫才コンビ・ダイタク(兄・吉本大、弟・吉本拓)にインタビュー。『M-1』に対する思いや、決勝後に期待すること、双子ならではの強み、来年2月20日に東京・有楽町よみうりホールで開催される単独ライブ「ダイタクの伝家の宝刀」について話を聞いた。


――6度目の準決勝で決勝初進出となりましたが、昨年よりどこがよかったと自己分析されていますか?

拓:ネタが単純でわかりやすかったのがよかったと思います。僕らは双子の細かい話を広げていくネタが多かったんですけど、今年はトピックスをいっぱい並べるネタで、「総決算みたいなネタだね」と言われることもあって。僕ら的には少し物足りない。もうちょっとここ掘りたいんだけどなって。でもウケが伴っていたし、周りの人からも「これぐらいでいい」と言われたので、味が濃すぎたのが、ちょうどいい味付けになったんだと思います。

大:親父のボーリングの成績をただ言うネタとか、双子のネタを突き詰めてやってきましたが、そうではない感覚で作ったものがいい塩梅に。いろんな人から「レベルを落とせ」とずっと言われていたんですけど、いい意味でわかりやすいところまでレベルが下がったのだと思います。わかりやすくて笑いやすいものに。

拓:狙っていたわけではないんですけど、たまたまそうなりました。

――決勝戦への意気込みや目標をお聞かせください。

大:目標は決めてないです。

拓:人生で目標を持ったことがないので。


大:『M-1』に行けたらいいなと思っていましたけど、行けなくても仕方ないと思っていたので、行けてラッキー、ほっとしたという感じで。だから決勝はどうなるんだろうって自分たちも楽しみです。

――目標を持たないようにしてきたのはなぜですか?

大:目標を決めたら頑張らないといけないじゃないですか。好きなことはみんなできるので、目標なんて決めず、その時の気持ちに従って好きなことをやってきたという感じです。

――決勝も頑張ろうというより楽しもうという気持ちでしょうか?

大:その気持ちのほうがずっと強いです。

拓:『M-1』を手段として使えるのが一番いいと思うんです。自分たちの知名度が上がるためとか。結果、一番知名度が上がるのは優勝なので、できたらいいなとは思います。

――決勝に出ると反響があると思いますが、どうなったらいいなと期待していますか?

拓:いろんな人に声をかけてもらいたい。(千原)ジュニアさんとご飯に行った時に、ジュニアさんを見て本当に喜んでいる人がいっぱいいるんです。「こんなところで会えるなんて」「あの番組見ていました」って、人生の思い出の1ページみたいな喜び方する人がいっぱいいて。なので、ダイタクを見られてうれしいと思ってもらえるようになったらいいなと。


大:『M-1』見た人がライブに来てほしいです。ライブってめちゃくちゃ面白いので。テレビでしか見たことがない人がいっぱいいると思うので、そういう人たちに、ライブの良さを知ってもらいたいです。

――決勝に行くとギャラのアップも!?

大:『M-1』に行ったら上がると思います。去年は上がらなかったんですけど。

拓:吉本の劇場にいっぱい出て、若手の面倒見たり、MCをやったり。功労者としての自負があったので、「500円でもいいから」と交渉してみましたが、会社に認めてもらえなくて。今回は強気のギャラ交渉をします(笑)

テレビの世界への憧れも「小さい頃から見ていた番組に出てみたい」

――『M-1』きっかけにテレビへの出演が増えたらいいなという思いもあるのでしょうか。

大:自分が好きな番組とか小さい頃から見ていた番組には一通り出てみたいです。向かなかったら向かなかったなと。でも、向かなかったら、何でだろうとイラついて、もうちょっとテレビ頑張ってみようと思うかもしれないし、それはわからないです。

――『ボキャブラ天国』などのバラエティ番組を見てお笑い芸人になりたいと思ったというお二人なので、やはりテレビの世界への憧れがありますか?

拓:もちろんあります。深夜番組とか持ちたいです。
『くりぃむナンチャラ』みたいな番組はめっちゃ憧れます。

――具体的に出てみたい番組を教えてください。

大:『踊る! さんま御殿!!』は小さい時に絶対毎週見ていたので出てみたいですね。

拓:『笑っていいとも!』も出てみたかったですね。

大:あと『タモリ倶楽部』とか。

拓:『探偵! ナイトスクープ』もずっと好きでしたね。あと、会ってみたいというのもあります。(明石家)さんまさんは会わせてもらったことありますけど、ダウンタウンさんは楽屋でご挨拶しか。

大:(ビート)たけしさんも会ったことないです。

拓:子供の頃に見ていた方と共演できたらうれしいだろうな。写真撮りたいですね(笑)。たけしさん真ん中に挟んで写真撮ったら親も喜ぶじゃないですか。


――『M-1』から解放されるのも楽しみにされているそうですね。

大:『M-1』は神経すり減るので、それがなくなるというのは安堵感です。芸人の第1章が今の人たちは『M-1』なんです。15年間が第1章になったら、大卒で始めた人は38歳ですから、『M-1』を目指すのはいいけど、最終目標にするのはよくないと思います。

拓:『M-1』を目指さない芸人の方が今後勝てると思います。本当に狭き門で、行けなかった時のリスクがデカすぎるので。『M-1』以外で世に出る、有名になることも考えた方がいいと思います。

大:商売やったり、YouTubeで金稼いだり、何でもいいと思います。だって『M-1』で決勝に行けるのは0.1%ですから。

――お2人も『M-1』だけに縛られないように意識されてきたのでしょうか。

拓:劇場の方が圧倒的に楽しいので。僕らは『M-1』は別モノとして捉えています。
『M-1』では普段のライブではやらないネタをやっていますし。劇場で評価される世界をちゃんと作って、『M-1』でも評価される世界を作れたらなという感じです。

――『M-1』に感謝していることは?

拓:緊張感をずっと持てたことです。結局、目指すものではあったので、漫才をやるにあたってのモチベーションではありました。

大:『M-1』に行ったらもっと楽しいことができるなと。いろんな人に知ってもらって、大きな舞台に立てるようになったら、絶対その方が楽しいだろうなと思ったので、『M-1』も手を抜かずやらないといけないという思いは常にありました。

双子でよかったこと「覚えてもらいやすい」「間とかテンポも強み」

――双子でよかったなと感じる瞬間も教えてください。

大:やっぱり覚えてもらいやすいですし、無名な僕らでも、出て行って「双子でやってます」と言ったら、「この人たち双子なんだ」って。フリがいらない。「僕が40です」「お前は?」「一緒だよ」って言ったら、双子のフリが効いているから笑ってくれるじゃないですか。

拓:あとは、間とかテンポも強みだと思います。(NSCで)初めて講師の先生にネタを見せた時に、「お前らどこかの舞台とかに立ったことあるのか?」とか言われて、「何もやってないです」と。初めてでテンポや間がほぼほぼできていたので。


――ライブ前にほとんどネタ合わせしないそうですが、それでもできてしまうというのは双子ならではですよね。

大:兄弟の方は多いですよ。中川家さんもやすともさんもネタ合わせしないみたいです。

拓:そういうコンビも最近は多いですが、あまりにも古いネタだと本当の兄弟じゃないとできないかもしれません。僕らは1年ぶりに3年目の時のネタを振られても、間とか狂わずにできるので。

――ネタ合わせしないのはあえてですか?

大:そうです。みんなそうだと思いますが、ネタ合わせするとケンカになるので。別にちょっとミスしても、そこをうまくやればいいし、アドリブが入る隙間でもあるので、そんなに完璧にやらなくていいと思っています。

拓:毎日同じことって嫌じゃないですか。だからちょっと変えて。

大:若手の時は同じようにやる時もありましたけど、今は必ずどこかにアドリブを入れたり雰囲気を変えたりしています。その方が楽しいし、飽きないので。

――『M-1』の前はさすがにネタ合わせを?

大:普段は全くネタ合わせしませんが、『M-1』と単独ライブだけ、ネタ合わせしています。

拓:ただ、その回数は『M-1』出場者の中で一番少ないと思います。

生まれた時から大の方が重かった「もともと拓より大きくなる運命」

――双子でそっくりなお二人ですが、大さんの体格が少し大きくなられて、貫録というか、お兄さん感が増しましたよね。

拓:太ももとか背中とか、筋量が何でこんなに違うのか意味がわからない(笑)。お腹がぽこっと出るとかではなく、ちょっとずつ全体が分厚くなっているので。

大:俺も意味わからない(笑)。鍛えてないんですけど、鍛えている人のデカさになっていて。

――生まれた時の体重は一緒でしたか?

大:生まれた時から僕の方が重くて、体重差が400グラムあったんです。赤ちゃんが3000グラム平均だとしたら400グラムってだいぶですよ。今の体重で考えると10キロぐらいの差になるので、もともと僕は拓よりも少し大きくなる運命だったんです。でも、差が広がりすぎる前に『M-1』に行けてよかったです。

――体重差が開きすぎると双子ネタが厳しく?

拓:今、ギリギリだと思います。

大:ギリギリまだ……。

拓:でも今後、大の方が15キロとか20キロ上に行くこともあると思います。

――今は何キロ差ですか?

大:僕が今82~83キロで。

拓:俺が今74~75キロなので、7~8キロ差。これが、大が90キロで俺が75キロの15キロ差になるとか全然あると思います。そうしたらネタが変わってきますね。

――双子ネタのために痩せるのではなく、その変化に応じてネタを変えて?

拓:そうなると思います。そして、大がライザップ企画みたいなのを入れられて体重を戻し、似ている系の漫才をまたやって、1年後にまた増えて。

――ありそうですね。では、大さんの体重は成り行きに任せていく感じに?

大:そうですね。でも、この2年ぐらいは増えてなくて、83キロで止まっているんです。今、無理に落としたらリバウンドすると思うので、このままキープでいいかなと思います。

――単独ライブ「ダイタクの伝家の宝刀」の開催も決まりましたが、ファンの方へメッセージもお願いします。

大:2025年は全国いろんなところで、単独ライブ含めライブをやりたいと思っているので、初めての方も含めて楽しんでほしいなと思います。

拓:お笑いを生で見て損するわけがないので、ぜひ見に来ていただきたいです。いろんなところに行っておいしいものを食べるのも楽しみなので、おいしい食べ物屋さんの情報を教えてください。

■ダイタク
兄・吉本大と弟・吉本拓による双子漫才コンビ。1984年12月28日生まれ、熊本県出身。2009年4月結成。結成した年から『M-1グランプリ』に出場し、2024年に決勝に初進出。2019年から『キングオブコント』にも出場。
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