おにぎりやラーメンを筆頭に、日本食が世界中で熱烈な人気を集め、“食”がお目当てのインバウンドが日本各地に押し寄せている昨今。「和食;日本人の伝統的な食文化」として、ユネスコ無形文化遺産にも認定された日本の食は、いっぽうで食料自給率や米の生産量低下、地域の食文化の危機といったさまざまな課題にも直面しています。
そうした背景も受けて、ニッポンの食の未来を考える「食と生きる」が、東京ミッドタウン日比谷でただいま開催中。これは“日本の魅力を再発見”する雑誌「ディスカバー・ジャパン」と三井不動産が主催し、18の企業・団体が共同参加する10日間のイベント。期間中は、“ニッポンの食の未来を考える”をテーマにした様々なエキシビションやワークショップが、館内のあちこちで実施されています。
まず目を引くのが、3層吹き抜けの大空間の1階アトリウムに出現した、巨大なわらの豚。高さ3メートル超の母豚の腹に、お乳を求めた子豚たちが群がる様が愛らしく、食べることは生きることという“食の原点”を感じさせるアート作品です。筆者が訪れた会期初日には買い物や待ち合わせの人たちで賑わい、写真を撮ったり、わらのいすに腰かけたりと、思い思いの時間を楽しむ姿が見られました。
同じく1階、トヨタ自動車のレクサスが手がけるカフェラウンジ「LEXUS MEETS...」には、期間限定メニューとして「豆乳プリン」が登場中。なんでまたレクサスのカフェで豆乳プリン……? と不思議な気持ちになりますが、実はトヨタでは、自動車生産やバイオ技術開発で培った経験とノウハウを活かし、“HAPPY AGRI”という国産大豆応援プロジェクトを推進。食料自給率の向上と持続的農業の発展を目指して、大豆の開発・生産・出口づくりに取り組み、マルサンアイと「高オレイン酸 国産大豆の無調整豆乳」を共同開発したのです。
その豆乳で作ったクリーミーな特製プリンは、波照間産黒糖の黒みつをかけて頂きます。ほかにも館内の12店舗で、食の課題を美味しく解決するコラボメニューを用意しているそう。
また、地下1階の日比谷アーケードで目を引くのが、“食の市場”をイメージした、全長50メートルを超えるパネル展示。
サントリー、ファミリーマート、パナソニックなど、同イベントに共同参加する17の企業や団体が、生産や流通、食文化の継承など、食にまつわる各企業・団体の最前線の取り組みを発信し、行き交う人たちの視線を集めていました。
15日(水)、16(木)、17(金)には、多彩な食のエキスパート総勢36名が食の未来を語る、全14講座のシンポジウムが、6階BASEQ HALLで開催。テーマは「イノベーションと食」「世界視点で仕掛ける日本の食の未来」「変化する日本人の食」などなど、様々な角度から“日本の食の今と未来”を読み解いていくよう。いずれも参加無料(事前申込み制)なので、興味のある方は公式サイトをチェックして。
イベント最終日には、小学生以上を対象に、子供が楽しみながらフードロスについて学ぶ、45分間の「もったいない鬼ごっこ」を3回開催(参加無料)。これは、人が消費するために生産された食料の、約3分の1が廃棄されているという世界のフードロスの現状を、参加者自身が“食材”になって“フードロス鬼”から逃げるという遊びを通じて、フードロスの問題を体感しながら学ぶというワークショップ。走りやすい服装・飲み物の持参が推奨されています。
日本の風土や歴史が育んだ食文化と、直面している課題、そして食の未来を楽しみながら学べるイベント「食と生きる」は1月19日まで、東京ミッドタウン日比谷で開催です。
■information
「食と生きる」
会場:東京ミッドタウン日比谷
期間:1月10日(金)~1月19日(日)
編集部おすすめ