最近、海外旅行が高くて行きにくいと感じている人は多いのではないでしょうか。海外ブランド製品の値上げもよく耳にします。
これには、ニュースなどでよく聞かれる「円安」が関わっています。

この記事では、「円安」とはどういうことか、生活への影響を少なくするにはどうすればいいのかについて紹介します。

○2024年も円安が進んだ年だった

海外旅行が趣味という人は、為替のニュースは気になるのではないでしょうか。為替レートが動けば、現地のホテル代や食事代などに影響してきます。

また、ここ数年は「円安」が進んでいます。2024年には1ドル=160円台となる場面もありました。これは38年ぶりの円安の水準でした。2022年初めは1ドル=115円程度だったことを考えると、数年でかなり円安になったことが分かります。

SNSやネットニュースなどで「円安の影響が少ない海外旅行先はどこか」といったことが話題となるなど、円安のダメージをどのように少なくするかという情報発信も活発になっています。
○円安が進むと、より多くの「円」を払うことに

簡単に、円安・円高の仕組みについて、ドルと円の例で確認しましょう。

為替レートが1ドル=140円であれば、140円を出せば1ドルを手に入れられます。しかし、それが1ドル=160円となれば、これまでより20円多くお金を出さないと1ドルが手に入りません。
多くの円を払わなくてはいけない、ということは、ドルに対して円の価値が下がったということを意味します。そこで「(ドルに対して)円安が進んだ」となります。

逆に、1ドル=120円になれば、1ドル=140円の時よりも20円少なくても1ドルが手に入ります。円の価値が上がったことになり、「(ドルに対して)円高が進んだ」となります。

円安が進むと、ドル建てでは値段が変わらないモノでも、円建てではこれまでよりもたくさんのお金を払うことになります。その結果、円で生活している私たちにとって、海外旅行をするときに以前よりもお金がかかったり、海外ブランドの製品が高くなったりします。
○日本で生活しているだけでも、円安の影響を受けている

実は、為替の影響を受けるのは、海外旅行に行ったり、海外ブランドの製品を買ったりする時だけではありません。日本の中だけで生活し、円で買い物をしていたとしても、私たちは海外から買ってきたモノに囲まれて生活しています。スーパーで買う食品、住んでいる家の材料、移動するときのエネルギーに至るまで、多くのモノが海外から輸入されているのです。

そのため、円安が進んだ時に円しか持っていないと、日本の中にいたとしても、モノを買う力が少なくなってしまいます。
○対抗策は「日本以外の資産に投資すること」

このような状況に対抗する方法はあるのでしょうか。結論は、「日本以外の資産に投資をすること」。
海外の資産に投資をしていれば、円安が進んだ時、その資産は円建てで価格が上がることになります。資産を円以外の通貨で持つことで、モノを買う力を守ることができます。

これから先、為替レートがどのように動くかは予測できません。ただし、お金を使う時に海外のモノを買っているのであれば、お金を増やす時にも海外に投資をしておくことが大事です。為替レートが大きく動いた時でも、影響を打ち消し合うようなイメージです。

私たちが生活する上で、為替の影響は強くなっています。生活を守るために、資産の一部を海外に投資をしておくという考え方は、今後ますます重要になるでしょう。

牛山 史朗 ウェルスナビ 執行役員 リサーチ&クオンツ 働く世代の誰もが「長期・積立・分散」の資産運用を行えるようにしたいという想いから、2015年12月にウェルスナビに入社。金融工学の専門知識を活用し、自動の資産運用サービス「WealthNavi(ウェルスナビ)」の資産運用の仕組みを開発・リードしてきた。ウェルスナビ入社以前には、三菱UFJ信託銀行で個人向けの資産運用アドバイスなどを担当した後、野村證券にてグローバルな投資戦略の開発を行った。京都大学工学部で人工知能を研究、京都大学大学院情報学研究科で金融工学を専攻。 この著者の記事一覧はこちら
編集部おすすめ