2024年、新NISAがスタートし、多くの方が資産形成を始めた。オルカンやS&P500が人気だが、それ以外にも優れたリターンを出したファンドが数多くある。
本記事では、投資のプロが教える、新NISA対象ファンドの1年リターンランキングを発表している。 ぜひ参考にしてほしい。
○2024年、新NISAで投資家デビューが急増!
新NISA1年目の2024年が終わった。NISAの口座開設件数は約343万件と前年比で約1.5倍、買付額は成長投資枠が前年比4.1倍の約9.1兆円、つみたて投資枠が前年比3.1倍の約3.8兆円と大きく伸長している。
※日本証券業協会公表の 「NISA口座の開設・利用状況調査結果(証券会社10社・2024年12月末時点)」 より抜粋
オルカン、S&P500だけじゃない! 新NISAでリターンが高かったファンドTOP9
銀行におけるNISAの取り扱い商品は投資信託に限定されるため、NISAにおいて最も支持された商品といえるのは投資信託となる。ここでは、2024年の運用成績を確認していこう。
以下は、SBI証券取り扱いのNISA対象ファンドの1年リターンランキングだ。
1年リターン上位9ファンドを表示し、参考として新NISAでの人気ファンド(資金流入上位)であるeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)(以下、オルカン)やS&P500インデックスファンドとも比較しました。定番のオルカン、S&P500と比較しても、優秀なリターン成績のファンドがたくさんあることがわかると思う。
○NISA対象ファンド 1年リターンランキング
※NISA対象のSBI証券取り扱いファンド(ネット購入可)を1年リターン順に表示(2024年12月末基準)
※同一のマザーファンドに投資しているファンドは1年リターン最上位のみを表示し、参考としてNISA対象の2024年資金流入上位2ファンドを表示
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではない
2024年、新NISAで最も稼いだファンドはコレ! 人気銘柄を徹底解説
新NISA1年目に好成績となったファンドの上位を見ると、半導体関連株式やフィンテック関連株式に集中して投資を行うアクティブファンドなどがランクインした。
NISA2年目の投資方針を考える上で、より高い収益をめざして運用したい方は、値動きの振れ幅を示す標準偏差が相対的に大きいが、指数に連動しないこうしたファンドを選ぶのも1つの方法ではないだろうか。それでは、1年好成績ファンドを順にご紹介しよう。
○1位 野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)
各国の経済状況や企業の技術力、財務状況を考慮して、半導体企業の銘柄を選択したファンドだ。組入上位銘柄は、エヌビディア、ブロードコム、台湾セミコンダクター、ASMLホールディングなどとなっており、組入銘柄数は24銘柄。エヌビディア、ブロードコムの組入比率が高いのが特徴。
○2位 iFreeNEXT FANG+インデックス
米国のハイテク・グロース企業群、いわゆる「FANG+(ファングプラス)」に集中投資するインデックスファンドだ。組入銘柄はブロードコム、エヌビディア、アップル、アルファベット、ネットフリックス、サービスナウ、クラウドストライク、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト。つみたて投資枠でも投資できる。
○3位 WCM 世界成長株厳選ファンド(資産成長型)(愛称:ネクスト・ジェネレーション)
競争優位性や成長力を重視して銘柄を厳選するファンド。米国のソフトウェア企業やシンガポールのデジタル企業、カナダの製造受託企業、英国の金融企業など、欧米やアジアの幅広い株式に投資している。組入銘柄数は35銘柄。米国だけでなく、欧州やアジアの株式の組入れが多くなっている。
○4位 グローバル・フィンテック株式ファンド
フィンテック関連企業に投資するファンドで、成長株投資で有名な米国のアーク社の調査力を活用し、暗号資産取引のロビンフッドやコインベース、ECプラットフォームのショッピファイ、決済サービスのブロックなどに投資する。組入銘柄数は40銘柄。
○5位 次世代通信関連世界株式戦略ファンド(愛称:THE 5G)
通信技術の発展による成長が期待される企業に投資するファンド。成長性や割安度を考慮して銘柄を選定し、エヌビディア、アマゾン、ブロードコム、台湾セミコンダクターなどを組み入れている。組入銘柄数は59銘柄。
○6位 フィデリティ・米国株式ファンド Bコース(資産成長型、為替ヘッジなし)
新しい時代を切り開く企業、移り行く時代の中で最も成功できる企業を発掘し、選別投資しているファンド。組入上位銘柄は、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、バークシャー・ハサウェイ、アマゾン・ドット・コムなどとなっており、組入銘柄数は316銘柄。
○7位 三菱UFJ NASDAQオープン Bコースと8位の米国NASDAQオープン Bコース(為替ヘッジなし)
成長性の高い 米国NASDAQ銘柄を投資対象としているアクティブファンドで、NISAでも人気のNASDAQ100インデックスファンドの1年リターンを上回る実績となっている。
○9位 イノベーション・インデックス・AI
AI関連企業の株式に投資するインデックスファンドで、つみたて投資枠でも投資が可能となっている。
※上記解説においては、するものではない。組入銘柄の情報は2024年12月末基準(6位のファンドのみ2024年11月末基準)。
各ファンドの詳細はこちら
○オルカンを超えた!? 新NISAで高リターンを出したファンドの実力とは?
1位から6位までの1年好成績ファンドとオルカンのパフォーマンスを2021年末から比較したのが下記図表となる。
見ていただくとわかるが、オルカンとの比較すると、3年間でも好成績となっているファンドや、前半は苦戦したものの直近1年で巻き返しているファンドなどさまざまとなっている
それぞれのファンドの特徴を理解した上で、オルカンとは異なる値動きの1年好成績ファンドを分散投資の1つとして選択することが有効といえるだろう。
※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は愛称または略称)
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではない
『投資情報メディア』より、記事内容を一部変更して転載。
川上雅人 かわかみまさと SBI証券 投資情報部 シニア・ファンドアナリスト(公益社団法人日本証券アナリスト協会認定アナリスト) 慶應義塾大学卒業。丸三証券で国内株アナリスト、国内大手運用会社で18年間、商品企画・営業などを担当後、2020年よりauカブコム証券でファンドアナリストとして活動。2022年11月から現職。最新の投資情報を発信する『投資情報メディア』のレポート・コラムなどで投資信託や資産運用(新NISAなど)に関する情報提供を行う。 この著者の記事一覧はこちら
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